大切な“性”について、子どもに正しく・楽しく伝えるには?助産師が教える“おうち性教育”【児童期におすすめの本・絵本編】

“おうち性教育”という言葉を知っていますか?おうち性教育とは、お子さんがまだ幼い頃から積極的に性に関する教育に取り組むこと。幼少期から性教育に触れることで、子どもたちが自らの心と身体を守る術(すべ)を身につけることに役立ちます。
助産師の石嶺みきさんによるおうち性教育のコラム、今回のテーマは「児童期におすすめの絵本」について、紹介します。
そもそも子どもの年齢別で考える性教育って何?
「まだ幼いわが子に、性に関する話をしていったいどこまで正しく伝わるのだろう」「どういった方法で伝え、またどれくらいのレベルの話をしたらいいのだろう」。 実際にご家庭で性教育を行おうと考えると、まだまだハードルは高く、悩みも多いですよね。
ユネスコ(国連教育科学文化機関)では「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を定めており、そのキーコンセプトとして①人間関係、②価値観、人権、文化、セクシュアリティ、③ジェンダーの理解、④暴力と安全確保、⑤健康とウェルビーイング(幸福)のためのスキル、⑥人間のからだと発達、⑦セクシュアリティと性的行動、⑧性と生殖に関する健康の8つのテーマを包括的性教育の指針として掲げています。
これらのテーマに対して、それぞれ4つの年齢段階(5~8歳、9~12歳、12~15歳、15~18歳以上)ごとに学習目標を設定し、性教育を人権、ジェンダー平等という枠組みの中で再認識して、子どもたちにとって有益な「性と人間関係」 についての知識を広く学ぶことができるように構成しています。
とはいっても、パパやママがユネスコのガイドラインを読破して、さらにその内容を嚙み砕いてお子さんに伝えるのはやっぱり大変ですね。そんな時は絵本や本を活用してみてはいかがでしょうか。最近は性教育に関する良い解説本もたくさん出ていますので、「こんな本を見つけたの。一緒に読んでみようか」というのもいいですね。
児童期のお子さんにおすすめの絵本
ここからは児童期におすすめの絵本と、パパやママの知識のアップデートにおすすめの本をご紹介します。
男の子のからだえほん
作・絵/マティルド・ボディ 作/ティフェーヌ・ディユームガール 監修/艮 香織 訳/河野 彩 パイ インターナショナル

女の子のからだえほん
作・絵/マティルド・ボディ 作/ティフェーヌ・ディユームガール 監修/艮 香織 訳/河野 彩 パイ インターナショナル

上記2冊はユネスコに認定されている国際基準の性教育絵本です。インパクトのあるイラストで身体の構造から、思春期、性自認、性的指向、性的同意、愛など人権教育に及ぶテーマまで取り扱っています。絵本を通して、大人も性に対する考え方を十分にアップデートできる内容になっていますよ。
また、この2冊を読み比べると、男の子と女の子の身体の構造や成長・発達の違いについての理解がさらに深まります。お子さんに自らの身体の変化をポジティブに、医学的に正しく伝えることができたらいいなと思います。
パパやママの知識のアップデートにおすすめの本
おうち性教育はじめます
著/フクチマミ、村瀬幸浩 KADOKAWA

学校で詳しく性教育を教わってこなかった親世代の学び直しとしておすすめで、全国のパパやママから支持されている本です。子どもから突然やってくる性の素朴な疑問に対する答え方から、子どもへの日々の声かけ、思春期に訪れる男女の心と身体の変化まで、親子で一緒に学ぶことができます。日々の会話を通して子どもたちを守り、これからの時代を生き抜くための力を養う、子どもの幸せを守るための教育がわかりやすく学べますよ。
親子で考えるから楽しい!世界で学ばれている性教育
構成・文/上村彰子 監修/田代美江子 まんが・イラスト/大久保ヒロミ 講談社

人権、安全、健康、ジェンダー、LGBTQ+など生きていく上で知っておきたい大事な事柄を、国際的な基準であるユネスコの包括的性教育に合わせて、学習年齢別に科学的に学べる本です。親子でわかりやすく学べ、国際性も身につきます。
性教育は子どもの人生にとって大切な教育、正しい知識を楽しく伝えよう
性教育とは、子どもたちが自分の生き方を自らで選択し、納得する人生を歩んでいくために必要な教育です。また自らには自己決定権があるということを伝えるための教育でもあります。お子さんがまだ幼い頃から積極的に性教育に取り組むこと、幼少期・児童期から性に触れることは、子どもたちが自らの心と身体を守る術(すべ)を身につけることにも役立ちます。
まずは私たち大人が知識のアップデートを行い、恥ずかしがらずに正しい知識を楽しく、お子さんに伝えていただきたいと思います。
おうち性教育、難しく考えすぎずに、楽しくすすめてくださいね!
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担当カテゴリー
子どもの健康・発達
助産師・看護師・栄養士 石嶺みき
助産師、看護師、栄養士。ミキズハウス助産院院長。株式会社FM BIRD所属。不妊治療中に献身的に励ましてくれた助産師に強い憧れを抱き、出産後に看護学校に進学。助産師専攻科を経て助産師資格を取得。卒業後は大学病院産婦人科外来・病棟に勤務し多くの出産に立ち会う。
その後、保健センター勤務に転じ、産後のメンタルサポートや妊娠SOS相談窓口、新生児訪問、乳幼児健康診査なども行う中で、フェムケア教育の普及活動を思い立ち独立。一般の方だけでなく、看護学校の教員や助産師、看護師などを対象とした講習会などを開講。現在は“全ての世代に、泌尿生殖器ケアを通して幸せになってもらいたい”という信念のもと、「フェムケア」「おちんちんケア(オムケア)」「思春期性教育」をはじめとする講演を広く行うなど、積極的に活動中。
「ぞうちんとぱんつのくに」原作・監修(2024年、KADOKAWA)