完璧な親は子どもがしんどい?「抜け感ママ・パパ」のススメ

親として、一所懸命にやらなくちゃ! 頑張らなくちゃ! と奮闘している方は多いことでしょう。しかしその頑張り、やり過ぎると将来のわが子に大きな負担をかけてしまう可能性があること、知っていましたか?
今回は、何十年にもわたる子どもへの影響に焦点を当てて、親が頑張りすぎることのデメリットを解説します。つい頑張ってしまう、良い結果を求めてしまうパパやママはぜひ参考にしてください。
「頑張りすぎ」「完璧」は何が良くない?
人の親たるもの、子どものお手本になるように、家事や仕事は完璧にしたほうがいい…と考えている方は多いのではないでしょうか。少なくとも「自分はそんなに完璧な人間じゃないけど、子どもの前ではしっかりしないと」というのは、多かれ少なかれ誰しもが持つ意識です。
ところが、これが子どもの成長や将来に、次のような影響を与えてしまうこともあります。
自己肯定感が育ちにくくなる
さまざまなことを完璧にこなす親のもとで育つと、子どもは「自分にはできない」という気持ちでいっぱいになってしまうため、自己肯定感が育ちにくくなります。
そもそも子どものいる生活を完璧に回すには、子どもができない部分を親がやるか、子ども自身に高い水準を求めることになります。どちらにしても、子どもにとっては「自分のできないことを、親がなんでもやってしまう」あるいは「ちゃんとできないことを、やるように求められる」ということになりやすいのです。
自分自身が未熟であることを常に実感させられる生活が続くと、「自分はダメな子だ」「パパやママのようにできないから、自分は嫌われている」といったような感覚を持ちやすくなります。
失敗を怖がるようになる
自分にとって最も身近な親が完璧な生活をしていると、子ども自身も無意識に、同じように「ものごとを完璧にこなさなくてはならない」「失敗するのは、よくない」と考えるようになります。親が完璧を目指し、子どもの失敗を叱っているような場合はなおさらです。
将来的に、失敗を怖がる癖を直せるケースもあります。ただ、長期間にわたって何事においても「失敗したくないから、挑戦しない」というスタンスでいると、少しずつ、自分の可能性に制限をかけてしまうこともあるでしょう。
大きなストレスがかかり続ける
親が完璧に見えていると、子どもには、それが将来にわたって大きなストレスになることがあります。子どもが成長したとき、自分の親と自分とを無意識にでも比較して、常に「自分はまだまだダメだ」「もっと頑張らなくては」と考えるためです。
また「大人はしっかりとした生活をしなくては」と考えている親のなかには、子どもが成長するにしたがって「もっとしっかりしなさい」「私が若い頃はもっとしっかりしていたのに」などと声をかける人もいます。このようなことがあると、子どもは「いつまでも、ありのままの自分を認めてくれない」と感じるでしょう。十年、二十年と時間が経過してから「親がしんどい」という感情に変わっていってしまうこともあります。
「抜け感」を出すにはどうしたらいい?
遠い未来、子どもに「完璧にできない自分がつらい」「完璧な親がしんどい」と感じさせないためには、子どもが幼いうちから、過度に「ちゃんと」しない、抜け感のある生活を形成しておくことがおすすめです。
でも、子どもの手前あまりに手を抜くこともできないし、「抜け感って難しい」ですよね。ウーンと考えてしまう場合は、今の頑張りをある程度維持しつつ、次のようなことを気に掛けてみましょう。
人よりも早く、と考えるのはやめる
もし日頃「他の人よりも早いこと」を重要視しているなら、その考え方を少し緩めてみましょう。完璧主義の人が、みんな早さを重視するわけではありません。しかし、予定どおりに物事を進めるために、なにごともテキパキ進めたい人は多いでしょう。
子育てにおいて「人よりも早く」と考えてしまう場合、わが子にも「早くしなさい」と急かしたり、早くするために子どものやることについ手を出したりしてしまっている可能性があります。
早く進めること自体は悪いことではありません。ですが、考え方が行きすぎてしまうと、子どもが自己肯定感を伸ばせる機会を減らしてしまうかもしれません。
オンとオフのメリハリをつける
日頃、家事に仕事に…と、起きている間じゅう忙しくしている方は多いでしょう。もし自分が「あてはまる」と思うなら、意図的に休憩する姿を子どもに見せると効果的です。
「大人がサボることを教えると、子どもがサボるようになる」と考えてしまうかもしれませんね。しかし、上手な休み方を教えてあげることも大切です。
特に、子どもに休む姿を見せず、子どものいないときに息抜きをしている場合、子どもからは「常に忙しくすることが正しい」ように見えてしまいます。将来的にも疲れたのに休めなかったり、休んでいる自分に罪悪感を持ったりしてしまう可能性があるでしょう。ときには子どもの前で休憩すると、オンとオフでメリハリをつける姿勢を見せてあげることができます。
失敗や落ち込みは、ある程度、表現する
もし自分が失敗したり落ち込んだりしたときに、子どもにそれを悟らせないようにしているのであれば、ほんの少しだけ、オープンにしてみることをおすすめします。
自分の失敗や、落ち込んだ気分は、できるだけ子どもに察知されないようにと考えるかもしれません。失敗ばかりの親よりも、完璧な親のほうが格好いいし、尊敬されそうです。しかし実際には、その完璧さは子どもを緊張させてしまいます。パパやママのようにできない自分に自信が持てず、不要に自尊心が傷つくこともあるのです。
一方、笑いにできるくらいのちょっとした失敗や「ドジ」な話は子どもをほっとさせ、安心させます。ちょっとした失敗を受け流して前進していく親の姿は、子どもにとって一生の参考になることでしょう。
完璧を捨てれば、将来的に良い関係を保ちやすい
何でもできる親、失敗しない親、尊敬できる親。それは親としての理想の姿かもしれませんが、子どもにとっては必ずしも、理想的ではないのかもしれません。子どもだけではなく、人間は疲れたり、落ち込んだりする生き物。だからこそ、ときに休み、失敗するパパやママが、子どもの良いお手本になれます。
自分は完璧ではないし、できていないことも多いと感じている人もいるでしょう。それでも、できない部分が子どもの目から隠されている限り、子どもにとってパパやママは「完璧な人」であり続けます。これが子どもの心に負担をかけ、中学生、高校生、もっと大人になってから、「しんどい」と感じさせてしまったら悲しいですよね。
将来にわたって良い関係を保つには、親子がお互いに、完璧でない相手を認め、尊重することが大切です。ぜひ、生活のなかに抜け感を持たせ、必要なときは休む、失敗もあって当たり前、といった雰囲気を子どもと共有してみてください。