僕の生き方を変えたのは「母ちゃんが父ちゃんと結婚した理由」

&あんふぁんをご覧の皆さん、こんにちは!“パパって最高!”な社会を目指す子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長の杉山です。パパ歴は21年。早くも長女が孫を生んだので40代にして新米おじいちゃんでもあります。
突然ですが、自分の両親の馴れ初めや結婚までのストーリーを知っていますか?
僕が知る限り詳しく知っている人は少ないと思います。出会いのきっかけなどはなんとなく聞いたことがあるかもしれませんが、そこまで詳細に話す親もそれほど多くないでしょう。
僕はやけに詳しく知っています。なぜなら、母ちゃんはよくそんな話をしてくれたからです。しかもとても楽しそうに。
母ちゃんと父ちゃんは職場結婚。1970年代、高度成長期の真っただ中。モーレツサラリーマンなんて言葉もあったころです。男性たちはいい会社に努め、そこで出世レースを展開し、常に戦っていた時代です。
余談ですが、職場結婚は世界的に多いそうです。その背景としてアメリカの心理学者ビブ・ラタネは「ストレスの共有」を挙げていました。「一緒に楽しい体験をした人同士より、一緒に苦しい経験をした人同士の方が絆が深まる」という研究結果があるそうですが、職場ではまさに「一緒に苦しむ経験」が多いんだとか。大変な仕事に一緒に取り組んだり、嫌な上司に対して一緒に向き合ったり。言われてみればそうなのかもしれません。
時代の流れに逆行した父ちゃんと母ちゃん
先ほども言った通り、時代は高度成長期。まさに「男は仕事、女は家庭」という価値観がど真ん中だったことは、父ちゃんも母ちゃんももちろんわかっていたと思います。三男の僕が小学生になるくらいまでは母ちゃんは専業主婦だったので、生活スタイルもいわゆる当時のオーソドックスなものでした。
でも、二人の頭の中はどうも時代のマジョリティとは違ったみたいなんです。
母ちゃんがよく僕に語ってくれた、父ちゃんに惹かれた理由は、
「あの人は人を蹴落としてまで上に行こうとしないから」
だったそうです。
男性はとにかく上を目指すのが当たり前で上に行くことこそが成功。そのためであれば手段をいとわないという人も多かったと思います。でも、父ちゃんはそれが嫌い。マイペースで自分のやりたいようにやりたい人。スポーツや格闘技をしていましたが、あまり勝負をするのは好きじゃなかったみたいです。
一見すると、その時代においては「変わった人」であり、なんなら「男としてどうか?」とまで言われそうな感じです。
でも、母ちゃんはそれが良かった。背景には母ちゃんが育った環境の中にどちらかというとガツガツ上を目指す人が多くて、その姿を見ていて嫌だったらしいです。当時の女性目線で考えると、きっとガツガツしている人の方がモテたはずですが、母ちゃんは違いました。
父ちゃんも変わっていたかもしれませんが、母ちゃんもまた変わっていたみたいです。
両親の恋バナが教えてくれたもの
最近はダイバーシティや多様性が大事だと言われ、競争するよりも個性を認める風潮がありますよね。うちの両親は、もう50年以上前に多様性を認め合っていたことに驚きます。当時は変わり者の二人が今や最先端。時代が後からついてきたみたいです。
そして、両親はそこまで深く思っていたかどうかはわかりませんが、ずっと「あんたはあんた」と言い続けていました。一応中学受験という競争ど真ん中も経験しましたが、母ちゃんも父ちゃんも「別にどっちでもいいけど」的なスタンスでしたし、いくらいい成績をとっても結果をほめられた覚えはなく、それよりも自分の部屋がない僕が中学生の頃から駅前の喫茶店に一人で行って勉強していたスタイルについて、「あなたはそれでいいと思う」と伝えてもらっていたと思います。
また、「人と競って勝つことが全てじゃない」と、両親に教えられた気がします。
今思えば、イクメンという言葉がなかった時代に僕たち夫婦が役割を逆転させて、僕が家事育児の中心を担ったのも、周りとは違うその状況に「うちはこれでいいや」と思えたのも、こういった背景があったからかもしれません。
つまるところ、僕が皆さんに言いたいのは「うちの父ちゃんと母ちゃんって素敵でしょ!」とか「わが子に積極的に恋バナをしましょう!」なんてことではなくて、両親のライフスタイルはやっぱり子どもの価値観に強く影響するなぁということです。
親という立場の今。
自分や、自分たち夫婦の何気ない行動や言動がわが子に影響すると思うと、いろいろ気を付けないといけないなぁと戒めになるところもあります。一方で、僕は娘たちに人生を楽しんでもらいたいと思うので、何より僕たちが人生を楽しもう!という原動力にもなっています。 果たしてそんな僕たちを見て娘たちの価値観がどうなるのでしょう?楽しみなところもありますが、どんな価値観を持つかも娘たちの自由なので、そっと見守っていこうかなと思っています。
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担当カテゴリー
学び・遊び・教育
兼業主夫放送作家 杉山錠士
1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)