2歳さんがはじめての調理体験! フルーツポンチづくりから学ぶ本物に触れる力

まだまだ暑い毎日。子どもと一緒にお料理をしてみるのはいかがでしょうか?2歳さんでもできる、切って混ぜるだけの「フルーツポンチ」。楽しみ方のコツをご紹介します。
私の勤務先の子供の家では、2歳さんから調理保育を始めています。おうちで経験のある子もいますが、多くのお子さんにとっては“はじめての調理”。それは特別な体験です。
行ったのは、火を使わず、切って混ぜるだけの「フルーツポンチ作り」。とてもシンプルな調理ですが、大人が思う以上に幼児の感覚は豊かで、一つひとつの体験がその子の“原体験”となっていきます。
今回は、小さな子が調理を通して学べること。また、調理体験を豊かにするための大人の関わり方についてもご紹介したいと思います。時間のある休日に、おうちでお子さんと料理を楽しんでみてはいかがでしょうか?
感覚をフル活用! 食材をじっくり観察する
調理の第一歩は、「食材にふれること」から。意外と子どもが“丸ごとの果物”を触ったり、観察したりする機会は少ないかもしれません。調理を始める前に、五感をフルに使って食材をじっくり観察してみます。今回の食材は、りんご、バナナ、キウイです。例えば、「触りごちはどうかな?」「どんな色だろう」「匂いはする?」と会話しながら、触ってもらいます。
– 手ざわり:バナナはすべすべ、キウイはチクチク
– 色や形:りんごは赤くて丸い、バナナは黄色くて長い
– におい:切る前はかすかに甘い香り、切ったあとはもっとはっきり!
「丸ごとのフルーツ」が、子どもたちの五感を刺激します。

りんご、バナナ、キウイをひとつずつ、じっくりと観察します。

触ってみたり、匂いを嗅いでみたり。どんな手触りかな?

キウイは表面に細かい毛が生えていて、触るとザラザラしていました。
“切る”という冒険を、安心の中で
家庭での調理なら、ゆっくりと「包丁に触れる体験」も可能です。もちろん安全第一。活動を始める前には、
– 食べ物を押さえる左手は“猫の手”にする
– 包丁を使い終わったらケースにしまう
など、包丁の扱い方や注意点を簡潔に伝えておくことがとても大切です。やり始めてから「危ないからダメ!」と止めるのではなく、あらかじめ約束を共有しておくことで、子どもは安心して活動に集中できます。最初は大人が手を添えて一緒に切りますが、動かすのはあくまで子ども。
大人は手を添えるだけで、子どもの手が自分から動き出すのをそっと待ちます。 その瞬間が、「自分でできた!」という自信につながります。

初めての調理の子の場合は、安全に果物を切れるように、大人が手を添えています。一度やり方を見せたあとなので、子供が自分で手を動かすのを待っています。

大人が補助をしていますが、子どもが一生懸命切っています。慣れてきたら補助の手を外して、子供がひとりで切るのを見守ります。
作業が自立につながる
調理の工程はまだまだ続きます。
– 切った果物をボウルに入れる
– りんごジュースを注ぐ(そーっとこぼれないように)
– スプーンで混ぜる
– カップによそう(自分や友達の分を)
ひとつひとつの動作に、手指の使い方・力の加減・順序の理解といった「学び」が詰まっています。自分で作ったものは、「食べてみたい!」という気持ちにもつながります。

切った果物をボウルに入れます。

果物を切り終えたら、りんごジュースを注ぎます。

混ぜてから、カップによそいます。
“おいしい”を通して、自分の感覚を知る
完成したフルーツポンチを食べたとき、「おいしい!」「ちょっとすっぱい」「キウイは苦手かも」など、子ども自身の“好み”や“感じ方”が言葉になります。こうした体験は、自分の感覚に気づき、それを表現する力の土台となります。
教えるより、体験させる
調理体験を通して改めて感じるのは、「教えること」より「自分でやってみること」の大切さ。「やってごらん」「待ってみる」ことで、子ども自身の気づきが深まります。
– 手を添えるけど、やりすぎない
– 上手にできなくても、「自分でできた」が大切
– 小さなチャレンジの積み重ねが、次の学びにつながる
おわりに
「フルーツポンチづくり」は、ほんの短い時間の活動かもしれません。でもそこには、五感を使って素材と出会い、自分の手でつくり、感じるという、大切な“本物の体験”がぎゅっと詰まっています。忙しい毎日の中でも、ぜひ親子で楽しんでみてくださいね。