「ムカつく」「めんどくさい」「つまらない」ばかり言う子…どう対応する?子どもの本音と向き合い方のヒント

このコラムでは大阪教育大学教育学部教授の小崎先生が、「こんな時どうしたらいいの?」「子育ての“ココ”が知りたい!」という皆さんのお悩みに答えます。今回は小学生のお子さんについてのお悩みです。
Question: 「小学生の子どもが特に理由もなく、なんかムカつく、めんどくさい、つまらないなどと言います。どう対応したらいいのでしょうか」
子どもたちのネガティブな気持ちの表現は、親としてはやはり気になりますね。なぜ子どもたちはこのような言葉を使うのでしょうか。そしてそれはどのような意味があるのでしょうか。一緒に考えてみたいと思います。
今どきの小学生は大変!?
まずこのご相談を読んで思ったことは、自分の否定的な思いや気持ちをきちんとおうちの人に伝えることができているんだなぁーという安堵感でした。小学校に入り、子どもたちはそれぞれのペースで生活を送っています。それまでの家族や家庭中心の生活から、新しい環境や多くのお友達との関わりの中で、もちろん楽しいこともたくさんあるけれど、時々疲れることもあります。
今どきの小学生はけっこう大変なんです。もしかすると何か習い事や塾などもあるかもしれません。そこでもまた新しい人間関係やルールなどがあります。それぞれに対応していくとなると、日常生活の中とはいえ、なかなか頑張っていますね。
うまく言葉にできない子どもたちの「本音」を見つける
そう思うとたまには愚痴の一つも言いたくなる気持ちもわかります。そんな自分自身のモヤモヤした気持ちや感情を、子どもたちはうまく言葉にすることができません。だからとりあえず使いやすい否定的な言葉「ムカつく・めんどくさい・つまらない」としてまとめているように思います。
冷静に考えてみると、これら一つひとつは少し意味が違ったり、使い方やそのときの感情も微妙に異なり、ニュアンスの違いはあるはずです。それらがまとまっているということに、ポイントがあるように思います。これらの奥にある、子どもの言葉になりにくい感情や思いはどのようなものでしょうか?ぜひその本音の部分を見つけたり、気づいてあげたりしてほしいと思います。
それは、
「もっと楽しいことがしたいなぁー」
「もう少しゆっくりとしたい」
「一緒に遊んでほしいなぁー」
などかもしれませんし、もっと他の思いがあるのかもしれません。

「ムカつく、めんどくさい、つまらない」は親へのメッセージ
子どもたちは大人が思っているより、敏感で感受性の豊かな存在です。しかし反面、大人が思っているより幼く、自分の気持ちのコントロールが下手で、そしてその気持ちに自ら気づきにくいのです。
「特に理由もなく」と質問に書いておられますが、子ども自身にもその理由がわからないのでしょう。だから「特に理由もなく」という表現になってしまいます。そんな時は理由や原因を見つけ出し解決するのではなく、ちょっとその理由は横に置いておき、より楽しいことや熱中できるものを一緒に見つけてほしいですし、そのような機会やチャンスを作ってほしいです。
「ムカつく、めんどくさい、つまらない」というこれらの表現は、うまく言葉にできない子どもたちから親御さんへの、言葉にならないメッセージだと思います。それを素直に親御さんに伝えることができている関係性は、素敵なことですね。
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担当カテゴリー
学び・遊び・教育
大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。