最近、子どもの口が悪くなった…放っておいてもよい?子どもの社会化と親が意識したいこと

このコラムでは大阪教育大学教育学部教授の小崎先生が、「こんな時どうしたらいいの?」「子育ての“ココ”が知りたい!」という皆さんのお悩みに答えます。今回は小学生のお子さんについてのお悩みです。
Question: 「小学校に⼊ってからお友達の真似をして口が悪くなりました。気になっているのですが、成長の⼀環として見守るべきでしょうか、それとも注意したほうがいいでしょうか」
保育士、小学校長の二つを経験してきましたが、保育所、小学校の両方でこのご相談を受けてきました。それだけ多くの保護者の方が気になり、悩まれる問題なのだと思います。
小学校と家庭の違い
そもそも小学校と家庭の大きな違いは、「個別の生活」と「集団生活」という点です。もう少し端的に言うと、関わる人数の違いであり、集団の大きさの違いであるといえます。家族を中心とした家庭は第一次集団といわれ、子どもが生まれて初めて出会う集団です。その少ない人数の中で親子や兄弟という血縁を中心とした、密接な関わりが持たれます。そしてその関係性を軸として、人生の初期に愛され大切に育てられ、家族の絆の中で人に対する信頼感や自己に対する自信を持つことができるのです。
一方、保育施設や小学校は第二次集団といわれています。小学校により差はありますが、最大35人学級が想定されています。第一次集団で培ってきたものを基礎にして、家族とは違う多くの他者との出会いを通じて、社会の基本的なルールや振る舞い、集団での生活のあり方を学ぶのです。これらを子どもたちの「社会化」と言います。家庭という安全基地を飛び出して、社会の一員としていろいろなものを学んでいくタイミングということです。
子どもたちの社会化は小さなブラックホールのようなもの
今回のご相談は、この社会化の適切な在り方についてだと考えると、わかりやすいと思います。子どもたちの社会化は、学校の授業や行事、またお友達との関わりや一緒に遊びながらさまざまな刺激を受けて、学び促されていくものです。やや極端なイメージですが「小さなブラックホール」のようなものだと思います。自分を中心として周りにある環境の全てを飲み込んでいく感じです。
その時に残念ながら、保護者の方の望む形で何かを取捨選択して飲み込むことはありません。全てを飲み込んでいくのです。そのタイミングにおいて、あまり善悪の判断はないと思います。
今回であれば「きれいな言葉」「美しいフレーズ」は覚えてほしいですが、「罵詈雑言」「汚い言葉」「口の悪いフレーズ」は覚えてほしくないということです。ですがそれは基本的にはできません。その「善悪」や「きれい・汚い」などの明確な価値判断や基準がわからないからです。
言葉の善悪やふさわしいタイミングを親が教えよう
それでは汚い言葉を使うことを認め、子どもの成長の一つとして放っておけば良いのでしょうか?それは違います。全てを子ども達は飲み込むのですが、今度はそれを自分のものとして外に向かって使い始めます。そのタイミングできちんと「善悪」の判断や、ふさわしいタイミングや対象などを教えていってほしいです。
この社会には使ってはいけない言葉があり、使ってはいけない場所やタイミングがある、また相手や状況に応じてふさわしいものとふさわしくないものがある、ということです。
ふざけた言葉や馴れ馴れしい言い方など、家族や友達の中では良いものかもしれませんが、公的な場所やタイミングではふさわしくありません。そのようなことを子どもはまだよくわかっていません。だからこそ、保護者の方がそのような機会やタイミングを意識して、子どもに教えていってあげてください。
その時に一つ気を付けてほしいのは、自分の言葉の使い方です。子どもからすれば一番身近な保護者の言葉遣いや、その使い方は最大のお手本になります。そこはもう一度見直して、親子で一緒に良い言葉の使い方やバランスを意識してくださいね。

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学び・遊び・教育
大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。


























