文字への関心が高まる3〜5歳。書くことが楽しくなる方法とは?
3〜5歳ごろは文字への関心が高まる時期です。親心としては、そんな時期を逃さずに早くひらがなを書けるようになってほしいと思うかもしれません。今回は、書くことを「お勉強」にせず、楽しみながら文字を覚えるアイデアを紹介します。
効果的な文字の練習方法はありませんか?
保護者から「どうしたら文字の勉強をしてくれるのでしょうか?」「小学生になる前にひらがなを書けるようにしておいた方がいいですか?」「ワークブックをやらせたほうがいいでしょうか?」とよく質問を受けます。
最近のワークブックは子どもが楽しめるような工夫がされているのかもしれませんが、私が子どもの頃は、「あ行」から始まって「わ行」までを順番にひたすら同じ回数書くようなものでした。個人的には、それを「1日1ページ頑張りなさい」と言われてもあまり楽しくありません。それよりも、書くことが楽しいと感じられる方法はないでしょうか。
ひとつずつコツコツ覚えられるタイプなら順を追ってもよいと思いますが、最終的にきちんと覚えられればよいのなら、必ずしも「あいうえお」順に練習する必要はないですし(ちなみ「あ」はバランスを取りづらくむずかしい文字です)、50音をまんべんなくやらなくてよいと思います。
文字に関心が出てくる時期に、「文字を書くのが楽しい!」「私はもう文字を書ける」という実感を持つことや、言葉を書くのが楽しみになることが、習得の早道だと思うのです。
モンテッソーリ・メソッドでは子どもの発達段階に応じてさまざまな言語の活動が用意されていますが、今回はその中から、おうちでも試せるアイデアをまとめてみました。
楽しく文字を学ぶアイデアあれこれ
1.簡単な文字を書く
目安:3歳頃から
「とにかく書いてみたい!」という気持ちの強い時期には、「し」「へ」「ひ」「て」のような一筆の文字を書いてみましょう。文字の意味にこだわらず、「字を書けた」ということが自信になります。
とにかく書くのが楽しい時は、制限せずに何度でも満足いくまで書けるように、紙をたくさん用意しておきます。上手に書けなくてもあまり気にしないで。「しか」の「し」、「へび」の「へ」などと言いながら書くのも楽しいです。手本の文字に薄紙をのせてのなぞり書きもよいですよ。
2.自分の名前、家族の名前、友だちの名前を書く
目安:3歳半から
自分の名前や身近な人の名前を書いてみましょう。文字数の多い名前や、「あ」「ゆ」などむずかしい文字が入っている名前の場合は、初めから無理をせず1文字だけを練習しましょう。例えば「ゆうき」くんなら、最も簡単そうな「う」から始めてもよいと思います。自分の名前を書けることは子どもにとって嬉しいこと。「僕、もうお名前が書けるんだ」と自信いっぱいになります。
3.好きなものの名前を書く
目安:4歳から
好きなアニメのキャラクターの名前を書くもよし、キノコにハマっているなら、「かえんだけ」「べにてんぐだけ」などお気に入りの名前を書くもよし。新幹線の名前「はやぶさ」「ひかり」「こまち」などは、文字数も少ないので練習にちょうどよいですね。自分の好きなものなら、楽しく文字を書けます。絵を描くのが好きな子なら、一緒に文字を書くのもよいですよ。
自分で書くのがまだむずかしいうちは、点文字を書いてあげて、子どもになぞり書きをしてもらうのよいと思います。
4.手紙を書く
目安:5歳から
ある程度書けるようになったら、友だちや家族に手紙を書いてみるのはいかがでしょう。「またあそぼうね」「げんきかな?」「だいすきだよ」のように短い言葉だけでも立派な手紙です。
学校で友だちに渡すのは子どもにとって楽しみなことです。毎日のように手紙を書いている子はどんどん文字が上達します。文字を思い出せない時に自分で調べられるように、小さな50音表を用意しておくとよいですね。
鉛筆をうまく使えないときは
書く以前の問題として、子どもが鉛筆の持ち方に苦労していたり、筆圧をかけられない場合には、指の力や器用さが不足しているかもしれません。そんな時は鉛筆に限らず、指先を細かく使う遊びを取り入れてみましょう。
さじで豆やビー玉をすくう、洗濯バサミの開け閉め、フタの開け閉め、ハサミで紙を切る…など、指の運動を積極的に行ってみるとよいですね。