絵本専門士が伝えたい10年後に生きる読み聞かせの力
「本が好きになる」「文字に早く親しむ」ことは、読み聞かせの魅力の一つ。でも、親子で楽しむ読み聞かせの時間は他にも大事な力を秘めていると、絵本専門士の近藤さんは言います。「いい絵本の選び方が分からない」というママこそ、今回の特集は必見です!
イラスト/杉浦さやか
絵本専門士・近藤さんがセレクト! 冬のおうち時間に読みたい絵本9選
読者アンケートの「読み聞かせをする理由」の上位3項目に合わせて、近藤さんにお薦めの絵本を選んでもらいました。
「本が好きな子に育ってほしい=親子のコミュニケーションを楽しめる絵本」「文字に親しんでほしい=言葉遊びの絵本」「寝かし付けの習慣に=おやすみなさいの絵本」というセレクトです。ママ・パパからのクリスマスプレゼントにもいかが。
[年少]親子のコミュニケーション
絵本ヨガ 森のくるるん
作:近藤麻智子 長谷部真奈見 絵:齋藤槙 (そうえん社)
りすのくるるんと一緒に親子で変身
森で出会った生き物とハグをすると相手の姿に変身! ヘビになっておうちに帰ると…? 「子どもがハグしてほしいときに、この絵本を持ってきます」というママも。巻末のポーズ集を参考に親子ヨガにも挑戦してみて。
[年中]親子のコミュニケーション
ねえ、どれがいい?
作・絵:ジョン・バーニンガム 訳:まつかわまゆみ (評論社)
次々と繰り出される究極の選択肢!
「お城で食事、気球で朝ごはん、川でおやつ」「ヘビに巻かれる、ワニに食べられる、サイの下敷き」…。夢のあるものからイヤなものまで選択肢の連続。親子で、家族みんなで、何度でもファンタジーの世界を味わえます。
[年長]親子のコミュニケーション
質問絵本
作・絵:五味太郎 (ブロンズ新社)
読む度に新鮮な「正解のない」絵本
年長さんには、想像力をさらに働かせて会話が楽しめるこの絵本を。「この中で一番早くに結婚しそうな女の子は誰?」などの質問を通じて親子の会話が弾みます。わが子やママ自身の本音や意外な一面にも気付けるかも。
[年少]言葉遊び
しりとりのだいすきなおうさま
作:中村翔子 絵:はたこうしろう (鈴木出版)
しりとりに困った家来たちの作戦は?
身の周りの物や食事のメニュー、何でもしりとりの順に並んでいないと気が済まない王様。困った家来たちはついに逆襲します。しりとりは語彙(ごい)が増える頃にオススメの言葉遊び。年少のわが子もお気に入りの絵本です。
[年中]言葉遊び
あいうえおのき
作・絵:レオ・レオ二 訳:谷川俊太郎 (好学社)
力を合わせた文字たちがつづったのは…
あいうえおの木で暮らす文字が嵐で吹き飛ばされてしまいます。虫たちが教えてくれたのは飛ばされないよう言葉を作り、メッセージをつづること。文字から言葉、そして文章へ。平和への願いも込められた奥深い一冊。
[年長]言葉遊び
ことばのこばこ
作・絵:和田誠 (瑞雲舎)
18のユニークな言葉遊び
回文や濁音遊び、数え歌などが詰まった大型絵本。ユーモアあふれる軽妙なイラストが、子どもはもちろん、大人の創造力も刺激します。おうち時間が充実するアイデアいっぱいの小箱を、親子で開いてみませんか?
[年少]おやすみなさい
おやすみ、ぼく
作:アンドリュー・ダッド 絵:エマ・クエイ 訳:落合恵子 (クレヨンハウス)
体に「おやすみ」を、入眠の習慣に
「おやすみ、ぼくのあしさん」。足、膝、おなか、おしり…と、オランウータンの男の子が体のあちこちにおやすみを伝えていきます。子どもの体を優しくなでながら読むと、より温かい安心感に包まれます。
[年中]おやすみなさい
ねむい ねむい ちいさな ライオン
作:マーガレット・ワイズ・ブラウン 写真:イーラ 訳:ふしみみさを (徳間書店)
ライオンのかわいいあくびをまねっこ
冒険に出かけたライオンの子ども。でもだんだん眠たくなってきて…。「フワーン、フワワーーン、ワーーーン」と愛らしいあくびをまねすると、一緒に眠たくなってきます。モノクロ写真も寝入る前の静かな時間にぴったり。
[年長]おやすみなさい
ぼくのふとんはうみでできている
作・絵:ミロコマチコ (あかね書房)
もしもこのふとんが〇〇だったら…
海のふとん、猫のふとん、パンのふとん…。いろいろなふとんが出てくる不思議な夢と、幸せな目覚めが繰り返す物語。「〇〇ちゃんならどんなふとんがいい?」と声を掛け、眠る時間を楽しみに過ごしてくださいね。
あんふぁん読者の 読み聞かせのお悩み Q&A
Q. 読み聞かせは何歳までするべき?
A. 幼児期の子どもは「声の文化」に生きています。言葉を声で聞き絵をじっくり見ることで、想像力を膨らませているのです。自分の目で文字を追うのではその経験は得られません。平仮名が読めるようになっても求められる限りは続けてほしいですね。
Q. 図鑑にしか興味がないのですが…
A. 図鑑に興味を持てるのは、ストーリーがないにも関わらず想像力を働かせている証拠です。図鑑に出てきた動物や乗り物が登場する物語を選ぶのも良いですが、お話に興味を持つかどうかはその子によってまちまち。子どもの個性と受け止め、まずは一緒に楽しんで。
Q. 質問でさえぎられて読み聞かせが進みません
A. 「この先に答えが出てくるかもよ?」などの声掛けで、次のページをめくりたくさせるのも一つの手。ただ、最後まで読み終えることが読み聞かせの目的ではありません。質問ばかりで1ページしか進まない日があっても大丈夫。親子の会話を楽しんでくださいね。
Q. 読み聞かせ中なのに別の遊びを始めます
A. 実は「背中で聞いている」場合があるので「本に興味がないんだ」と諦めず、ママが最後まで楽しく読む姿を見せてみては。加えて、離れた先でどんな遊びをしているかに注目を。電車ごっこをしていたら次回は電車のお話を読むなど、絵本選びのヒントにして。