2020年から幼稚園・小学校の学びはこう変わる!改訂のポイントを専門家と文部科学省に聞きました
入園・進級おめでとうございます! 今年は小学校で新学習指導要領が施行される年。小学校なんてまだまだ先の話…と思いきや、今回の指導要領の改訂は、実は幼稚園の教育にとっても関わりの深い話なのです。幼稚園教育の専門家と文部科学省に、新時代の子どもの学びについて聞きました。
今回の改訂のキモ! 幼稚園から高校までの教育を貫く「3つの柱」
1 実際の社会や生活で生きて働く知識および技能
2 未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力など
3 学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力・人間性など
【注1】※文部科学省「平成29・30年改訂学習指導要領」から
幼稚園の学び 幼稚園では遊びを通じて 「3つの柱」の土台となる力を身に付けていきます
幼稚園では2年前から「3つの柱」に基づく教育がされています
小学校では2020年から新学習指導要領がスタートしますが、幼稚園では2018年4月から、改訂された幼稚園教育要領が施行されています。これは「知識および技能の基礎、思考力・判断力・表現力などの基礎、学びに向かう力・人間性」を「幼児期に特に育みたい力」としたもの。つまり幼稚園ではすでに、「3つの柱」に基づく教育が行われているのです。
「3つの柱」が重要とされた背景には、出された問いに多く正解することではなく、自分の頭で考えることがこれからの時代を生き抜く上で大切だとする方針があります。そこであらためて注目されたのが、毎日の園生活にあふれている「遊び」の経験です。
遊びで身に付けた力が、自ら学びに向かう姿勢を支えます
下のイラストで紹介しているように、身体能力、思考力、想像力、協調性といった「3つの柱」で求められている能力を育むきっかけが、遊びの中にはたくさんあります。これまでは小学校で困らないよう、ひらがなや数を幼児期から教えるべきといった考え方もありました。
しかし、遊びの経験=思考力や協調性を幼児期に育む経験がおろそかになったことで、小学校に上がってから先生の話を集中して聞けない、友達とうまく関われない、自分で工夫して考えることができないといった問題が起こってきました。
そこで、幼児期は遊びの経験こそ重要であること、遊びで身に付けた力がやがて自ら学びに向かう姿勢を支えることが見直され、幼児期に特に育みたい力を「3つの柱」とした教育要領が定められたのです。
こうした力を3年間で育むために、園の先生たちは子どもたちが遊ぶ姿から今何に興味があるのかを読み取り、より豊かに遊びを広げています。幼稚園の毎日の遊びの経験が小学校以降の学びの土台となっていくのです。
幼稚園の遊びの中にはこんな学びが隠れています
● 思考力
遊びを面白くするために、どうすればうまくいくか粘り強く考える経験を積みます。年長さんになると遊びを発展させるために自分たちで道具を作り出すことも。
● 表現力
自分が遊んだ経験やイメージしたものを言葉で伝えたり、絵や工作で表現します。そこで培った表現力がまた遊びへと生かされていきます。
● 協調性
初めはお友達との関わり方が分からずけんかが起きることもありますが、徐々に自分たちだけで折り合いをつけたり、気持ちを言葉で表現できるようになります。
● 身体能力
遊ぶために工夫して、体を使いこなしていきます。「この高さからなら飛び降りられそう」と自分の身体能力を測ったり、体をコントロールしたり、調整したりする力を養います。
● 想像力
泥団子を食べ物に見立てたり、ごっこ遊びで役割を分担したり。イメージを膨らませて遊びを発展させていく想像力は、小学校で文章題を読み解く力にもつながります。