心配性な親は悪影響?言いがちなNGワードと「見守る力」とは

心配性な親は悪影響?言いがちなNGワードと「見守る力」とは

年齢は関係なく、“子どものことが心配でしょうがない”という保護者は多いと思います。しかし、心配のあまり声がけや働きかけを間違えると、子どもにとって悪影響になってしまうこともあります。子どもが大きく羽ばたくために、親には「見守る力」が必要です。
今回は心理カウンセラーの立場から、親がもっておきたい「見守る力」とは何か、具体的にはどうしたらいいのかを解説します。

「見守る力」とは「ガマン力」や「導く力」

「見守る力」を言い換えると、「ガマンする力」や「導く力」ということになるでしょう。そもそも大人に比べると子どもは、さまざまなことが未熟で、つい手を貸したくなります。しかし親が手を出したり、口を出したりしすぎるのはNG。親がメインでかかわってしまい、子どもができるようにならなかったり、親に反抗したい気持ちが大きくなって、自分でやろうとしなくなったりするなど、子どもの成長を妨げてしまうことが多々あるのです。

親が「完璧な結果」を求めていませんか?
なぜ親は子どもに手を貸したくなるのでしょう? もちろん「子どもに失敗させたくないから」ということもあるでしょう。しかし実は、多くの親が無意識に「完璧な結果がほしい」と思っているのです。
ですから親は、この「手を貸したい」「代わりにやってあげたい」、そして何より「完璧に完成させたい」という欲求をガマンしなければなりません。ガマンしたうえで、子どもが自分自身の手で結果を出せるようになるまで導いてあげる必要があります。これが「見守る力」です。

「見守る=手出しせず放置する」ではありません

見守るということは、「何も手出しをしないで放置するということ?」と考える人もいると思いますが、これは違います。何ごとも最初は、できるようになるまでのサポートが必要です。
親が子どもを完全に放置してしまい、やり方も教えずに「自分で頑張れ」と言った場合、子どもはヒントももらえず途方に暮れてしまい、チャレンジし続けることををあきらめてしまうでしょう。また親に助けてもらえなかったという気持ちから「自分は親に愛されていない」と感じ、自己肯定感が大きく下がる危険性もあります。

心配性の親が言いがちなNGワードとおすすめの見守り方

それでは子どもを見守るとは、具体的にどのようにすればいいのでしょうか。心配性な親が言いがちな言葉から、子どもの適切な見守り方を確認してみましょう。

「危ないから〇〇してはダメ!」

危ない目に合わせたくない、危険な経験はさせたくないという親心。特に幼児の場合、もしケガをしたら…と考えると子どもの危ない行動は制限したくなりますね。しかしすべてを制限し、やめさせることが正解ではありません。
例えば3歳前後の小さな子の多くは、高いところが好きです。道や公園の段差にすぐ登っては、飛び降りようとするのを見てヒヤヒヤした経験がある人も多いはず。こんなとき「危ないからやめて!抱っこで降りよう」と、すぐに抱いて降ろすこともできますが、「どうやったら降りられるかな」と、本人に降りる方法を考えさせ、ジャンプするのであれば、身体に手を添えて自分で降りることにチャレンジさせることもできます。このときの子どもの「できた!」という達成感には大きな差があります。前者は大人に下ろしてもらうため、できた喜びを味わうことはできません。後者なら「できた!自分にもできるんだ!」と感じられるはずです。

「できた!」の感覚が自信に繋がる
ところで大人は、階段の5段目から一番下の地面へ飛び降りようとはなかなか思いませんよね。でもこれが2段目や3段目だったらどうですか? できるかどうかと問われたら、「いけるな」と思う人が多いでしょう。こうした感覚は小さな子どもでももっているといわれています。つまり自分で絶対にできなさそうなものには挑戦しない反面、体の感覚を掴むために「ギリギリできそう」と思うものに挑戦しようとするのです。
このとき、「できた!」という感覚を得ることが子どもの自信になります。身体能力が発達し、だんだん高い段差を飛べるようになるだけではなく、少しずつ自分に可能性があることを実感し、自分への信頼感を育みます。

「早く宿題しなさい!」

小学生になると、たいていの親が悩むのが宿題の存在です。学校から帰ってきて、すぐに宿題をやるのが理想かもしれませんが、うまくその習慣をつけられるのはごくひとにぎり。2年生、3年生になって「1年生のときはできていたのに…」ということも珍しくありません。夕方からずっと「早く宿題しなさい!」と言っている、なんてことはないでしょうか。

どうせ怒らなければ手をつけないのであれば、いっそ「学校に行く前までに完成すればOK」と考えるのもひとつの手です。子どもが「おやすみ」と言い始めるまで「宿題」のひとことは取っておいてみてください。もしかして寝る前に宿題を思い出し、自分でやるかもしれません。
やらずに寝ようとしているなら「宿題は?」と確認します。「朝は時間がないから、今やらないと宿題を出せずに学校で困るよ」ということを伝えて、本人が理解すれば、多くの子どもは「今やるしかない」と悟り、しぶしぶ宿題を始めるでしょう。

寝る前のタイミングをうまく活用
寝る前のタイミングは、子どもが宿題に手をつけやすいタイミングです。宿題の分、寝る時間が遅くなってしまうし、眠いのをこらえて宿題をしなければならないデメリットもあります。しかし、早い時間に宿題を済ませるのとどっちがいいかを決めるのは子どもです。寝るまでに宿題が済んでいるかどうかだけチェックしておき、すでに終わっていたらほめにほめてあげましょう。

「お友達の○○くん(ちゃん)って大丈夫なの?」

親がよく心配し、口出しをしてしまいやすいのが、子どもの友達関係です。幼児のころから小学生、それ以上に至るまで「そのお友達、どうなの?大丈夫なの?」と聞きたくなることは何度もあるでしょう。
一緒に時間を過ごす友達は、子どもが自分自身で選びます。親から見て心配な友達でも、子どもにはいいところがたくさん見えているのかもしれません。何か理由があって一緒に行動している可能性もあります。大切な友達を否定されることは子どもにとってとてもつらいでしょう。

子どもは大切な人づきあいを学んでいる
親から見て、いつかトラブルが起きるのでは?と心配がある友達だったとしても、子どもは大切な人づきあいを学んでいるのだと考えるのがおすすめです。それより、何かトラブルになったときに子どもが親を頼れるよう、日常の信頼関係を強固にすることを心がけましょう。友達を否定してくる親を信頼する子どもはいません。わが子を信頼し「困ったことがあったら相談してね」と普段から伝えておくことが大切です。

最終目的は、不測の事態にも親なしで対処できるようになること

子育てにはいろいろなことがありますが、最終的には“親の力がなくても子どもが自分自身で、さまざまな事態に対処できるようになること”が重要です。親が先回りをして危険や失敗を取り除いてばかりでは、子どもの対応力が育ちません。子どもは対応力を育てる過程で、自己肯定感を高め、自信をつけていきます。それはやがて社会生活を送る大切な心の基盤となっていくものです。
今回挙げた例はごく一部。生活のなかで心配しすぎるあまり、子どもの成長力を奪っていないか、どうしたら見守るスタンスでいられるのかを、少しずつ考えていけるといいですね。

ライター

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心理カウンセラー、占い師 あん茉莉安

ふたりの女子の母。専門はスピリチュアルと発達心理学。得意分野は幼児教育、習い事、小学校お受験、中学受験など。趣味は歌とバイオリン。教員免許、図書館司書、学校図書館司書の資格をもっています。占いやパワーストーンを通してさまざまな癒しを皆さまへお届けしています。

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