知っているだけで全然違う!2歳の「イヤイヤ期」を乗り越える心構え

知っているだけで全然違う!2歳の「イヤイヤ期」を乗り越える心構え

「イヤイヤ期」と呼ばれる2~3歳は、大人にとっては頭の痛い時期かもしれません。でも実は子どもの内面ではとても重要な成長が起こっているのです。今回は幼児の特性を知って、親子でハッピーなる子育てのヒントをお伝えします。

俗に言う「イヤイヤ期」子どもの見ている世界とはどんなもの?

部屋の中のあらゆる物、人の話し声。どれも初めてのものばかり。子どもは盛んに目や手、あるいは口を使って探索して、すべての物の印象を次から次へと吸収して行きます。

大人が何かものを見るときは、たいてい目的に応じて見るポイントを変えています。これによって短時間のうちに効率良く情報収集ができるのですが、逆を言えば不要な情報を無視しているために、細かな見落としが生じることもあります。

一方で、子どもは大人とはまるで違ったものの見方をしています。カメラで写したように「全体」の印象を捉えて見ているので「カメラアイ」と言ったりもしますが、大人と違い「見ること」自体が目的としているので、とにかく時間をかけてじっくりと見ます。細部までよく記憶して、いつもと違ったものにすぐに気がつきます。

気になるものがあれば、すぐ触ってみようとします。なぜか大人が触ってほしくない物ほど子どもは触りたがるものですが、旺盛な好奇心があるからこそ新しい情報をどんどん吸収できるのです。

3歳頃になるとそれまでに蓄えた膨大な情報を「自分なりの」ルールに基づいて整理するようになります。これを「秩序感」と呼びますが、重要なのは他の誰でもなく「自分の」ルールであることです。

秩序感を作っている時期の子どもはルールにとても厳格になり、特有の頑固さやこだわりを持つようになります。

この時期に子どもの内面ではとても重要な成長が起きているのですが、目には見えないぶん、大人にはわかりづらいものです。この間まで素直だった子どもが突然「イヤ!」と言い出すのですから、何が起きたのかなかなか理解できません。

うちの子もついに「イヤイヤ期」に突入したのか…と暗い気持ちになるかもしれませんが、ひと呼吸ついて、まずはこの時期の子供の特性を見て行きましょう。

秩序感を育てている子どもの行動

内面で秩序感を作っている子どもの特徴的な行動をあげてみます。

  • なんでも触ってみたい、自分でやってみたい
  • 納得のいくまで同じことを繰り返す
  • 物の位置や順序にこだわる
  • 仕組みなどに興味を持つ
  • ルール、約束事を守ろうとする
  • 「いつもと同じ」がいい!

身近な生活の中で得た膨大な情報を整理し、わかったことから順に秩序立てています。部屋の中にある物の位置関係や役割など、あらゆることに関する情報です。

椅子やテーブルなどの家具、本やおもちゃ、衣類やタオルなどの日用品、食べ物など目に入る全てのものについてです。それがどんなもので、どんな場所にあって、どんな使い方をするのかなど、知っていることをひとつひとつ整理していくのです。

例えば、あなたがたくさんの洋服を綺麗にクローゼットの中に整理して収納したとき、誰かがルールを無視した入れ方をしたら嫌な気分になりますよね。子どももちょうどそれと同じような気持ちだろうと思います。

子どもなりに苦労して整理整頓を終えたものについては、その秩序を乱されたくありません。この頃の子どもは周りの大人に対しても自分と同じ厳格さを求めることがあるので、大人がどう対応してよいか途方にくれることもあります。

いくつか例をあげてみます

自分の靴はいつも玄関に置いてあることを子どもが理解しているとします。これは「僕の靴」で、玄関の「いつもの場所」に置いてあるということが子どもにとっての秩序です。

それなのに、もしも違う場所に勝手に移動されたらきっと子どもは烈火のごとく怒ることでしょう。ひっくり返って泣いて抗議するかもしれません。

私は以前、玄関に乱雑に脱いだままの靴を見つけると「まっすぐ、まっすぐ」と言いながら並べ直す子どもを見たことがあります。このように物を綺麗にそろえることに楽しみを見出す子もいます。ミニカーをひたすら一列並べて楽しむ子どももいるかもしれません。

ものが「本来の目的を果たしている」ことも大切です。例えば、上着は「着る物」であって、腕に抱えるものではありません。外は暑くて上着を脱いだ方が良さそうなお天気なのに、「脱いだらどう?」と勧めても「脱がない!」と言って頑張ったりします。

散歩のときのルートも同じです。いつもと同じように歩くと見える「標識」や「ポスト」を確認することが子どもの楽しみかもしれません。

大人は良かれと思って「今日は違う道を通ってみない?」と提案するかもしれませんが、子どもにとっては「いつもと同じ」ほうが楽しめることもあります。「今日もポストがあるか見てみよう!」が楽しい散歩の合言葉になるでしょう。

ここで子どもの内面で育つ秩序感の成長をまとめておきます。

  • 第1段階 0〜3歳 無意識に環境から情報を吸収する時期
  • 第2段階 3〜6歳 自分ルールに基づいて、情報を整理する時期

65%の時間計算で余裕を持つ

第2段階の時期の子どもは情報整理にとても多くの時間をかけます。このことを理解して、あらかじめ余裕をもった時間配分で行動しましょう。大人の基準で100%のところ、子どもと一緒だと65%くらい。そのくらいゆっくり構えてみましょう。

また、次のようなことを意識すると良いですね。

  • 生活環境、生活リズムの安定
  • 毎日同じ散歩コース、目印の確認
  • 子どもの生活ペースに合わせる
  • 体験をゆっくり味わえる余裕
  • 穏やかにゆっくり話す

そうとわかっていても、早く出かけたい朝の時間は大人にとって相変わらず苦痛の時間かもしれません。でも知っているのと知らないのでは大違い!イライラしそうなときでも、子どもの顔を見ながら「今は秩序感を育てているのだな」と思えば、少し気持ちに余裕を持てます。

秩序感の整理に夢中になる時期は半年、長くても1年ほどです。この時期にしっかり秩序感が育てば、子どもは気持ちが安定して落ち着くようになります。

「いつのまにかこだわりが減ったな」と感じる時期がきっとやってきますから、頑張ってください!

ライター

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モンテッソーリ教育 堀田はるな

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

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