モンテッソーリ流「自己肯定感」を育てる声がけ。4つのポイント
日本人は「自己肯定感が低い」と感じている人が多いようですが、子どもには自尊心を持って幸せに育ってほしいものですよね。今回はモンテッソーリ教師がよくする声がけを参考に、子どもの自己肯定感を高めるポイントを探ってみたいと思います。
子どもの「自己肯定感」を育てる声がけとは
私の勤務先の「モンテッソーリ原宿子供の家」では、年に2回の保育参観があります。
先日も保護者から「活気があって、子どもが自信を持って活動していますね」「時間がかかることも飽きずに楽しくやり通していますね」「積極的に小さい子のお世話をしていてすてきだと思います」などの感想をいただきました。
どれも素晴らしいお褒めの言葉ですが、子ども達が皆パーフェクトに何でもできるかといえば、そんなことはありません。それぞれに得意なこと、不得意なことがあります。
普段は友達同士とても仲良く過ごしていますが、些細なけんかもあります。成長途中の不完全さをそれぞれに持ちながら、ありのままの自分に自信を持ってのびのび過ごしています。
彼らの様子を見ていると、こんな特徴があると思い当たりました。
- 精神面が安定している
- 自分を大切にできる
- 自分の判断に自信を持っている
- 失敗してもあまり気にしない
- 他者に寛容になれる
これらを総じると、いわゆる「自己肯定感」が育っているということかもしれません。では、どのような関わり方が「自己肯定感」を育てるのでしょうか?
それは、大人が「子どもの立場になってみる」「子どもを信頼する」ことに尽きると思います。具体的な関わり方を4つを紹介していきます。
気持ちを受け止める
子どもの立場になって気持ちを受け止めます。子どもに「寄り添う」と言ってもいいのかもしれません。
登園時間、気分が乗らなくてお母さんと離れがたい子どもがいれば、モンテッソーリ教師は「さみしい気分なの?確かにそういう日もあるよね」と気持ちに寄り添います。
とは言え、いつまでも玄関にいるわけにもいきませんから「お部屋で少し休んでいてもいいよ」と提案しながら保護者と別れて部屋に入ります。泣く子もいますが、ある程度気が済めば自分から活動し始めます。
済ますべきことがあるときは、「まず身支度を済ませてしまおうか、先生も手伝うよ」と子どもが前向きになるような声がけをします。本当は必要以上に手を出したくありませんが、子どもの様子をみながら少し手助けをします。
気持ちを受け止めて言葉にすることは、子どものモヤモヤを代弁することでもあります。子ども自身ではうまく言葉にできないことも、大人の代弁によって自分の気持ちを消化できるのです。
例えば、けんかをしてしまったときは子どもなりに理不尽な気持ちを抱えているものです。事情を聞いた上で「~がいやだったんだね」「悔しかったんだよね」と子どもの気持ちを受け止めます。
その上で、「また一緒にあそびたいんだね」「じゃあなんて言ったらいいかな」と子どもと一緒に考え、「次にいやなことがあったら、気持ちを言葉で伝えられるかな」「先生にも相談できるかな」と対応策を提案していきます。
例えば、こんな声がけです
- 「そうか、~だと思ったんだね」
- 「わかるよ、そういう時もあるね」
- 「悔しかったね、いやだったね」
- 「よかったね、先生もうれしいと思ったよ」
頑張りを認める
子どもが良い行いをしたときには、フィードバックを返してあげるようにします。単に褒めるのではなく、状況にあわせて子どもの頑張りを認めることが重要です。
成果が出なかった場合でも、努力した過程を認めましょう。大人が「きちんと見ているよ」とさりげなく伝えることで子どもの安心感と自信につながります。
例えば、こんな声がけです
- 「今日は○○を頑張っていたね、見ていたよ」
- 「小さい子にやさしくしていたね、先生はとってもうれしかったよ」
- 「お友達と喧嘩になってもたたかないで、言葉で気持ちを伝えられたね、よかったね」
具体的に褒める
子どもが「できたよ!見て見て!」とアピールしてきたときには、「具体的に」感想を伝えます。「すごいね」「うまいね」と大人目線で評価するのではなく、「私はここがすてきだと思う。あなたが気に入っているところはどこ?」のように具体的に返してみましょう。
または「一番難しかったところはどこ?」と質問してみてください。子どもの作品や活動について大人が興味を持っていることが分かれば、子どもは自分からどんどん話してくれると思います。
例えば、こんな声がけです
- 「ここがいいね、ここが好きだな」
- 「よくわかったね、いい目(耳、舌、鼻など)をしているね」
- 「一番~だったところはどこ?」
子どもに判断させる
日常のさまざまなことに対して、子どもに自分で考えるように促します。大人に指示をされるのが当たり前になってしまうと、子どもは自分で考えなくなってしまいます。
「これでいいの?」という言葉が頻繁に出るようなら危険信号だと思います。「どう思う?」「○○くんがもう充分だと思えば良いんじゃないかな」のように返したり、場合によっては「良いねえ」と感想を言うだけのときもあります。
必要と思えば「先生ならこうするけどどうかな?」「こんなやり方もあるよ」と助言しますが、最終的には子どもの判断を尊重します。
大人はつい必要以上に指示をしてしまいがちですが、子どもを信じて任せることで自主性を育むことができます。後で大人のフォローが必要な場合もありますが、少しずつ子どもに判断させる機会を増やしていきましょう。「あなたのことを信頼しているよ」というメッセージにもなりますよ。
例えば、こんな声がけです
- 「○○くんはどう思う?」
- 「私ならこうするけど、どう?」
- 「こんなやり方もあるよ」
いかがでしたか?ポイントは
子どもの立場になってみること、子どもを信頼すること
です。家庭での関わり方でも参考にしてみてくださいね。