更新 :
子どもの可能性を伸ばす 話す力、かく力
![子どもの可能性を伸ばす 話す力、かく力](https://enfant.media/wp-content/uploads/2024/10/2201_tokushu_00.jpg)
今回は「話す」「かく」、2つの伝える力にフォーカス。
伝える力を伸ばすことが、子どものどんな成長につながるのか、また大人はどんなサポートができるか、専門家に聞きました。
子どもの可能性を伸ばす 話す力、かく力
かく力 はどんな成長につながる?
☑ 想像力、論理的思考が伸びる
☑ 文字の習得がスムーズになる
☑ 空間認識力が育つ
☑ 自分の内面と向き合う力が育つ
☑ 人の気持ちに寄り添う力が育つ
かき足したものをきっかけに物語が変化
子どもの絵は、最初に完成図を考え、それに向けて順序よく進むものではありません。画用紙のスペースという制約の中で、絵と対話しながらかいていきます。車をかき、次に道をかいていたら画用紙の端に当たりクネクネに。クネクネ道からサファリパークを連想して動物やゲートをかいて…と。かき足した形をきっかけに物語がどんどん変わっていきます。このような思考を経験しながら、試行錯誤していくことで、徐々に論理的な思考を獲得していくのです。
思うがままにかくことが心の安定につながる
2歳頃までになぐりがき(スクリブル)を十分に行なった子どもは、文字を構成する要素である、点、線、はね、はらい、などを既に体得しているので、その後の文字の習得がスムーズに進みます。また、観察して絵をかけるようになると、目の前に広がる空間を立体的に理解する力が育ちます。さらに観察力が身に付くので、人の表情のわずかな変化を感じ取ったり、気持ちに寄り添うことができるようになります。
また、絵をかくことを通して自分の感情を吐き出すことができるので、心が安定するようです。私の教室でも、グシャグシャと思うままに絵をかいた子どもたちは、すがすがしい顔になって帰っていきますよ。
暮らしの中で“力”を伸ばすトレーニングを
子どもたちの「かく」力を伸ばすための基本は、多くの経験をさせること。大人ができることは実は身近にたくさんあるのです。
いつでもかける環境を整える
「かきたい」という気持ちは刹那的なもの。思い立ったらすぐかけるように、画材や紙を身近な場所にそろえてあげましょう。画材はえんぴつや色えんぴつ、水性マーカーなど、子どもが好きなものでOK。紙は、子どもが扱いやすく、親もファイリングしやすいA4サイズがおすすめです。裏紙など、子どもがなぐりがきしても「もったいない」と思わないものを用意して。
発達に合わせて接する
8歳頃になると見たままの形を正確にかこうとし始めます。それまでは子どもの発達段階(左囲み参照)を見守り、その時々の表現方法を認め、励ますことが、かく力を伸ばすことにつながります。
発達の目安
2歳頃まで
自分の指の動きが形を残すことを確認したり、かいた物をもう一度再現できるかを試して楽しんでいる段階。大人が無理に意味付けすると、子どものかく意欲が失われます。
[接し方] かいたもの自体を褒める。例=「きれいな線だね」「点々がいっぱいあってすてきだね」
2歳~4歳
2歳頃になると話しながら絵をかくようになります。3歳を過ぎると、顔から手足が生えた絵(頭足人)をかき始めます。自分にとって興味があるものだけを表現するのがこの時期。よく頭の上が削られた人の絵をかく子どもがいますが、それは子どもはいつも下から見上げているので上の方が見えず、分からないからだと言われています。
[接し方] 絵に込められた意味やストーリーを熱心に聞いてあげる。
5歳以降
色や形の概念化が始まり、多くの子どもたちが3つの三角山のチューリップをかくなど、絵が記号化されていきます。
[接し方] 一緒に絵をかくなどをして、いろいろな表現方法があることを伝える。
![](https://enfant.media/wp-content/uploads/2024/10/2201_tokushu_03.jpg)
あんふぁん読者のお悩みFAQ
Q. うまくかけないからと言って、絵をかくのを嫌がってしまう (東京都/年長のママ)
A. 友達の記号化された絵(例/三角山のチューリップ)を見て、「こうかかなければならない」という強いこだわりを持ち、でもその通りにできないジレンマが原因のことも。「いろんなかき方があるんだよ」と自由な表現方法に触れさせてあげて。
Q. かくことに興味がなく、どう誘ったらいいのか分からない (千葉県/年長のママ)
A. 絵をかく行為の先に具体的な目的があると、子どもも意欲的に参加します。コロナ禍でなかなか会えない祖父母に絵手紙をかく、家の壁に絵をたくさん貼ってミニ展覧会を企画するなど、楽しいプランで誘ってみて。そして、しっかりと褒めることで、次の意欲へとつながります。
Q. 創造力を働かせて、好きなものをかくことが不得意 (京都府/年長のママ)
A. コラージュ遊びがおすすめ。雑誌などの印刷物の写真をハサミで切り抜いて画用紙にのりで貼り、その写真をきっかけにして周囲の空間を補完するように絵をかき足していきます。行ったことのある場所を再現したり、想像の世界を作ったり…。自由な発想でイメージを広げられますよ。
![](https://enfant.media/wp-content/uploads/2024/10/2201_tokushu_04.jpg)
「かく」について教えてくれたのは… 岡橋 明さん
ビコロアート教育絵画教室代表。A.F.T 一級色彩コーディネーター。メーカー、総合商社勤務を経て現在に至る。プロダクトデザイナーとしての専門的知見を反映したアートプログラムを通し、子どもたちの、ひらめく力、創造する力、伝える力を育む活動をしている。
https://bicoloart.wixsite.com/bicolo-art