体操のお兄さん、やっててよかった!? 「パパ」になって知ったこと、驚いたこと
NHKの子ども向け番組で14年間、体操のお兄さんを務めてきた小林よしひささん。パパとなった今、お兄さんとは違う形で子どもとの関わりを満喫中! 自身の子どもとどう関わっているか、夫婦の関係まで、お話を聞きました。子どもとの向き合い方のヒントが満載ですよ!
子どもの成長を目の当たりにできて「楽しい!」
――現在3歳の娘さんのパパである小林よしひささん。ご自身のことをどんなパパだと思いますか?
小林)正直あまあま、デレデレのパパです(笑)。赤ちゃんの時から、お風呂、食事、着替え、寝かしつけも全部やってきて、できなかったのは授乳だけと言えるくらい。遊ぶのがウマいというのは、お兄さんをやっていたおかげかなと思っています。
妻からはよく「なんでなの!?」と言われるのですが、娘にはほとんど怒らないですね。だから娘にとっては「パパは味方!」という感覚があるのかも。とはいえ四六時中一緒にいたら、怒らなきゃいけないことももちろんありますよね。私は仕事で外に出ることがあるので、適度に子どもと距離を置いて向き合えているから、怒らないでいられるのだと思います。
――お風呂も、食事も、着替えも、寝かしつけもなんて、育児に対して意識が高い!
小林)うーん、意識が高いというか、子どもの成長を目の当たりにできて「楽しい!」という感覚が強いですね。0~3歳くらいって、あっという間にものすごく成長してしまう時期なので、見逃すなんてもったいないと思っています。もちろん自分の時間もほしいけど、昨日できなかったことが今日はできるようになったという、子どもの成長を見逃したくないなって。
最近だと、娘のおしゃべりがどんどん上手になってきていて、「昨日は何したの?」とひとこと聞くと、いろんな答えが返ってきて、こんな言葉を覚えたんだな!なんて、そういうことを感じられるのがすごく楽しいです。
――あんふぁん読者にアンケートをとると、まだまだパパの育児参加率が低い、もっと参加してほしい!と思っているママが多いですが、小林家ではパパの育児参加の比重がかなり大きいということですね?
小林)普段、外で仕事をしている時は、妻が100パーセント育児をやってくれているので、家にいる時は50パーセントだけやるという感じですね。夫婦で50:50でやれば、お互いがラクになりますよね。妻も「家にいるときくらい全部やってよ!」というワケではないので、お互いで半分ずつやって、普段より半分ラクになる。そういう感覚でいればケンカにもならないかなと思っています。
お兄さんとパパでは「責任感」が全然違う!
――子ども向け番組で仕事をしていた背景が、ご自身の子育てに影響を与えていると思いますか?
小林)お兄さんはやってはいましたが、「育児」は初めての経験ばかりで、うまくいかないこと、悩むことも多かったです。ただ長く子どもと関わっていたので、子どもへの声のかけ方を知っていたり、歌ったり、踊ったりもできるので、遊ぶきっかけを多くもっているという点では一般のお父さんとはちょっと違うのかなと思います。
――具体的にお兄さんをやっていた時と、ご自身の子育てで感じるギャップはどんなことですか?
小林)テレビの収録はだいたい1時間くらいです。毎回、初めて会った子どもと、その1時間だけを笑顔で、楽しく、収めればいいという状況。でも自分の子となると、一生責任をもって、関わっていかなきゃいけないというのが全然違うなと感じます。もちろん収録中も危険なことがあれば、注意もするんですけど、自分の子どもとなると全然変わってくる。お兄さんとしての自分ではない、パパとしての自分を発見しましたね。
子どもが好きでお兄さんをやっていたので、収録に来てくれた子どもたちのことは、「本当にかわいいな!好きだな!ナンバーワンだ!」と思っていましたけど、いざ自分の子どもが生まれたら「自分の子が一番だ!」とランキングがガラッと変わったんです。
実は出産に立ち合ったあと、収録もあったんですね。子どもが生まれた瞬間にランキングが変わったので、「第2位の子どもたちに会うのかー」なんて思いながら収録に行ったんですけど、その子たちを見た時に、一人ひとりが、その子のお父さん・お母さんの一番で、一人ひとりが宝物なんだと思えて、なんて幸せな仕事をさせてもらっているんだろうと気づいたことも新たな驚きでしたね。
――仕事の時は笑顔で対応できたけど、自分の子どもとなると笑顔になれない…なんてエピソードはありますか?
小林)それはもうありますね(笑)。急いでいる時に、おもちゃをぶちまけられたり、もう出ないといけない時間なのに、まだ服を着替えてないとか…。白目になっちゃうことも当然あります。笑顔で対応できない時っていうのは、だいたい忙しい時、疲れている時なんですけど、でも娘の寝顔とか、遊んで楽しんでいる姿を見ていると、「この子のために頑張ろう!」と思えて、自然と笑顔になれますね。
お兄さん時代も「笑顔でいなきゃいけない!」と意気込んで、最初のうちは引きつった笑顔だったこともありました。でも結局は、まわりにいる子どもたちを楽しませようとすると、子どもたちがいい笑顔でこちらを見てくれて、そのおかげで笑顔になれたということがよくありました。緊張すると子どもの方を見て笑顔をもらっていましたね。
――娘さんはイヤイヤ期真っただ中の3歳ですが、「イヤイヤ」言いませんか?
小林)1日中言っていますよ(笑)。私は子育てで「自主性を伸ばすこと」を重視しているので、「服を着たくない!」というイヤイヤに対しても、「どっちにする?」といって服を選ばせるようにしています。そうすると着てくれるんですよね。子ども自身に選ばせるということは小さい時からさせてきました。だから今まさにイヤイヤ期なんですけど、割とコミュニケーションは取れているかなって思います。
体操のお兄さんとして、たくさんの子どもたちと関わってきた小林さんですが、ご自身の育児となると思い通りにいかないこともあるようです。それでも、子どもと接する時間が長かった分、子どもを楽しませるコツをたくさん知っています。次回はそのコツを少しずつ紹介していただきたいと思います。4月20日頃公開予定、お楽しみに!
話を聞いたのは
小林よしひさ
1981年、埼玉県生まれ。日本体育大学卒業。2005年~2019年NHK・Eテレ「おかあさんといっしょ」体操のお兄さんを歴代最長14年間務める。卒業後も得意な料理や運動能力を生かし、バラエティ番組、CM等で活躍。
子ども向けイベント、体操指導など活動の幅を広げる。YouTubeチャンネル「よしお兄さんとあそぼう!」も人気。「第10回イクメンオブザイヤー2020」芸能部門受賞