「子どもに教えてもらう」といいことがいっぱいある!

「子どもに教えてもらう」といいことがいっぱいある!

こんにちは。コラムを担当する兼業主夫放送作家の杉山錠士です。
妻がフルタイム勤務なので、比較的時間を調整しやすい僕が家事育児を中心的に担い、娘二人を育てています。
その経験を基に男性の家事育児に関して様々なメディアでコラムを執筆し、現在は子育てポータルサイト「パパしるべ」の編集長をしています。

「最近のアイドルがみんな同じに見えて、誰が誰だかわからない」
子どもの頃、父親と音楽番組を観ていると、そう言われることがありました。こちらとしては、全然違うのになんでそんなことを言うのだろうと不思議だったのを覚えています。
親になり、年を重ねた今。残念ながら父親と同じ状況になっています(苦笑)。娘たちが観ているアニメがほぼ同じに見える…。なるほど、こういうことだったんですね(汗)。実際に脳の影響で人は離れた世代の人の顔を識別しにくいそうです。その他にも、どうやら子どもの方が詳しいことや、よくわかることがあります。

親より子どもの方が詳しいことってあるよね?

人にもよると思いますが、子どもって興味をもつと、ものすごい力を発揮しますよね。観察力、集中力、記憶力。さすが若くて活発な脳には勝てない! 電車のこと、虫のこと、ゲームのこと、アニメのこと、ポケモンのことなど。こちらが全然覚えられないことをいとも簡単に覚えます。あとはお友達の顔や名前もそうですね。
そんな中で、ぜひみなさんにオススメしたいのが、「親より子どもの方が詳しいことを子どもにちゃんと教えてもらう」ということです。なぜなら、この関わり方にはいいことがたくさんあるからです。
教えてもらっているとき、親子の関係性が逆転する
ひとつ目は教えてもらっているとき、親子の関係性が逆転することです。
親は子どもにたくさんのことを伝えようとします。それは子どもが大人になるまでの間で覚えておいた方がいい知識や習慣、マナーなどさまざま。いわゆる「教える」とか「伝える」ということですが、もし覚えられなかったり、できなかったりすると、叱ったり、ダメ出しをしてしまいがちです。立場としては「先生と生徒」「上司と部下」のように上下の関係があり、そうなると、こちらにそんな気がなくても、子どもにとっては上からものを言われているような感覚があるかもしれません。大人もそうですが、先生や上司という立場が上である人には、気を遣わずに言いたいことを言うのがとても難しいものです。子どもとそういう関係になるのは、なんだかもったいないですよね。
とはいえ教えたり、伝えたりすることも大切なので、それをやめましょうということではないのです。時には逆の関係になることがあると知ってもらうのです。そうすることで、子どもにとって親は、常に上から押しつけてくる人ではなくなるのです。自分の方が正しい、詳しいときがあるとわかります。
これこそ対等な関係。あっているか間違っているかは別として、感じたことや考えていることを言いやすい関係になると思います。

教えてもらうと「教え方」「伝え方」の練習になる
言葉が未熟な子どもの言っていることは、正直理解しにくいことがたくさんあります。普段はその足りない言葉を親がくみ取って理解に努めるわけですが、しっかりと伝えられるようになることも必要なことですよね。子どもは親に対していろいろなことを教えようとすることで、「どんな言葉を使って、どんな言い方で言ったら伝わるか?」ということを習得していきます。もちろん保育園や幼稚園などでまわりの人たちと関わるようになれば自然と学んでいくことですが、その練習を親とすることはより上手になれる可能性があると思いませんか?

知識だけでなく感情や考えを伝えることはとても大事なことです。いわゆるコミュニケーション能力。これは生きていく上で必須ですよね。
また親子で質問と回答というやりとりをすることで、教え方だけでなく聞き方も覚えられる可能性があります。大人の世界でも「傾聴」は大事だといいますが、新たな知識を得るために質問する力をつけることはとても重要。効率的、かつ効果的に学ぶために必要なことです。

好奇心をもつことに前向きになれる
3つ目は「好き」「興味がある」はいいことだと感じること
僕が学んでいるアドラー心理学の考え方では、共感が重要とされますが、そのときによく言われるのが「相手自身に関心をもつのではなく、相手の関心に関心をもつ」ということ。向き合って子どものことを見ることももちろん大事ですが、となりに並んで子どもが見ているものを一緒に見ることもまた大事。ひとつ目に挙げた対等な関係にもつながります。また、親が一緒になって見ながら「それのどこがいいの? へー、そうなんだ! ありがとう」と伝えることで、自分が好きなもの、興味があるものを肯定される経験になり、好きでいい、興味があっていいと感じられます。これは自己肯定感にもつながりますし、好奇心をもつことに前向きになれますよね。

子どもにとってもっとも身近な親が、お手本になることは間違いないことだと思います。そんな中で、親になると、ついつい「いい親にならないと」「親としてちゃんと伝えよう」というプレッシャーから、上から目線で押しつけてしまいがちです。また正しい姿だけを見せようとしてしまうことも多いでしょう。
でも、成長過程の子ども達にはできないこと、わからないこともいっぱいあります。それを学び、習得することが大事なのに、できないと叱られたり、ダメ出しをされるのではやる気もなくなりますよね。
だったら、親が自ら「わからないから教えて」という立場になって、学ぶ姿勢を見せることもまた子どもの成長に必要なお手本ではないでしょうか?
「親の言うことを聞きなさい!」と育てられた我々の世代には、なかなか難しいことかもしれませんが、たまには子どもに「教えて」と聞くこともやってみてはどうでしょうか?

教えてくれたのは

杉山錠士
1976年、千葉県生まれ。
兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。
高3と小4という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。
地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「主夫の友アワード」「娘のためのパパ家事スクール」「パパ家事サイエンス」「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、パパ向けスクール「スゴパパ工場」工場長。
■著書
*新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~(主婦の友インフォス情報社)
*急に「変われ」と言われても(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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