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いじめられやすい小3息子。被害者的な考えをすることも…どう対応したらいい?
【Q 】いじめの標的になりやすい小3息子。どうしたらいい?
小3の男の子です。学校でいじめの標的になりやすいタイプのようで、また「イヤなことを言われる」という発言も多く、気になっています。少し被害者的な考えのクセがあるので、それも直したいのですが、どうしたらいいでしょうか?(はしこ)
【A】イヤなことを言う子どもが増えている現状
ご相談者さんが、自分の子どもが「被害者的な考えをする」と感じるのは、どうしてなのでしょうか。お子さんが被害にあっているということに、まったく心あたりはありませんか?
「こんなこともできないの?」「おまえ、ゲーム下手くそだな~」「おまえと遊ぶのはつまらないから、仲間に入れない!」など、お子さんが友だちから言われることがあるのではないかと思います。
今の子どもたちは、コロナ禍の影響で大事な力を育めなくなっています。それは、マスク生活が長かったために「ノンバーバルコミュニケーション(相手の表情を読む、相手の反応を確かめて自分の言葉を変えるなど)」の力が格段に落ちているのです。そのため、悪口だと気づかない、相手の反応が読めないので、悪口を延々と言い続けるなどが起きています。マスクで口元が隠れていることで、表情を読むのが困難になったことが大きな原因です。そうしたことが、子どもたちのトラブルにつながるケースも増えているのです。相手の表情が読めなければ、そうなるのは必然だといえます。
こうした日々の積み重ねで、ストレスを増大させているのが、今の子どもたちなのです。そのため、子どもたちが荒れ、授業が成立しない学級が増えているのです。もちろん、これだけが理由ではありません。現在、有名私立大学附属の小学校でさえ、荒れ始めているのです。そう考えると、子どもたちに大きな異変が起きているのも確かなのではないでしょうか。
「被害者的な考え方」の内容を考えましょう
もしお子さんが、たいしたことがないにも関わらず、「イヤなことを言われる」と感じるなら、少し考え方を変える必要があるかもしれません。しょっちゅう悪口を言う子どもは、たいてい何らかのストレスを抱えていることが多いです。悪口を言って発散させているのです。また、悪口を言っている子ども自身が友だちにイヤなことをされ、その感情のはけ口が悪口となって表れることもあります。
「イヤなことを言われる」とわが子が言ってきたら、「被害者的」と考えるのではなく、まず、どんなことを言われたのかをじっくり聞いてあげてほしいと思います。そして、ちょっと大きくとらえすぎだなと思ったときには、「どうしてそう思うの?」と深堀りして聞いてあげてください。そして、別の見方を提示してみましょう。
もし友だちに「おまえ、バカだなぁ」と言われていたとするなら、前後の話を聞くと同時に、どんな言い方をされたのか、ニュアンスも聞いてみてください。子どもはそうした悪口っぽい言い方で親しみを表すこともあるからです。そのニュアンスが読めるようにアドバイスしていってほしいと思います。そうした積み重ねで、「被害者的な考え方」と思われることが、少しずつ減っていくと思います。
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増田修治先生 あんふぁんサポーター
白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。