ついガミガミと怒ってしまうけれど、子どもにとっていい方法って?

こんにちは。コラムを担当する小崎恭弘です。私は、兵庫県西宮市初の男性保育士として12年勤務後、3人の男の子の親としての体験などもベースに「父親の育児支援」の研究を始めました。現在は大学で教鞭をとりながら、多彩なメディアや講演会などで情報を発信しています。

今回のテーマは「ついガミガミと怒ってしまうけど、子どもにとっていい方法って?」です。ついつい、怒ってしまいますねー。気持ちはよく分かります。だって子どもたちは、パパの言うことを全然聞いてくれないのだから。社会の中でこれまでの人生の中で、これほど頑固にそして強固なまでにこちらの意図が通じない人に出会ったこと、いや生き物に出会ったことはないのではないでしょうか?

親になること=子どもの不条理に向き合うこと

親になるということは、子どもの不条理と対峙するということです。わが子の育ちは親としての責任となり、ママとパパが基本的にどうにかしなくてはなりません。仕事であれば、他の人に助けを求めたり、時にはお金で外部のサービスを活用したりして、なんとかできたりします。またその仕事自体を断ったりキャンセルしたりすることも、選択肢の一つとしてあり得ます。しかし子育てはなかなかにそれらがしにくいです。キャンセルはもうできないですからねー。子どもにクーリングオフはありません。

頑張って怒っても大抵は報われません

子どもとのいろいろな関わりの一つとして、「怒る」ということがあります。それでは「ガミガミと怒る」その結果どうなりましたか? うまくパパの思い通りになったでしょうか? うまくいくこともありますが、多くの場合なかなか理想の結末を迎えることは少ないように思います。「怒る」時点でハッピーエンドではないですからね。

パパが怒ります。子どもは「パパきらい!」「あっちいって!」といって、パパの評価が下がってしまう。あるいは子どもが大泣きしたり、余計に状況がひどくなってしまい「もぅ、パパなにしているの…」と、ママから冷たい視線を送られる。子育てをしていれば、良くある場面だと思います。ツラいですね。こんなにも頑張っているのに。何一つ報われません。パパの孤独です。頑張りましょう。

子どもの行動を変化させるレパートリーをいくつか持とう

そんな時は発想を転換して、「怒る」のをやめてみてはどうでしょうか? そもそも、なぜ子どもを怒らなくてはいけないのでしょうか? 少しその理由を考えてみましょう。多分、子どもたちが何かしてはいけないこと、危ないこと、周りが困ることをしているので、それらを静止したり加減させたりしたいと思い、怒ることになるのでしょう。つまり、子どもの行動がどうにかして変化をすればよいということです。パパは、子どもの行動をどのように変化させられますか? そのためのレパートリーを、いくつ持っていますか? 実はそのレパートリーが少なくて、あるいは思いつかなくて、一番手っ取り早く、また効果的に思える「怒る」を使っているのではないでしょうか?

日本には古来より、子どもとの多様な関わり方を表す言葉があります。「ほめおだてなだめすかし」という言葉、お聞きになったことありますか。さまざまな関わりの中で、怒ったり感情的になることも、時には必要だと思います。しかし、それらはその他のたくさんのレパートリーの中の一つであってほしいと思います。子どもの行動を変化させるときに、怒って感情的になるだけではなく、ほめたり、なだめたり、時には理論的に叱ったり、なだめすかしたり、場合によってはそれらの行動を全く相手にしなかったり。たくさんの関わり方を意識して使うことで、子どもとパパとの豊かなコミュニケーションの幅が出てきます。子ども側の行動の変化に着目して、パパからの関わり方を少し変化させてみましょう。それだけで「ガミガミ怒るパパ」からの脱却ができますよ。

「怒る」ことは、パパと子どもどちらにとっても、なかなかにしんどい経験です。だからまずはその回数を減らしてみて、最後の手段として「怒る」を置いておきましょう。その前段階の関わりを大切にしてくださいね。

教えてくれたのは

小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。
http://kasei.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/teachers/5.html

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大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘

大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。

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