「たたかない・どならない子育て」をするための、ちょっとした心がけ

「たたかない・どならない子育て」をするための、ちょっとした心がけ

子どもはかわいいはずなのに、子育てをしているとイライラして、つい大声を出してしまったり、手を上げてしまったり。そんな自分に自己嫌悪におちいっているママも多いのではないでしょうか。さら助産院(埼玉県)のベビーマッサージクラスで開催されたミニ講座「たたかない・どならない子育て」にて、NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事などを務める高祖常子さんに話を聞きました。

子育て中はイライラするのが当たり前

講座に集まったのは0歳児の赤ちゃんとママ12組。講座は、ママたちに、「たたかない、どならない育児」と聞いて思うことを、一言ずつ話してもらうところからスタート。「しつけに厳しい父にたたかれて育った。子どもとどう向き合ってよいのかわからない」、「よその親が怒鳴っているのを見ると、将来ああなるのはイヤだなと思ってしまう」、「上の子がイヤイヤ期。毎朝、『今日は怒らない』と決意するのに、夕方には怒ってしまい、自己嫌悪になる」などの意見が出ました。
うなずきながら聞いていた高祖さんは、「これから子どもが成長する過程で、イライラする瞬間は絶対にあります。そのときの対処方法を知っておくと、どなったり、たたいたりすることを避けられます」。

赤ちゃんが泣き止まないときは?~これだけはやらないで!

「0歳時の赤ちゃんに対しても、『泣き止まない』などの理由でイライラすることはありますよね。未熟な状態で生まれてくる人間の赤ちゃんにとって、泣くことは生きるための手段なのです。お腹がすいた、眠いといった理由だけでなく、なんとく気分がすっきりしない、という理由で泣くこともあるでしょう。何をしても泣きやまないときは、『泣きたい気分なのね』と泣かせてあげればいいのです」。
高祖さんが挙げた、赤ちゃんが泣き止まないときでも、やってはいけないこと。
 ・強く揺さぶる
 ・投げる
 ・口をふさぐ
 ・たたく
以上は、赤ちゃんの命を守るためにも、絶対にやめてくださいとのこと。

イヤイヤ期はどうする?~「たたかない」と決める

「自我が出る2~3歳は、『イヤイヤ期』と言われますが、これは成長のステップ。自分の気持ちを表現できるようになったということです。ただ、相手のことを考えたり、場の雰囲気を察したりすることはできない、気持ちを切り替えることも難しいので、大人にとって大変な時期であることは確かです。でも、子どもの主張を『ダメ!』と押さえつけてしまうと、自己表現の機会を奪ってしまいますし、たたいて言うことを聞かせる方法を取ると、親の顔色を見て行動する子になってしまうかもしれません。『軽くたたく』のつもりが、エスカレートする危険性もあります。とにかく、『たたかない』と決めてください」。

子どもの困った行動には?~まずは子どもの気持ちを受け止める

では、子どもが自分勝手なことを言ったり、迷惑な行動を取ったりした場合、どうすればいいのでしょうか。
「怒る前に子どもの感情を受け止めることが大事です。たとえば、靴を履かない子に、頭ごなしに『履きなさい!』とどなるのではなく、『そうなんだね。履きたくないんだね』と気持ちを代弁してあげる。『じゃあ、これとこれ、どっちを履きたい?』と本人に選択肢を与えてあげるのもいいですね。
部屋で棒を振り回そうとする子に、『ここでは危ないからやめてね』と制止するのはもちろん。でも、何度もやるのなら、それはやっぱりやってみたいから。『ここは危ないけど、人がいない公園ならいいよ』、『風船で作った棒ならいいよ』など、代替案や条件を示してあげたり、『どこならいいかな?』と一緒に考えたりするのもいいですね。威圧するのではなく、自分で考えて行動するように導いてあげることができれば、社会に出てからも、自分で判断・行動できる子になります」。

上の子に厳しく当たってしまう場合は?~上の子に向き合う時間を作る

「ママが赤ちゃんのお世話で大変なときに、上の子にわがままを言われて、イライラして当たってしまうことも多いですよね。そういう場合は、たとえば、『おっぱいが終わったら、二人で絵本を読もうね』のように、具体的な約束をしてみましょう。月一回でもいいので、下の子をパパに任せて上の子に向き合う時間を作ってあげるのもいいですね。おいしいおやつを食べて『ママと○○ちゃんとの秘密だね』と伝えたら、上の子はきっとうれしいはず。頭をなでたり、下の子に優しくしてくれたら『ありがとう。うれしそうだよ!』とほめて、下の子の気持ちを伝えましょう。心を満たされると、下の子にも優しくできるようになります」。

ママのイライラを逃す方法を知っておこう

「イライラしてたたいたり怒鳴ったりしそうになったときに、クールダウンする方法を知っておくといい」ということで、高祖さんのおすすめは、たとえばこんなこと。
 ・子どもから離れる
 ・深呼吸する
 ・数を数える
 ・お皿洗いなどで心を浄化する
「触ってはいけないものは高い場所に片づけておく、お菓子売り場を通らない工夫をするなど、イライラする要因を排除することも大切ですね。また、日頃から少しでもリラックスする時間を作って、ガス抜きすることも必要です。一時託児サービス利用したり、パパに預けたりして、1時間でも2時間でも、一人になる時間を作ってください。家事もがんばりすぎないで、疲れた日はお惣菜を買うなど、手抜きをしてもいいのです」。

相談できる人を見つけよう

「日中一人でがんばっているママには、大人の会話をしたり、小さなことを相談したりできる人が必要」と高祖さん。
「まずは、パパと向き合うことをあきらめないで。二人で、『子どもにはどんな大人になって欲しいか』を話し合ってみることも必要です。一時的な感情を子どもにぶつける対応が、思い描く将来のわが子の姿につながるのか、ということも見えてきます。でも、パパは帰りが遅かったり、話を聞いてもらえなかったりすることがあるかも。そういう場合は、両親でも、ママ友でも、行政の担当者でもいいので、とにかく相談できる人を見つけて欲しいですね」。
 
私も7歳と3歳の育児中。毎日、仕事も家事もするべきことは山ほどあって、そのうえ子どもたちが思い通りにいかないと、ついつい大きな声に。子どものためにはならないと、わかってはいるのですが。早速、「どなりそうになったら深呼吸」を実践してみようと思います。

取材協力:さら助産院 http://www.sara-lovebaby.com/
     特定非営利活動法人児童虐待防止全国ネットワーク http://www.orangeribbon.jp

<文:フリーランス記者 鯰美紀>

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