「父親の言うことをきかない」というお子さんの場合のレッスン
2学期が始まりました。宿題にヤキモキした夏休みが終わって、ホッとしているママもいるかもしれません(笑)。ホント、日本のママたちは夏休みになると、いっせいに宿題に悩み始めるようです。でも、オーストラリアには宿題がありません。だから悩みもありません。「今、子どもたちに一律に与えられている学校の宿題って本当に必要なの?」「それ、悩む意味あるの?」と思っている私です。
昔のお父さんは「威厳」があった!?
今回は「父親の言うことをきかない」お子さんの場合のレッスンです。昔のお父さんはこわーい存在でした。「カミナリおやじ」なんていう言葉もあるくらい、怒らせたらもう口答えなんてとてもできない、言うことをきかないと外に出される、ご飯を食べさせてもらえない、そんなこともあったのではないでしょうか? 私の育ったころの話なので…、だいぶ古いですね(笑)。
そんなお父さんでも、外で一緒に遊んでくれたり、肩車をしてくれたり、膝に入れてくれたりすることがあれば、子どもも十分に愛情を感じることができますよね。昔のお父さんは一家の主、長として「威厳」がありました。今のパパたちは、昔と比べると優しくなりました。家事を分担してくれるパパも多いですし、子どもを怒ることも少なくなり、一緒に遊んだり、コミュニケーションをとる時間も増えています。それはとてもステキなことだと思います。ただ、家庭によっては、パパの「威厳」がなくなってしまっているようにも思います。そのため子どもにバカにされてしまって、言うことをきかないのかもしれませんね。
では、パパの「威厳」とは何なのでしょう? どこから感じるのでしょう? それは、ひとつはパパ自身が日頃、子どもにどんな姿を見せているかということ、もうひとつは、ママがパパの「威厳」を保っているかどうかです。子どもが日頃のパパを見て、頼りない、尊敬できないと感じていたら、言うことをきかなくなるかもしれません。またママが子どもの前で、パパの悪口を言ったり、バカにしたり、「頼りない人」、ヘタをしたら「いなくてもいい人」にしてしまっている場合も、言うことをきかなくなる可能性は大いにあるでしょう。どんなに優しくて怒らないパパでも、ママが一家の主としてパパの尊厳を保つ言動をしていたら、子どもたちはパパの言うことをきくのではないでしょうか?
わが息子の場合、父親は基本、優しい人でした。休みの日には一緒に遊び、めったに怒ることもありませんでした。息子が思春期になると、逆に息子の方がえらそうな口をきいていたときもありました。でもごくたまに「いい加減にしろ!」と真顔で怒るときがありました。1年に1回程度です。その時はそれまでえらそうな態度だった息子も、急に顔色を変えて、態度を改めていました。もうひとつ、自営業だったので、息子は小さいころから父親が働く姿を見ていました。それも威厳を保つために有効だったと思います。
夫婦間の父親的役割と母親的役割のバランス、どうなっていますか?
威厳が大事と言っても、いつも怒っている親のもとでは、子どもは常におびえて萎縮してしまい、大きくなってからもずっと、父親(男性)への恐怖心が消えない、自分の気持ちを尊重できず、自分らしく生きられないという支障が生まれます。かといってただ優しいだけで、叱ることができないという親では、単なるわがままな子どもを育ててしまうという可能性もあります。私は基本は優しいけれど、いざという時は厳しい、メリハリがある親がベストだと思っています。それは父親だけでなく、母親も同じことです。一般的な性の性質から考えると、母親の言うことをきかない時、力の強い性である父親が戒めて正す、という形が自然だと思います。ただ、男性・女性それぞれ、男性性も女性性も持ち合わせていて、その強さは人それぞれなので、要は夫婦間でどうバランスを取るかです。父親的役割と母親的役割のベストバランスは、それぞれの夫婦によって違ってよくて、それは相関関係にあるということを踏まえて、一度ご自分の家庭がどうなっているのか、パワーバランスを考えてみてはどうでしょうか? 父親の言うことをきかなくても、母親がビシッ!と締めるところを締めているのなら、それはそれでいいことです。
親力強化レッスンの4つのポイント
「父親の言うことをきかない」お子さんの場合のレッスンは、
1. ママがパパの尊厳を保つ言動をとっているか振り返り、改善点があれば改める
2. パパ自身も子どもから尊敬されるよう、日頃のふるまいを振り返り、改善点があれば改める
3. 親として基本優しく、いざという時は厳しくというメリハリをつける
4. 家庭内、夫婦間での役割、パワーバランスを客観的に見て、ベストバランスを見つける
です。
最後に父親・母親に関わらず、「子どもは親の言うことをきかなければならない」という思い込みのもとに、わが子に言うことをきかせようとしていたら、それは大変危険です。「言うことをきかない」となげく前に、その「言うこと」は本当に従わせる必要があることなのかを改めて考えてみていただきたいです。