4歳に将棋は早かった!?10か月を通して感じた上達のカギと伸びしろは…
筆者の息子は、4歳だった今年の2月から将棋教室に通い始めて、11月で早10か月。個人で運営している教室と日本将棋連盟が運営している教室に週1回ずつ通っています。
近年の将棋ブームで「習わせてみたい」「何歳くらいから始めるのがいいの?」「まだうちの子には早いのでは?」と、疑問に思う人もいるかと思います。そこで、幼稚園児の将棋教室体験談を紹介したいと思います。
費用はほかの習い事に比べて安い!将棋教室に通い始めたわけ
将棋教室に習い始めたのは、4歳の終わりごろ。将棋のレベルは、駒の動かし方が分かる程度でした。何も習い事をしていなかったので、将棋はどうだろうと思い検索したところ、すぐ近くに個人でやっている将棋教室があることが判明。早速見学へ。
その教室は、小学1年生から6年生まで計25名ほど。詰将棋のプリント問題を解いてから先生が大盤で講義、対戦という流れでした。その日の帰り道「楽しかったー」と何回も言うので、「通いたい?」と聞くと「通いたい!」と。習うことになりました。
月謝は教室によって違うと思いますが、息子が通っている個人の教室は1回300円。4月から始めた日本将棋連盟が主催している教室は、年会費5千円で会員になれば自由に通えます。将棋はほかの習い事に比べて費用が安いのも魅力ですね。
初めての勝ち星と勝つ意味について考える
最初はなかなか勝つことができませんでしたが、習い始めて1か月経ったころ。先生も認めるほど急に上達した瞬間が訪れました。初めての勝ち星は、あまりほめられた勝ち方ではありませんでしたが、そこからは勝ったり負けたりの繰り返し。
ある日、家で詰将棋の予習をしていると「(将棋は)なんで勝たないといけないの?」とぽつり。あまりに哲学的な質問で返答に困りました。あまり勝ち負けにこだわる性格ではないのは分かっていましたが…。勝つとうれしい! 負けたら悔しい…と思う日は来るのだろうかと思うできごとでした。
詰将棋は好きだけど、漢字の書き順がめちゃくちゃ!
息子は玉に王手をかけ続けて詰む問題、“詰将棋”が好きです。机に向かって詰将棋を解く姿だけは小学生にも勝るとも劣らない。ただ、教室で詰将棋の問題を解くときは、数字と漢数字、駒の漢字を書かなければいけません。まだ書けない漢字を見よう見まねで書くので、書き順がめちゃくちゃ! 漢字に興味を持つことはいいことだけど、間違った書き順を覚えるのはいけないと思い、正しい書き順を教えました。
「龍」や「飛」と難しい漢字もあるので、とにかく漢字を書くのに時間がかかる。制限時間内に書き終わらないという悩みも。もちろん、ひらがなで書いてもいいのですが、なぜか漢字を書きたがる息子…。まだ文字を習っていない未就学児には、棋譜を書くのはちょっと難しいかもしれませんね。
最初は家で予習して全問解いていた詰将棋も、だんだん予習もしなくなり、回答用紙も白紙で帰ってくる日も…。問題が難しくて分からないのかと思いきや、聞いてみると答えは分かっている様子。子どもだけでは、モチベーションが保てないので、一緒に将棋の詰将棋の問題に向き合ったり、将棋盤を出してきて「将棋しようよ」と誘ったり、大人がサポートしてあげることも必要です。
上達の鍵は「家での努力」。でも親子で対戦すると…
先生いわく、「家でどれだけ努力するか」が上達の鍵だそう。ただ筆者の場合、息子と対戦しているとついつい口出ししてしまい、子どもが萎縮してしまう…。このままでは将棋を嫌いになってしまうのでは? と危機感を感じ、教えることに向いていない筆者は、親子対戦は封印しました。
対戦相手がいない場合、将棋アプリでコンピューター対戦もできます。ただ息子の場合は、コンピューターの打つ速度が速すぎて、それにつられて早く打ってしまい、一手一手考えて打つことができなくなってしまいます。コンピューター対戦は相手がいなくてもできるのは便利ですが、考えずに打ってしまうのは一長一短だと感じています。
将棋は何歳から始められる?習い始めるタイミングは?
将棋を始めるのは、5歳くらいからがおすすめとされています。なぜなら、このころから子どもは「勝ち」「負け」を意識するようになるから。藤井聡太七段も5歳から始めたと言われています。
教室に通い始めるのも、「勝つと嬉しい」「負けると悔しい」と思えるようになってからの方がいいかもしれません。同世代、同レベルの子がいる教室に通うのは、ライバルがいて刺激になりそうですね。
将棋は戦法を覚え、考えられる子が強くなれます。戦法を覚え理解できるようになる年齢は人それぞれですが、周囲を見ていると小学校低学年の子は伸びしろが大きいと感じました。将棋教室はマンツーマンで教えてもらえるわけではないので、「向上心がある子」「よく考える子」「家庭でも努力をしている子」が上達しています。将棋に限ったことではありませんが、始めるのが早い=強くなるわけではないんですね。
勝ち負けだけが重要じゃない!考える力・論理的思考が身に付く
何通りもある手筋の中から玉を詰む手筋を導き出す将棋は、プログラミングと同じ考え方です。
対戦中はずっと考えるので、考える力が身に付きます。ただし、考えていればです。考えずに直感で打っていると考える力は身に付きません。先生は「相手がどうしてそこに打ったのか考える」「自分がなぜそこに打ったのかその理由が答えられるように」と日ごろから教えています。
勝ち負けだけが重要ではなく、なぜ自分がそうしたのか(そう思ったのか)説明できることは、勉強や実生活にきっと役に立つことでしょう。
幼稚園児に将棋を習わせるときは、口うるさく教えて嫌いにならないよう気をつけながら、考える楽しさを教えるといいかもしれません。私はこの10か月を通して、勝っても負けても「考える力」が身に付く将棋は、幼稚園児でも習わせる価値アリだと感じています。