パパは気づいたらスマホやパソコンばかり… ⼦どもとどう関わったらいいのかわからないパパへ
家にいるのにスマホやパソコンばかりで、子どもの相手をしてくれないパパ…。子どもとどう関わったらいいか、わからないのかもしれません。今回は「スマホやパソコンばかりになってしまうパパに大切にしてほしいこと」や、「子どもとのコミュニケーションの取り方」について、大阪教育大学教授で大阪教育大学附属天王寺小学校元校長の小崎恭弘さんに教えてもらいました。
パパがスマホやパソコンばかりの理由
とても現代社会的な悩みだと思います。コロナでの在宅ワークやテレワークが一般化したことにも理由があるかもしれません。パパがスマホやパソコンばかりの理由に少し着目してみたいと思います。
・仕事が終わらず、自宅でもいろいろとしなくてはいけない(仕事等の理由)
・自分の好きな趣味やゲームのために使っている(嗜好的な理由)
もちろんどちらもスマホやパソコンに向かっているということには変わりないのですが、それぞれちょっと理由が異なります。
仕事が理由なパパは、かなり大変な状況ですね。ICTの活用で社会全体は便利にはなったのですが、便利なゆえに時間や場所の制約がなくなっていき、いつでもどこでも仕事ができてしまうようになりました。結局長時間労働になったり、場所時間を問わず働かなくてはならなくなったり、利便性の向上がゆえに過重な労働になっていたりします。パソコンから逃げ出したいですね。
またプライベートでスマホやパソコンを使っているパパ達もたくさんいると思います。インターネットの社会は無限に広がり、スマホの機能の充実はさまざまな刺激や魅力を与えてくれます。時間が経つのを忘れてしまうこともあるでしょう。どちらにしても、スマホやパソコンのない生活は基本的には考えられないものとなっています。
子どもの立場で考えよう
一方で、子ども達の立場でそのような状況を考えてみたいと思います。少し昔の社会の多くのサラリーマン家庭では、父親は仕事中心の生活であり、家にいることが少なかったです。昭和には「亭主元気で留守がいい」というCMのキャッチコピーなども流行ったことがあります。今思うと、とてもひどいもののように感じます。父親不在が社会的な常識であり、そのことを子どもも母親も父親も、つまり家族や社会全体で共有していたのです。
しかし現代になり、パソコン、スマホの普及は働き方や遊び方の場所や方法を変化させ、自宅に父親が存在できるようになったのです。そのこと自体はとても素敵なことだと思います。しかし同時に、そこにいるのに、僕に・私に、全く関わってくれない、という状況が生まれているのです。この状況や関係性は、とても辛いものではないでしょうか?もちろん子どもにとってもですし、父親にとっても辛いですね。すぐ近くに子どもがいるのに、関わったり遊ぶことができないのですから。
パソコンやスマホは、人々の生活を便利にして、人がより幸せになるための一つの道具やツールです。そのことで人が不幸になったり、悲しんだりするようなことになるのは、とても残念だと思いませんか。
パソコンやスマホを、子どもとのコミュニケーションツールに
仕事だから仕方がない!このような考えや思いはよくわかります。とはいえ、その仕事は今すぐここで必ずしなくてはいけないものですか?またそのスマホのアプリやゲームは、わが子の成長よりも大切なものですか?
パソコン、スマホ、どちらもとても便利で魅力的です。これは実は子ども達にとってもそうです。だからこそ、それらを使うことを否定はしません。しかしそれらを使う時間と同じ時間、それら以外のものに使いませんか。1時間ゲームをしたり、スマホを使っていたのであれば、1時間それらを置いて子どもと一緒に遊びませんか?
ICT機器はとても大切ですが、それだけで生きていけるわけではありません。同じぐらい、人と人との関わりや一緒に過ごす時間も大切なはずです。生身の感覚やコミュニケーションも大切にしましょう。
突然子どもとの関わりは難しいこともあります。そんな時は、今度はパソコンやスマホを、一つのコミュニケーションのツールとして活用をしてみましょう。ゲームをすることがダメ!と言っているのではありません。人との関わりを制限し、子どもとの時間を大きく奪う環境に課題を感じます。だから子どもと仲良くなる道具として、これらを活用できるといいですね。
教えてくれたのは
小崎恭弘さん
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。
http://kasei.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/teachers/5.html