「親の顔が見たいわ!」とつぶやいて、鏡を見てみよう

胸に刺さる、著名人のことば

子育て関連の執筆だけでなく放送作家もしているので、いろいろな言葉に出会ってきましたが、その中には子育てで参考になるものもたくさんあります。特に僕が気に入っているのは劇作家、井上ひさしさんの言葉。
「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」
子育てに関する言葉ではありませんが、何かを伝えたいときに心に留めておきたいことであり、特に子どもにはこういう姿勢で伝えることができたらなと思います。(できていないと思いますが)

次に、胸にチクッと刺さり、思わず「あー」と声が出てしまった言葉をひとつ。

「親のアドバイスの9割は本人の後悔」

僕のように声が出ちゃった人、きっといるはず(笑)。これは、以前一緒にラジオ番組をやっていた精神科医でマンガ原作も手掛けているゆうきゆう先生の作品に出てくる言葉。もちろん先生は「だからといってアドバイスが全部悪いということではないので、時には耳を傾けることも必要」と説いていますが、子どもに対して自分の後悔を押し付けるようなアドバイスになってしまってはいけないなと、気を引き締めるきっかけになりました。

子育てに限らず、ひとつの言葉で意識が変わったりすることって結構ありますよね。
今回は、僕が自分の行動や言動を見直すきっかけになったある言葉のお話です。

言うことを聞かないわが子との闘い

以前、このサイトでも取り上げた我が家の次女。
小6次女を“ダメな子に育てる作戦”実施中。起こった変化は?

長女がすでに成人している我が家にとって、やりとりの中心は一緒にいる時間が長い、この次女となります。相変わらず天真爛漫&自由奔放な次女は家庭内においてルールを守るのが苦手。しかも「ダメ」と言ったり「禁止」したりしても効果がないので、いっそのこと「ダメな子に育てる」と本人に言い放って好き勝手やらせてみる、という作戦を取ったのですが・・・、まあ以前よりも少しだけルールへの意識ができたように感じるものの、ルールそのものを忘れたり、勝手な解釈で「ルール適用外」を考え出す独特なクリエイティブで困惑することはまだまだあります。

一応先に言っておきますが、習い事のダンスには熱心ですし、なぜか美に対する意識がやたらに高く、動画サイトなどでは大人が見るようなメイク動画やエクササイズ動画を観ては日々研究している姿は素晴らしいと思います。ちなみにその分析力は妻も認めていて、時折お出かけ前にメイクやコーディネートのアドバイスを次女に求めています(次女のアドバイスを素直に聞ける妻もすごいと思います)。

なんですが!

学校からもらったプリントは全然出さないし、宿題は「やった」「もう出した」と言うもののやってないこと多数。しまいには、算数のノートを使い切った時に、買いに行くのが面倒という理由で1か月放置して、先生からクレームが入りました。その他にも服は脱ぎっぱなしだし、使った調味料も出しっぱなしだし・・・と、キリがありません。

そうなると、さすがに僕もいろいろ言いたくなるわけです。

ワイドショーで謝罪する親を見て

ある日、結構時間をかけて「もう少しなんとかならないか?」と話してみました。ご本人も神妙な面持ちで聞いています。が、これはいつものこと。彼女の中では「こういう時はこの顔」というのが決まっているのは存じ上げております。途中から「たぶん、聞いてないな」と思って「TWICEだとモモが好きなんでしょ?」と関係ない話をぶち込んでみたら、条件反射的に「はい」とつぶやいた後、ハッとしてこちらを見たので、聞いていないことが確定。結局イライラを逃がすために途中で切り上げて、いったん別の部屋に行って、テレビを見ることにしました。

ワイドショーでは、不祥事を起こした青年を取り上げていたのですが、そのことに対して親が取材を受けて謝っていました。

「きっと“親の顔が見たい”とかネットで書き込まれたんだろうなー」

・・・待てよ。

「親の顔が見たい」とつぶやいて気が付いたのです。この自由すぎる次女を育ててきたのは紛れもなく僕自身。
そうか!今まで散々次女にイライラしてきましたが、原因は僕だ!
たまたまですが、ふと横を見ると鏡があって、自分の顔が映っていました。「うん、今日もいい男」なんて思うわけもなく、なんだか怒っていた自分が情けなくなりました。

子どもに怒りをぶつける前に、気を反らす方法として

もちろん次女を育ててきたのは僕一人ではありません。妻もいればお姉ちゃんもいますし、他にも保育園や学校で関わった人たちなど彼女に影響を与えた人はたくさんいます。
でも、間違いなく親の影響は大きいはずです。

今までは、「なんでできないの?」と思っていましたが、その原因の多くは僕自身だったのです。もしかしたら僕の育て方にも足りない部分があったのかもしれません。怒りをぶつける前にまずは自分の行動や言動をもっともっと振り返らないといけないなと意識を改めることとなりました。
わが子の行動や言動に対して腹がたったりイライラすることがあった時には、心の中で呟いてみてください。

「まったく!親の顔が見たい!・・・あ、自分だ」

これでわが子の行動が変わるわけではありませんが、一瞬気がまぎれます。「怒りのピークは6秒」なんて話もありますが、やっぱり一瞬でも気がまぎれると、冷静になれるので必要以上に感情的になってぶつけるようなことは減る、・・・はずです。

やっぱり言葉の力って本当にすごいですよね。

この記事を書いたのは

杉山錠士
1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。19歳と11歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。
■著書
*新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~(主婦の友インフォス情報社)
*急に「変われ」と言われても(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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