テレビやゲームばかりで勉強をしない…このままで良い?どんな子に育ってほしいか、親として大切にしたい考え方とは
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このコラムでは大阪教育大学教育学部教授の小崎先生が、「こんな時どうしたらいいの?」「子育ての“ココ”が知りたい!」という皆さんのお悩みに答えます。
Question: 学校から帰ったらテレビやゲームばかりで勉強をしない…このままで良いでしょうか?
うーん、よくないですね。
誤解のないように。「子どもがテレビやゲームばかりすること」がよくないのではなく、保護者の方がそのことに対してとても戸惑っていることがです。もちろん程度の問題もあると思いますが「テレビ・ゲーム漬け」の生活が、決して良いものだとは思いません。ある程度の制限や区切りや切り替えは必要でしょう。ですが、そんな一般論のお話ではなく、保護者と子どもの向き合い方や関係性が少し不安です。
子どもを育てることは親の責任であり大切な権利
そもそも子育ての基本は、親が自分たちの思うように子どもをしつけ、育てるものです。社会的に「良い」とか「望ましい」という方向は、もしかすればあるのかもしれませんが、あくまでそれは一つの方向性や基準であり、全てに当てはまるものではありません。子どもが一人ひとり違うように、親も一人ひとり、一家族ごとに違うのですから。子どもは親の所有物ではありませんが、子どもを生み育てることは親の責任であり、同時にとても大切な権利です。そこはまず意識しましょう。
その上でどう育てるかは、やはり親として考えてほしいです。極端な例かもしれませんが、自分が校長をしていた小学校のいくつかのご家庭は、自宅にテレビがなかったり、子どもにゲームをさせていなかったりしているところもありました。「良い・悪い」の問題ではなく、親の思いや育て方のあり方の一つです。「このデジタルの時代にテレビやゲームがないのはどうなのか」という声も聞こえてきそうですが、それも含めて親の育て方や覚悟の問題です。
どのような子に育てたいか、決めるのは親
親がどのような子どもに育てたいのか。そのためにはどのような環境において、そして何を与えて、何を与えないのか。それは社会や時代の変化はあるものの、基本的には親が決めて選べば良いのだと思います。それを決めることが難しいのですが。
そのような視点にたてば「テレビ・ゲームばかりしている」「勉強をしない」という子どもに育てたのは、またその環境を作ったのは一体誰なのでしょうか。子どもの育ちは、子ども個人の性格や好き嫌い、個性なども大きく影響を与えます。それと同じぐらい、親の関わりや環境などの育て方も大きく影響をします。子どもが作り出したものではありませんからね。
どんな人になってほしいか、何を大切にしてほしいか、子どもと話してみよう
もし「このままでよい」と保護者の方が思っているのであれば、それはそれでよいと思います。どのように育てるのかも親の自由です。しかし「これはやはり良くない」と思うのであれば、それは子どもに伝えてほしいです。ただ単に「テレビはダメ!」「ゲームやりすぎ!」ではなく、親としてどんな人になってほしいのか、そして何を大切にしてほしいのかを伝えながら、そのために何をしなくてはいけないのか、また何をしてはいけないのかなど、子どもときちんと話してほしいと思います。
質問の方はお子さんが小学生とのことですね。思っている以上に小学生は、いろいろとお話しできますし、いろんなことを考えています。もちろん稚拙なところや未熟なところもありますが、それでも自分がこれからどんなふうになりたいのかや、何を大切にしたいのかなど、ちょうどお話しするタイミングなのだと思います。
親もいろいろと悩みますし、理想もあります。同時にその悩みや理想を子どもと話しながら、新たに作っていければよいと思います。子育てに絶対的な正解はないのですから。
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担当カテゴリー
学び・遊び・教育
大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。