絵本に興味を持ってくれない子に、読み聞かせは必要?子どもが興味を示す、関わり方の3つのポイント

絵本に興味を持ってくれない子に、読み聞かせは必要?子どもが興味を示す、関わり方の3つのポイント

このコラムでは大阪教育大学教育学部教授の小崎先生が、「こんな時どうしたらいいの?」「子育ての“ココ”が知りたい!」という皆さんのお悩みに答えます。

Question: 絵本を読ませたほうが良いと思い、一生懸命読み聞かせましたが興味を持ってくれません。発達に影響があるか心配ですが、どうしたら良いでしょうか。

子どもたちに何かしら良いことをしてあげたり、良い環境で育てたいという保護者の方の気持ちは、とてもよくわかります。絵本や知育玩具などを使って育った子どもは、なんだか賢い子に育っていく感じがします。しかし一方で、ご相談のように親の思いがいつも子ども達に確実に伝わるわけでもありません。ここに子育ての難しさが存在しますね。

今回のお困り事ですが、絵本の読み聞かせをなんとかしたいのですが「子どもが興味を持ってくれない」ということです。なぜ子どもは興味を持ってくれないのでしょうか?あるいはどうすれば、興味を持ってくれるのでしょうか。まずはそれを考えたいと思います。

子どもとの良い関わりとは?3つのポイント

子どもとの良い関わりには、いくつかのポイントがあります。

  1. 子どもの成長発達に合わせる
  2. 子どものキャラクターや志向を知る
  3. 環境構成を意識する

1.子どもの成長発達に合わせる

興味を持ってくれない理由はいくつか考えられますが、一番初めに意識しなければいけないのは「子どもの発達」です。もう少し簡単にいうと、その絵本は今の子どもの年齢や発達段階に適しているものかどうか?ということです。お子さんが0歳児なのかあるいは3歳児なのかで、適した絵本は大きく異なります。例えば、絵の大きさや色使い、場面の展開の数や複雑さなどです。また内容やストーリーも、やはり大きく異なります。

それは子どもの発達のタイミングにより異なり、その年齢の理解や知的、情感の発達段階に応じた物でなければ、そもそも見向きもしませんし、関心を示さないのです。極端にいうと、赤ちゃんに百科事典を読んでもあまり意味はないですし、関心は示してくれないと思います。まずはその年齢に適したものを選んでみましょう。最近は絵本自体に「◯歳向け」などと書いているものもありますし、本屋さんなどで直接聞いてみると良いと思います。

2.子どものキャラクターや志向を知る

その上で、子どもの好きなものや興味の関心に適合しているかを意識してみましょう。子どもは本当に一人ひとりが個性的であり、好きなものや興味関心は、個人によって全然違います。兄弟でもそうですし、保育で同じ年齢の子どもを見ていても、興味の方向性は異なります。だからまず、自分のお子さんが好きなもの、関心の強いものは何かを理解しましょう。

そのためにはやはり普段の姿を見て、いろいろなものや環境がある中から子どもが何を選んだり、遊んだりしているのかを見てほしいです。例えば、電車が好き、動物が好き、何かキャラクターが好きなどです。同時に虫が苦手、大きな音が苦手など、少し苦手なもの・ことも理解しておくと、絵本選びの時に参考になると思います。

3.環境構成を意識する

「環境構成」とは聞きなれない言葉だと思います。これは保育の専門用語であり、「子どもたちが関わるすべての環境を子どもに合わせて作り出す」ということです。ここには大きく3つの視点があります。「人的環境・物的環境・社会的環境」です。

絵本自体は「物的環境」であり、子どもに応じたものや関心の高いものを選ぶということです。また読む時の雰囲気やタイミングなども、物的環境の一つです。

「人的環境」とは、それを読む人や読まれる子どもとの関係性など、人との関わりについてです。絵本を読む人が、楽しく読むのか、淡々と読むのかにより、子どもたちの受け止め方は違います。親の読む姿勢や思いを大切にしましょう。

「社会的環境」とは、季節や社会の状況です。真冬に海水浴の絵本を読んでも、ずれている感じがしますね。時代や社会の変化を意識した視点です。

保育者は絵本を読む時にも、このような環境を意識して読みます。例えば、お化けの絵本を読むときは、少し部屋を暗くしたり、時にはろうそくを灯したりする先生もいます。雰囲気抜群ですよね。その上で少し低い声でゆっくり読んだりします。楽しそうな演出です。

子どもの思いや発達に応じた絵本を選ぼう

絵本を読んであげることはとても素敵なことですし、子どもたちの成長や発達にとても良いものなので、ぜひ取り組んでほしいです。しかし一方で、何でもかんでも読みさえすれば良いというものではありません。子ども達の思いや関心、発達にうまく応じたものを選ばないと意味のないものになってしまいます。保護者の方が良いと思っても、子どもにとって良いものであるかどうかを、検討してみてください。

今回あげた3つのポイントは、絵本のみならず遊びやしつけにおいても同じです。ぜひ子どもとの関わりの参考にしてくださいね。

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学び・遊び・教育

大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘

大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。

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