「特別」を上手に使うと暮らしは楽しくなる、と思う

「特別」を上手に使うと暮らしは楽しくなる、と思う

&あんふぁんをご覧の皆さん、こんにちは!“パパって最高!”な社会を目指す子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長の杉山です。

4月になって新しい年度が始まりました。そんなことよりもドラマが新しいクールに入った方がよほど気になる我が家。3か月ごとに「今クールは何を見るか?」という話題で溢れます。

でも別にみんなで一緒のやつを見ようということではなく、それぞれが気になった作品を見て、あーだこーだと感想を言い、そのうち、じゃあ私も見てみようかなとなって、結果的にだいたい1つか2つは家族全員が見ている作品が出てくるといった流れが定番です。

我が家のメンバーがこの冬のお気に入りだったドラマは「御上先生」「クジャクのダンス、誰が見た?」そして「ホットスポット」でした。

その「ホットスポット」の中で、気になったセリフがありました。

それは「東京03」の角田晃広さんが演じる宇宙人の高橋さんがよく言う「特別だよ」です。

子どもが産まれてから、僕がかなりたくさん使ってきた言葉なんです。

「特別」に漂うそこはかとない「ごほうび感」

子育てをしている中では大小さまざまなルールを設定することがあります。「〇時には寝る」「使ったものは元に戻す」「スーパーで買うお菓子はひとつまで」などなど、振り返ると結構たくさんありますよね。

でも、正直このルールを全部、完璧に守るのって本当に難しい。それは大人でも。

また、ルールではそうなっているのはわかっているけど、今日はちょっと守りたくない、というか、そんな時もありますよね。でも、当然ルールをぶっちぎるのは良くない。そうなると、子どもたちは交渉をしてきます。もちろん、小さいうちはちゃんとした交渉ではなくて、ちょっとぐずってみたり、その場から動かなくなってみたり。

親としては、簡単にルールを破らせてしまうのも教育的にどうかなと思うので、出来る限りは通常営業で進めようとしますが、それでは時間的にも精神的にもしんどくなってしまう。そんな時によく言っていたのが「特別だよ」。そう、特別に今日は少しだけルールをゆるめてみるということです。

結果的に、ただこちらの事情でルールを反故にしていることは間違いないのですが、「特別だよ」は、なんとなくポジティブであり、ごほうび感もあり、そして何より「自分は特別」みたいな印象もあります。(実際そういうことではないんですけど)

「もう!今日だけだよ!」と強めに言うよりもかなり平和でいい空気感がうまれると思いませんか?それに「ルールを破ったわけではない」と思えると罪悪感も減ります。大人にとっての「甘いものは別腹」みたいな感じです。 そう、大人自身もまた、「洗濯は毎日しないといけない」「ご飯は手作りじゃないといけない」といったいろいろなルールを自分に課しています。でも、守れないときもあります。そんな時に「仕方ない」とか「今日は無理」と言うより、「今日は特別なんだ」と言うことで少し心が軽くなると思います。もしかしたら、大人の方が必要な言葉かもしれません。

「特別」の使い過ぎは禁物

ただ、特別を使いすぎるといつの間にか「当たり前」になってしまうことがあるのが、もっとも気を付けないといけないところだと思います。

あくまで、通常時はルールの適用を厳密に行って、ちゃんと守っているからこそ特別が待ってるということをちゃんと伝えることが大切です。そのために、子どもが特別を求めてきた時に毎回はOKしないという対応をしてきました。

ついでに、「この間、特別にOKしたから、もうしばらくルールをちゃんと守ったらまた特別な日が来ると思うよ」とか「いつもお願いって言うと、これから特別OKができなくなっちゃうんだよ」とか言っていたなと振り返ります。お願いするのはただ、とばかりに一度「特別」を使うとしばらくはお願い攻撃がきますが、そこはグッとこらえないといけません。

僕は「特別」を伝えることで、「普段ちゃんとやることの大事さ」を同時に伝えることができると思っています。

そして、自分に対しても周りに対しても上手に「特別」を使えるようになると、ルールにバッファをとることができるようになれる、つまり「寛容さ」が身に付くとも思います。また、どの程度寛容に対応するかを自分で判断することにも繋がるでしょう。

本来はルールなんてなくても互いを思いやって、共感し、それぞれが最善のことを考えて暮らしていくことができればいいんだとは思いますが、やっぱり難しいもの。2人以上の人が協力して暮らしていくためには多かれ少なかれきっとルールは必要なものだと思います。

ただ、親がなんでもかんでもルールで縛り続けると子どももやたらルールにこだわるようになると思います。「あー!パパルール破った!いけないんだよ!」と責めてくる子はきっと、日常的に誰かにルールを破ったことを責められているんだと思います。いちいち周りの友達がルールを破ったことを指摘して責める人がいい人間関係を築くのはかなり難しいですよね。

ただの放任主義でもなく、ルールはちゃんと決めるけど、適度に「特別」を織り混ぜるくらいが、ゆとりある人間関係につながると思うので、上手に「特別」を使ってみてください。 さて、原稿が書き終わったら、僕も今日は頑張ったので「特別」にアイスを食べようと思います。

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兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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