【パパ旅】千葉県船橋市へ!かつての地元で楽しむ夏休み、子ども時代を子どもと追体験する旅

【パパ旅】千葉県船橋市へ!かつての地元で楽しむ夏休み、子ども時代を子どもと追体験する旅

旅行作家の吉田友和さんによるコラム。小学生のお子さんがいる吉田家。ママは出張が多いので、パパと子どもだけで過ごす日も。「ならば、旅をすればいい!」そんな吉田さんが語る「パパだけ子連れ旅」、今回は子どもと一緒にかつて住んでいた地、千葉県船橋市へ出発です。

子育てをしていると、子ども時代を追体験できるのがいい。子どもの成長に伴走することで、いわば二周目の人生を経験できるような感じ。

ふとした拍子に、かつて子どもだった頃の記憶が脳裏をよぎることもある。ふなばしアンデルセン公園へ向かったのは、「そういえば、小学生のときに親に連れて行ってもらったなぁ」と思い出したからだった。

娘2人を連れてのパパだけ子連れ旅。夏休みの、とある週末のことである。

かつての地元に泊まる旅

ふなばしアンデルセン公園が位置するのは、千葉県船橋市だ。

都内から船橋までは、それほど遠い距離ではない。というより、船橋市民は普通に都内に通勤しているぐらいだし、余裕で日帰り圏内だろう。

にもかかわらず、今回はあえて宿泊することにした。船橋を満喫したかったから。この街には、特別な思い入れがあるのだ。

実は筆者は子どもの頃、船橋に住んでいたことがある。幼稚園、小学校、中学校時代は船橋で過ごした。要するに、昔の地元なのだ。

とはいえ疎遠になって久しく、もはや親しい友人などもほぼいないから、普段は滅多に来ることはない。ずいぶんとご無沙汰してしまったので、一泊して懐かしいスポットをゆっくり巡ろうかなと考えたわけだ。

色々と街も様変わりしているだろうと想像していたが、ホテルを予約しようとしてさっそく驚きがあった。船橋駅北口のランドマーク的存在だった「船橋グランドホテル」が、なんと2020年に閉館してしまっていたのだ。

泊まったことはなかったが、中学生の頃にホテルの迎えにある進学塾に通っていたので、よく目にしていた。せっかくなので泊まってみようかと思ったのだが……残念でならない。

同ホテルの跡地には、いまは別のホテルができていて、今回はそこに予約を入れた。実際に行ってみたら、内装こそリノベーションされて綺麗になっていたものの、外観はほぼ当時のままでうれしくなった。

「すぐそこに塾が見えるでしょう? パパは昔あそこに通っていたんだよ」と長女に言うと、あまり興味もなさそうで生返事がかえってきたのだった。

「アンデルセン公園」で水遊び!

「ふなばしアンデルセン公園」も、昔はそんな洒落た名前ではなかった。前身となったのは「ワンパク王国」で、筆者としてはそちらの名前の方が親しみ深い。

夏真っ盛りの、猛烈に暑い日に訪れることになった。あまりの暑さに、都内の公園などは遊んでいる人が誰もいなくて閑古鳥が鳴いているが、アンデルセン公園は駐車場が満車になるぐらい混雑していた。

来ている人たちのお目当てはみんなきっと同じだろう。この公園には、「にじの池」といって、夏の時期に水遊びができる場所があるのだ。それも、おまけ程度ではなく、結構しっかり遊べる感じの水場が用意されている。

我が家も、もちろん水着持参である。ポップアップ式のテントを立てて、その中で娘たちを着替えさせた。池の周りの木陰には、カラフルなテントが立ち並んでいた。都内の公園だとテントの持ち込みが禁止だったりするので、この点でも地域性の違いのようなものが感じられる。

「あつい、あつい、あつい…」とさっきまで文句ばかり言っていた次女も、盛大に水しぶきが舞う空間を前にした瞬間、目を輝かせた。勢いよく水着に着替えて、「早く行こうよ」と荷物の準備をしているパパを急かす。

小さな子が多いので気を付けるように、と注意して遊びに行かせた。すると5分もしないうちに、ずぶ濡れになっていて苦笑い。姉妹できゃあきゃあ言いながら水をかけ合っている。こういうとき、姉妹で良かったなぁと微笑ましい気持ちになる。

にじの池に隣接する「アルキメデスの泉」では、水車の上に立って、足踏みして回すという体験ができる。ちょっとしたアトラクションだが、これまたかなり楽しそうだ。

アンデルセン公園が広く知られるようになったきっかけのひとつは、グローバル展開している某旅の口コミサイトで、日本国内のテーマパーク部門でディズニーやUSJに続いて人気第3位に輝いたことだろう。

メディアなどでよく目にするのが、ヨーロッパ的な風車の写真。ほかにも、童話の世界に出てきそうな可愛らしい建物などが園内には点在する。一通り水遊びを満喫したあとは、それらの施設を見学しに「メルヘンの丘ゾーン」へ移動した。

童話作家のH.C.アンデルセンは、デンマークのオーデンセ市の出身で、オーデンセ市は船橋市の姉妹都市となっている。それゆえに、童話をモチーフとしたテーマパークが作られ、「アンデルセン公園」としてオープンしたのが経緯だ。

一方で、園内にはかつてのワンパク王国時代の名残も結構残っている。例えば、ゲートを入ってすぐのところにある岡本太郎作「平和を呼ぶ」像などは1988年に建立されたものだ。広い園内でも、アスレチックや遊具などが集まるエリアは「ワンパク王国ゾーン」と名付けられていたりする。

時の流れを実感させられ、しみじみする。そんな懐古的な気持ちに浸るパパを尻目に、娘たちはアイスクリームを販売するキッチンカーに吸い寄せられていくのだった。

ヨーロッパへ行ってきました、と言っても通じそう?

ビールを飲みながらお子様ランチ

アンデルセン公園の前を走る県道288号をずっとフォローしていくと、やがて船橋駅までたどり着く。いまでこそ、この通りが県道であると理解できるが、子どもの頃は「バス通り」と呼んでいた。バスが日常の足だったのだ。

このバス通りこそが、自分にとっての原風景のひとつといえる。それゆえに、久々に通ってみて、風景の変化がリアルに感じられた。当時よく母親に買い物に付き合わされた通り沿いのスーパーだけはいまも健在だったが、それ以外の店はあらかたなくなっていて寂しくなった。

船橋駅前には、東武と西武という二つのデパートがあったが、西武のほうはいまはもうない。そういえば、ガンプラを買うのに西武のおもちゃ売り場に並んだ記憶がある。ガンプラはいまでもよく並んで買っているので、子どもの頃から全然成長していないことに我ながら愕然とするのだった。

ただ、子ども心により強く響いたのは東武の方だったような気もする。おもちゃ屋の品ぞろえが良かったし、本屋も大きかった。休日に家族とお出かけして、東武の上層階にあるレストラン街で食事をしたことをいまでも覚えている。

そんな子どもの頃の記憶をたどるような形で、この日の夕食は東武百貨店のレストラン街へ行ってみることにした。和食や中華、パスタなど、デパートらしい豊富なラインナップのお店が並ぶ中に、懐かしの不二家レストランを見つけたときは静かに興奮した。

迷うことなく入店する。内装もどことなくレトロな雰囲気だ。店の人に聞いてみると、デパート開業当時からずっとここで営業しているという。子どもの頃に通っていたお店が、なんとまだ生き残っていたのだ。こんなにうれしいことはない。

「パパが子どもの頃にもここに来たんだよ」というと、娘たちはふーんという顔をした。もう少しリアクションが欲しいが、まあ仕方がない。

食べ盛りの長女は、見るからに欲張り系のミックスグリルを注文。次女とパパはお子様ランチを注文した。正確には、パパが頼んだのは「大人のお子様ランチ」である。メニューを見たら、そんな一品が載っていたのだ。

内容はハンバーグとエビフライとコロッケとオムライス。子供向けのお子様ランチと内容はほぼ一緒で、サイズ違いという感じだった。当時と同じお店で、同じメニューを味わう。違うのは飲み物がビールになっていることぐらい。なんだかタイムスリップしたかのようで、不思議な気持ちになった。

オムライスに可愛らしいペコちゃんの旗が刺さっていたのが、さりげなくうれしい。

今回のまとめ

一泊して翌日は、船橋運動公園のプールへ行ってみた。ここもやはり子どもの頃にしばしば通っていたところだ。

何年か前にリニューアルしたという。いわゆる市民プールのような施設なのだが、市民プールにしてはかなり豪華でびっくりした。

流れるプールは流れる距離が長いし、ウォータースライダーは複数ある。ターザンロープや、巨大なふわふわドームをロープでよじ登って滑れる珍しいアトラクションも楽しかった。

遊園地のプールで遊んだかのような満足度である。それでいて、市民プールなので料金が手ごろなのがありがたい。3時間の利用料が大人は910円、小中学生はたったの220円。完全予約制なので行くなら要注意だ。

子どもの頃に遊んでいたプールで、自分の子どもと遊ぶのはしあわせな時間だ。懐かしさでいっぱいの夏旅になった。

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旅行作家 吉田友和

1976年生まれ。人生初の海外旅行は世界一周。その後、旅行作家として国内外を旅して回りながら執筆を続ける。妻が出張で長期間家を空けることが多く、近年はパパだけで2人の娘たちを連れて旅へ出るパターンが増えている。『3日もあれば海外旅行』(光文社)、『夢と冒険の旅 世界一周ガイド』(小学館)、『東京発 半日旅』(ワニブックス)など著書多数。

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