旅作家パパが語る「パパだけ子連れ旅」成功のコツ

旅作家パパが語る「パパだけ子連れ旅」成功のコツ

旅行作家の吉田友和さんによるコラムがスタート。9歳、7歳の娘がいる吉田さんのママは出張が多く、ママがいないときは一人で面倒を見なければなりません。「ならば、旅をすればいい!」そんな吉田さんが語る「パパだけ子連れ旅」の魅力とは?

うちの妻(ママ)は出張の多い仕事をしている。ひと月の半分ぐらい家を留守にすることもある。我が家には現在9歳、7歳の娘たちがいるのだが、ママがいないときはパパである自分が一人で面倒を見なければならない。

「ワンオペで大変ですねえ」などと、周囲からは同情されることもある。「ええ、まあ……」とその場では曖昧にうなずくものの、実は内心ではそれほど大変と思っていない。

ママがいない——なら、旅をすればいいからだ。

平日は娘たちも学校がある。問題は土日や連休とママの出張が重なるケースだ。ワンオペであること自体は、家にいたってどこにいたって変わらないわけで、それならいっそのこと旅をしてみたっていいだろうという結論に至った。というより、自分自身が旅をしたかった、娘たちと。

家族そろってみんなで行く旅もいいが、パパだけ子連れ旅にはまた違った魅力がある。どう違うのかについて、この連載でつづっていきます。

パパだけ子連れ旅のいいところ

まず最初に、パパだけ子連れ旅のいいところを紹介したい。

ママへ遠慮せず自分のペースで旅できる

旅というのは選択の連続だ。どこへ行って、何をするか。何を食べて、どこに泊まるかなど、決めるべきことは意外と多い。

家族みんなで旅をする際は、これらの選択にあたって夫婦間で合意形成する必要が出てくる。要するにパパ目線だと、「ママの同意」が前提となるわけだ。

うちのママはそんなにうるさく言うタイプではないが、それでも意見が分かれることだってある。例えば、ママは「お祭りに参加して盛り上がりたい」、パパは「温泉でのんびりしたい」みたいな感じで、夫婦間でやりたいことの方向性が違いすぎると、どちらかが妥協して合わせざるを得なくなる。

パパだけ子連れ旅だと、この点に関して心配は無用だ。いちいちママへお伺いを立てる必要はなく、どこへ行ってもいいし、何をしてもいい。いうなれば、旅の決定権を握ることができるわけだ。

もちろん、選択する内容によっては、一緒に行く娘たちに反対されることもあるが、それは家族みんな旅でも同様だろう。

子どもたちとの仲を深められる

こんなこと自分で言うのはヘンだけれど、我が家はパパと娘たちとの関係は良好である(と思う)。日頃からパパが割とよく家にいて、子どもたちと過ごす時間が長いせいもある。あるいは、子どもたちと精神年齢が近いせいかもしれない。

加えて理由を挙げるなら、一緒によく旅をしていることも無関係ではないだろう。

娘たちはまだ小さいけれど、パパにとって立派な旅の道連れである。一緒に美しい景色を見て、その地の珍しい料理を食べつつ感想を言い合う。旅の思い出を共有することで仲良くなれるのは、相手が大人でも子どもでも変わらない。

子どもというのは親が想像する以上に記憶力がいい。小学生にもなると、どこかへ出かけたときの思い出はしっかり残っているようで、過去の旅話をしていて「そんなことあったっけ?」とよく驚かされるほどだ。

「あそこはパパと行ったところ!」なんていう風に覚えていてくれたなら、それだけで結構うれしかったりする。

旅先で新鮮な体験ができる

大人だけで旅するのと、子連れで旅するのとでは見える景色が違う。ましてやママ不在だと、旅のメンバー3人のうち大人は自分だけということになり、違いはさらに顕著なものになる。

分かりやすい例を挙げると、旅先で親切にしてくれる人が目に見えて増える。男親が小さな女の子を二人も連れて旅しているケースは珍しく、傍からは大変そうに見えるのかもしれない。電車などで座席を譲ってくれたり、大きな荷物を持っていると運ぶのを手伝ってくれたり。

同じようにパパだけ子連れ旅をしていそうな見ず知らずの人と、つかの間意気投合したこともある。その人は、ちょうど同年代といった雰囲気だったこともあり、初対面なのに身の上話までしてしまった。

パパだけ子連れ旅では、ママがいたら遠慮してできないようなアクティビティに挑戦したりもする。たとえば、秋葉原のメイドカフェに3人で突入してみたら、お店のメイドさんたちに通常の何割か増しでちやほやされたり。

あるいは、おもちゃショーに行ったら、TV局にインタビューされたこともある。「パパだけで連れてきてあげてるんですね!」と感心させられたが、実は展示されている最新玩具を一番楽しんでいたのはパパだったことはここだけの話だ。

おもちゃショーの様子

パパだけ子連れ旅を成功させるコツ

続いて、「パパだけ子連れ旅」を成功させるコツについて書いてみたい。コツなどというと少し偉そうなので、自分が気を付けていること、と表現してもいい。

ママに旅の模様をリアルタイムで共有する

パパだけ子連れ旅とはいえ、ママの存在を軽んじるのはよくない。のけ者扱いしたら可哀そうだし、ママからしてみれば娘たちの身に危険がないかなと心配する気持ちもあるだろう。

そこでおすすめなのが、パパだけ子連れ旅の模様を、逐一ママに報告すること。我が家の場合はLINEで写真や動画を送るようにしている。

その場にいない相手には、状況を伝えるだけでも安心するものだ。娘たちが楽しそうにしている様子が見られれば、仕事の癒しにもなってくれる。

お互いのタイミングが合えば、ビデオ通話をしたりもする。いまどこにいて、何をしてるのかなど確認できるだけでなく、娘たちの声を直接聞けるのはママにとってもうれしいことだろう。ただし通話中、娘たちは意外とそっけなかったりするのだが……。

お世話係ではなく旅の同行者として楽しむ

子連れの旅というと、ただでさえ手間がかかる育児が、余計に大変なものになるのではないかと身構える人もいるかもしれない。つまり、雑用が増えて旅を楽しめないのではないかという懸念である。

確かにそういう部分もあるが、子どもとの接し方次第ではないかという気がする。

例えば、我が家では娘たちにリュックを持たせ、荷物は各自で管理させるようにしている。着替えやパジャマのほか、歯ブラシやハンカチ、ティッシュ、ヘアゴムなど基本的な持ち物は自分たちで持っていく。

自分たちでできそうなことは、自分たちでやるようにする。当たり前のことのようで、これが案外難しい。親がやった方が手っ取り早く済むからと、時短を理由に手を貸してあげたくなるところを、ぐっと我慢する。

なんでもかんでも親がやってあげると、途端に親が「お世話係」のような存在になってしまう。そうなると子どもは成長しないし、親も疲弊してしまう。あくまでも同行者として、一緒に旅を楽しむ姿勢が大事だ。

手を抜けるところはとことん手を抜く

そうはいっても、実際には子連れの旅ならではの雑事が少なからず生じることもあるだろう。ママがいないとなると、それらをワンオペでこなさなければならなくなる。

子どもの対応に苦慮するあまり旅が楽しめないとなると本末転倒だ。優先すべきは、いかに旅を楽しむかである。そのためには、手を抜けるところは、とことん手を抜いたっていいと思う。

たとえば、日常生活で守っていたルールがあったとしても、それを多少破ったっていいだろう。子どもが疲れ果てて歯磨きもせずに寝てしまうなんてケースはよくあるが、1日ぐらい歯磨きを忘れたって死にはしない。寝る時間を決めているとしても、旅先でまでそれを遵守させる必要もないはずだ。

要するに、旅行中は適度に育児をさぼってしまう。パパだけ子連れ旅ならママもいないし、さぼったとしても誰かに咎められるわけでもない。

娘たちと旅へ出発!

今回のまとめ

連載第1回ということで、まずはパパだけ子連れ旅のいいところと、成功させるためのコツについて書いてみた。ママがいないことにもメリットはあるし、ママがいないがゆえに注意すべき点もある。

次回からは実際に旅したときのエピソードをもう少し交えながら、その魅力に迫っていければと思っています。

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おでかけ・旅行

旅行作家 吉田友和

1976年生まれ。人生初の海外旅行は世界一周。その後、旅行作家として国内外を旅して回りながら執筆を続ける。妻が出張で長期間家を空けることが多く、近年はパパだけで2人の娘たちを連れて旅へ出るパターンが増えている。『3日もあれば海外旅行』(光文社)、『夢と冒険の旅 世界一周ガイド』(小学館)、『東京発 半日旅』(ワニブックス)など著書多数。

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