実は今、日本の「木」は使いどきって知ってた? 子どもも大人も夢中になる!大阪・関西万博「想うベンチ」プロジェクト

大阪・関西万博もあと3カ月ほどで開幕します! 
こどもりびんぐは大阪・関西万博「TEAM EXPO 2025」プログラム/共創パートナーとして、万博を盛り上げる企業・団体の取り組みなどを取材し、ワクワクする情報をお届けしていきます。
今回は、関西エリアを中心に、百貨店、食品スーパー、商業施設などを展開する、エイチ・ツー・オー リテイリングの取り組みを紹介します。

お話を伺ったのは、エイチ・ツー・オー リテイリング経営企画室サステナビリティ推進部の中嶋美和子さん(写真右)、島本礼子さん(同左)です。

100年先までつながる循環を目指す「大阪 森の循環促進プロジェクト」

元々、当社では、大阪府との包括連携協定に基づき「大阪 森の循環促進プロジェクト」を推進していました。
実は、今、「木」は使う必要があるんです。
昔は建材や薪など生活の中で数多くの木々が使われ、大阪の山もはげ山だった時期もあるそうです。
そこで当時の人々が一生懸命植林した木々が成長し、今ちょうどいい丸太になる木々がそろっています。
成長した「木」を伐採して使用する、その山にまた木を植えて、育てる、それが「森の循環」です。

ただ、現在は木造の建築物が減るなどで、当時ほど木を使わなくなってしまいました。
それに伴い山の手入れをする人が減り、放置林になる問題も起こっています。
山は、木々が密集したまま手入れされずに放置されると、地面に日が届かなくなってもろくなり、土砂災害のリスクが高まってしまいます。

日本の国土の7割は森林だといわれています。また大阪でも土地の1/3が森林になっています。
「大阪 森の循環促進プロジェクト」は、木を積極的に利用し、木の魅力を広め、100年先までつながる循環を目指す取り組みになります。

これまでは、大阪府産の間伐材を、阪急うめだ本店8階「GREEN AGE」や高槻阪急スクエア1階「たかつきけやきパーク」(室内公園)をはじめとする、店舗の内装売場什器などに活用してきました。

阪急うめだ本店8階「GREEN AGE」

高槻阪急スクエア1階「たかつきけやきパーク」

万博会場に設置される「樹のためのデザイン」がコンセプトの「想うベンチ」

その「大阪 森の循環促進プロジェクト」の一環として取り組んでいるのが、大阪・関西万博「Co-Design Challenge」プログラムに採択された「想うベンチ」プロジェクトです。

…………<概要>…………

■action1「大阪の木材を使ってベンチをつくる」

地域の木材を使うことで、地域を「想う」。
木材を余すところなく使うことで、樹のいのちを「想う」。

■action2「大阪の森を知る・感じる」

木に触れ親しむワークショップや森林に携わる方と行く森歩きなど、大阪の木や森を感じるプログラムを用意。

大阪の森を維持するためには何が必要なのかを考えます。

■action3「ベンチを万博会場に。その後は地域で使う」

ベンチを万博会場に設置し、大阪から世界へ「想い」をつなぐ。
万博終了後は大阪各地で、ベンチを使います。

■action4「想いをメディアで発信する」
 
「いのちの循環」について、ともに考え、発信するWebメディアを立ち上げ、「想い」をさらに巡らせます。

詳細は「公式HPでチェック」

現在、「樹のためのデザイン」をコンセプトに、まさにベンチを制作中です。

デザインを担当する松井貴さん、辰野しずかさん、佐野文彦さんとともに、森へ視察に訪れ、林業している方の話を聞き、丸太の競り市なども見学しました。
魚の競りと同じような雰囲気の中、独特のジェスチャーが飛び交い、競り落とされていく様子は面白かったです。

松井貴さんのベンチは、「1本の樹をありのままに使い切る」デザイン。
1本の樹でも上の方と根本では太さが違う、それをそのままの太さでベンチに。
ひとの手を入れ過ぎないことで、樹そのもの存在感を感じられるベンチをつくります。

こちらは完成イメージ(ミニチュア版)。

これだけの大きさの木材を三角形に製材するのは、依頼した製材所でも初めてだったそうです。

辰野しずかさんのベンチは、「樹の個性をポジティブに変換する」デザイン。
個体差やシミなども含めた色のバラつきに着目し、それをデザインとして生かすことで「多様だから美しい」という価値観の変換を目指します。

佐野文彦さんのベンチは、「樹の経過に想いを馳せる」デザイン。
2026年以降に使用予定が決まっている木材を、あえて製材したままに近い状態で設置し、自然乾燥を進めながら会場内でベンチとしても利用するという試みです。
木材は乾燥する時に反ったりねじれたりするので、乾燥工程がどういった結果になるのか、誰も分からないんですよね(笑)。

これらのベンチは、万博期間中は、「静けさの森」に設置される予定です。
そして、万博終了後は、小学校や商業施設に置かれるほか、阪急うめだ本店の什器としての使用を検討しています。

子どもたちも大人も夢中になる!?体験プログラム「大阪の森の木でスプーンをつくろう」

さらに現在、「想うベンチ」プロジェクトの一環として、各地でワークショップを展開中です。

プログラムの前半には、クイズなどを交えながら、木の魅力について、大阪を取り巻く森の環境について、考え、知っていただきます。

後半は、親子で「木のスプーンづくり」。
杉の木型をやすりで削って、オリジナルスプーンに仕上げます。

こちらが制作キット。
クルミは最後の仕上げに使用。
砕いて出てくるオイルを塗ることで、スプーンがキレイに仕上がります。

最初は子どもになんとなく付き添っていたお父さんが、最後はご自身が熱中してスプーンを仕上げている…、そんな親子もよく見られましたよ(笑)。

今後のワークショップの予定は、「想うベンチ」の公式HPでチェックを。
https://omoubench.jp/

万博会場の「想うベンチ」に座り、自分で作ったスプーンで食事をしてほしいです

木を使うことが、環境にとってもいいことであり、ぬくもりがあったり、癒やされたりすることを知ってほしい。
自分で作ったら愛着がわきますよね。
木のスプーンを自分で作って、使うことで、木のぬくもりや癒やしのパワー、木の魅力を感じることができます。
木に興味をもち、大阪の木が今どうなっているのか、木を使うことが森にとって大切なことを知ってほしいと思います。

「知っている」ということは、大きな違いですよね。
知ったことを、家族やお友達に伝え、みんなが木に関心を持ち、森を見たときに、この森はどんな状況なのかなと考えてもらえるようになれば…。
そして、ワークショップで作ったスプーンを万博会場へ持って行って、「想うベンチ」に座って、さまざまな「いのち」に想いを馳せながら食事をしてもらえたらうれしいです。

【大阪・関西万博 開催概要】
■開催期間
2025年4月13日(日)~10月13日(月)、184日間
各日9:00~22:00
■開催場所
大阪 夢洲(ゆめしま)
■公式HP
https://www.expo2025.or.jp/

ライター

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こどもりびんぐ &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

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