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東京都「こどもDXプロジェクト」って?医療証の持参不要、給付金手続の利便性UP、保育園見学のオンライン予約など、子育て支援サービスを推進中!

東京都「こどもDXプロジェクト」って?医療証の持参不要、給付金手続の利便性UP、保育園見学のオンライン予約など、子育て支援サービスを推進中!

東京都では、プッシュ型子育てサービス、母子保健オンラインサービス(PMH)、保活ワンストップ、給付金手続の利便性UPの4本の柱をテーマに「こどもDXプロジェクト」が進行中です。

今回はこの4つのプロジェクトに取り組んでいる、東京都デジタルサービス局デジタル戦略部こどもDX推進担当課長の桑原砂美さんにお話を聞きました。

4本の柱をテーマに東京都が進める「こどもDXプロジェクト」とは

――まずは、東京都が進める「こどもDXプロジェクト」がスタートした背景を教えてください

桑原さん:東京都が令和5年9月に策定した「東京デジタル2030ビジョン」では、都民の皆さんに、デジタルの力でサービスの利便性が向上したと実感いただけるよう、2030年代を見据えた取組が掲げられています。このビジョンを踏まえて、まずは「こども分野」を都民サービス変革の突破口と捉え、GovTech(ガブテック)東京と協働で取り組むこととなりました。

なぜこども分野から先行したかといいますと、主に2つの理由があります。1つ目は、東京都が「チルドレンファースト」の社会の実現を目指していることです。社会全体で子どもや家庭を支援するというのが大事なテーマと捉えています。そして2つ目は、子育て世代はスマートフォンの保有者が多く、デジタルに親和性が高い世代ということです。

なお、同年12月には「東京こどもDX2025 つながる子育て推進会議」を設置しました。デジタルの力で、多様な担い手による子育て支援サービスを切れ目なく届けるという目的で、東京都だけではなく、国や区市町村、子育てのDXを推進する団体の皆さんなどのお力を結集し、子育て当事者の方々のお声も大切にしながら取り組んでいます。

――「こどもDXプロジェクト」の4本柱はどのように選ばれたのですか?

桑原さん:「東京デジタル2030ビジョン」では3つの変革を掲げているのですが、その1つが「プッシュ型の行政サービス」です。今までのプル型から、必要な情報が先回りで届くプッシュ型の行政サービスに変革するということです。2つ目は、自治体での窓口ごとの対応を行政の垣根を越えたサービス提供に変革することです。3つ目は、今までの行政視点からの標準的なサービスを、顧客視点に立った最適なサービスに変革することです。

この実現に向けて、同ビジョンでは「こども分野から先行実施」とうたっています。これらを踏まえて、「こどもDXプロジェクト」では「つながる子育て」をキーワードに、組織や行政の垣根を越えて、まずは2025年度までに4つのプロジェクトを進めていこうということになりました。

1本目の柱は、知りそびれや申請忘れをなくす「プッシュ型子育てサービス」

――プッシュ型子育てサービスの先行プロジェクト実施において、反応はいかがでしたでしょうか?

桑原さん:先行プロジェクトは6自治体に参加いただき、子育て世代の皆さんが普段利用しているアプリを通じて、子育て支援制度のプッシュ配信を行いました。利用者アンケートでは、「プッシュ配信のおかげで知らなかった制度を知ることができた」「申し込み期限が迫っていた予防接種について思い出すことができた」などのお声をいただきました。併せて、プッシュ配信の満足度については、5点満点中3.9点という結果で、一定の評価をいただけたと思っています。

――今後、プッシュ型子育てサービスについて、どのような拡充を予定されていますか?

桑原さん:昨年12月に、都内全62区市町村及び東京都の子育て支援制度のデータベースを整備・公開しました。このデータベースを様々な形で使っていただけるよう、活用促進を図っていきます。

また、自治体の業務軽減になるような補助ツールを開発したいと考えています。併せて、このデータベースがさらに活用しやすいものになるよう、改善していきたいと思います。

2本目の柱は、「母子保健オンラインサービス(PMH)」

――2本目の柱「母子保健オンラインサービス(PMH)」については、マイナンバーカードを活用できるシーンが広がるようですね?

桑原さん:Public Medical Hub(PMH)は、国や自治体の医療費助成の受給資格情報や予防接種などの情報を連携させるため、デジタル庁が構築した情報連携基盤ですが、将来的には、感染症予防や介護にも機能拡大していくことが予定されています。

中でも、受給されている方の多い子ども医療費助成の分野での活用によって、紙の受診券や診察券を持参しなくても、マイナンバーカード1つで受診できるというメリットが期待されているところです。接続が完了した暁には、未就学児や小中学生などのお子さんが医療機関を受診する際には、特に積極的に活用していただきたいと思います。

3本目の柱は、保活がよりスマートになる「保活ワンストップ」

――「保活ワンストップ」はわずか4ヶ月と、まさに「爆速」なスピード感で開発されましたね。

桑原さん:はい。現状、板橋区、足立区、調布市で先行実施しています。オンラインで見学予約ができる保育園は、板橋区、足立区が25%、調布市では50%で、この割合を引き上げていきたいと考えています。

今後は、参加自治体・保育園の拡大や、保護者の方が自治体へオンラインで保活に関する相談ができるような機能の追加などに向けて、調整を進めています。

4本目の柱は、「018サポート」における給付金手続の利便性UP

――マイナポータルを活用した給付金手続は、機能のブラッシュアップも含めてスピーディに対応されている印象があります。

桑原さん:ありがとうございます。スマートフォンにマイナンバーカードをかざして申請できる新たな方法については、導入後より好評いただいており、これまで、今年度申請いただいた方の約3割の皆さんにご利用いただきました。「とても簡単だった」「出産直後、外出せずにオンラインで完結するので助かった」などのお声を頂戴しています。また、「10分以内に手続きできた」という方の割合が、従来の仕組みを利用された方では7%だったのに対して、新しい仕組みの導入により71%と飛躍的に伸びています。

また、「申請後のステータスがわかりにくい」とのお声に対しましては、018サポートのマイページ機能を改善して、ステータスを細分化して表示するなど既に対応しています。引き続き、様々なお声を丁寧に聞き、デジタルサービスの品質改善に努めていきたいです。

――&あんふぁんの読者へメッセージをお願いします

桑原さん:子育て世代の皆さんは、仕事や育児など忙しい毎日を送られていることと思います。今後も、皆さんに「便利で快適になった!」と、より実感していただけるような取組を推進してまいります。

まとめ

現在、東京都内の一部の自治体で実施している「こどもDXプロジェクト」ですが、現場の意見も含めて「つながる子育て推進会議」で意見交換をするなど、日々ブラッシュアップを重ねている様子が伝わります。2025年度末を目標に、より使いやすくなった形で実現されるのが楽しみですね。

「こどもDXプロジェクト」詳細はこちらから


企画・編集/&あんふぁん編集部、文/山田朋子

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