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【動画で解説】子どもが喉にものをつまらせたら。知っておきたい「喉つまり(窒息)」の応急手当方法
食事をしているとき、子どもが遊んでいるとき、急に苦しそうに首をおさえたり、顔色が悪くなったり…。食べ物や異物が喉につまってしまう窒息。そのとき、どのような応急手当が必要になるでしょうか。万が一のときに知っておきたい対処法を動画で解説します。
※2021年9月作成の記事を再構成して配信しています
動画で解説【喉にものをつまらせたときの応急手当方法】
喉つまり(窒息)はなぜ起こるの?
口は、空気と食べもの共通の通り道です。空気の通り道である気道が塞がれ、空気が通らなくなってしまうことで喉つまり(窒息)は起こります。特に小さい子どもは大人と比べて、喉つまり(窒息)を起こしやすく、窒息による死亡事故は、0歳から3歳に最も多いのです。
なぜ子どもは喉にものをつまらせやすいの?
- 子どもは大人と違って、食べる(噛む、飲み込む)力が弱いため、食べ物を丸のみしてしまうことにより窒息につながってしまう
- 走り回って食べたり、何個もほおばってしまうなど、食事のときの行動が原因となることも
- 子どもは大人と比べて、喉頭蓋(※)の位置が高く、口から気道までの距離が短いです。そのため、口に入れたものが簡単につまりやすい傾向がある
さらに、乳幼児は唾液が多いことから、口に入れたものが摩擦抵抗なくするっと入り込んでしまいやすいのも原因のひとつと言われています。
(※)喉頭蓋(こうとうがい)…気管と食道が分岐する箇所にある。食べたときに誤って気道に入らないよう、気管の入り口にふたをする役割を持つ
様子がおかしい?喉にものをつまらせたときの子どもの症状
子どもの様子がなんだか変…。下記のような症状があらわれたら、何かを喉につまらせてしまったかもしれません。
- 突然声を出さなくなった
- 首を抑えて苦しそうにしている
- 唇が紫色になった
- 食事中に急に苦しみだした
喉にものをつまらせたときの応急手当
意識があり、苦しんでいる場合は、下記の方法で異物の除去を試みます。そばに人がいれば、救急車を呼んでもらいましょう。
乳児(1歳未満)…背部叩打法(はいぶこうだほう)
乳児を片腕にうつぶせにのせ、顔を支えて、頭を低くして、背中の真ん中を平手で何度も継続して強くたたく
幼児(1歳以上)…腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)
幼児の後ろから両腕を回し、みぞおちの下で片手を握り拳にして、もう片方の手でこれを持って、腹部を上に圧迫する
意識がなく反応が返ってこない場合は、早急に救急車を呼び、心肺蘇生法(心臓マッサージ)に切り替えましょう。
ここには注意して!
口の中に指を入れて除去を試みようとすると、詰まらせたものが余計に奥に入ってしまうことがあります。詰まったものがはっきりと目に見え、掴んで取り出せそうであれば、除去を試みてもいいですが、無理に指を入れないようにしましょう。
また、1歳未満の乳児は、肝臓や脾臓などの臓器を傷つけてしまう可能性があるため、腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)は行いません。
窒息を起こしやすい食品はどんなものがあるの?
丸くて表面がつるっとしているもの
丸くて、表面がつるっとしているものは、口の中に入れたとき、噛まずに飲み込んでしまうことがあります。
例:ミニトマト、ぶどう、飴、こんにゃくゼリー、さくらんぼ、うずらの卵、白玉団子、チーズなど
粘りけがあり、飲み込みづらいもの
例:パン、餅、やきいも、せんべいなど
固くて噛み切りにくいもの
例:リンゴや肉類などの塊など
食品以外にも…
生後5カ月~6カ月頃から、子どもは目に見えるいろいろなものに興味を持ち始め、手にしたものを口に持っていくようになります。子どもの成長過程のひとつですが、口に入れたものを誤って飲み込んでしまい、喉つまり(窒息)を起こしてしまう事故も多く起きています。
例:小さいボールやブロックや積み木、食べ物の形をした玩具など
窒息事故を防ぐために
小さく切って与える
小さく切ることで、栄養が半分になったりすることはありません。安全な形で口にすることが大事です。
食事の仕方に気を付ける
寝ころんだ状態で食事をしたり、歩きながら、遊びながら食べると、喉つまり(窒息)を起こしてしまう危険性が高まります。食べものを口に入れたままおしゃべりしたり、テレビを見ながらの食事もしないよう気を付けましょう。食事中に乳幼児をびっくりさせるようなこともNGです。
また、急停車する可能性のある車の中や、揺れる飛行機などの乗り物の中で食事をする際は、口に入れるものには特に注意をし、大人がよく見守りましょう。
直径約4センチ以内の玩具
小さな子どもの口の大きさは、直径約4センチ。これより小さなものであれば、子どもが口の中に入れて、喉つまり(窒息)になる可能性があります。特に上のお子さんがいる家庭では、手の届く範囲に置かないよう注意をしましょう。
子どもの「もしも」のときために
子どもに何か異変が起きたとき、そばにいる可能性が高いのはパパやママ。「もしも」は起きてほしくないけれど、起こってしまったとき、わが子の命を救う行動ができるよう「応急手当」の方法をぜひご家庭でもお子さんと一緒にやってみてくださいね。
監修:横田俊一郎(小児科)
制作:株式会社こどもりびんぐ/株式会社照林社/株式会社エイトリンクス
ナレーション:神路めぐみ(株式会社ヴイ・フォーク)