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【サツマイモ】「蒸し」が腸に効くワケと激ウマ腸活レシピ3つ
秋はやっぱりサツマイモ! 園でイモ堀りのイベントが行われることも多いですよね。
サツマイモは、「薩摩」という名前だけあって、日本の生産量の約1/3は鹿児島県。主流は「紅あずま」や「なると金時」「高系14号」に代表されるホクホクした食感の品種です。そのほか、種子島特産の「安納芋」に代表される、ねっとりした食感のサツマイモも人気!
今回は日本美腸協会認定講師として、旬のサツマイモを推してみたいと思います!
サツマイモの栄養について
サツマイモ100gのカロリーは126kcal、同じ重さの白米よりカロリーも糖質も低いんです。
そして、食物繊維2.2g、カリウム480mg、カルシウム36mg、ビタミンC29mg、ビタミンE1.5mgなどの栄養素が含まれています。
■食物繊維
サツマイモに含まれる主な栄養素のひとつ、食物繊維。食物繊維は不溶性・水溶性と2種ありどちらも含まれています。それぞれの腸での働きも違いますが(後述)、サツマイモには不溶性が多く含まれていて、健康的なお通じを促す整腸作用が期待できます。
■カリウム
米飯の18倍の含有量。体内でナトリウムとのバランスをとることで、細胞内の浸透圧を正常に保ってむくみ解消に繋がったり、血圧を調整するのに役立ちます。カリウムは塩分の摂りすぎや老化で失われやすい栄養素です。
■カルシウム
皮部には肉質部よりもカルシウムが多く含まれています。実はサツマイモに含まれるカルシウム量は牛乳の3分の1ほどとも言われているんですよ。
妊娠中の赤ちゃんの発育にも、子ども達の成長期にもそして私たちママの将来の更年期にも必要なカルシウム。不足しがちな栄養素がサツマイモにも入っているなんてびっくりしますね。健康な骨や歯を維持するためにもぜひに皮ごと頂きましょう!
■ビタミンC
サツマイモにはビタミンCも豊富でリンゴの10倍以上! そして、なんと他の野菜などに比べて加熱調理をしても糊化したでんぷんの作用により壊れにくい特徴があります。また細胞の結合を強化するコラーゲン生成を助ける機能もあるので、美容効果も高いんです。
■ビタミンE
脂質の酸化を防ぐ=老化を緩やかにすることで体を守る抗酸化作用(アンチエイジング効果)があります。サツマイモには抗酸化作用を持つビタミンCも含まれるので、ビタミンCとビタミンEの相乗効果も期待できます。
■βーカロテン
体内で必要量だけビタミンAに変わり、脂質抗酸化物質として機能します。口、鼻、喉、胃腸などの粘膜や皮膚を正常に保ったり、目の健康や骨づくりのサポートも。また。油と調理することで吸収率が高まります。お肌のかさつきやニキビ肌の予防などママの美肌にも、子ども達の成長に欠かせない栄養素です。
■でんぷん
サツマイモの主成分はでんぷん。エネルギーの元で、貯蔵や長時間の加熱により糖分へ変わり、さつまいも独特のやさしい甘みが出てきます。糖質が多い食材なので、私は人体実験と思って、去年の1月頃から今年の7月頃まで主食の代わりとしてサツマイモを食べていました。すると、一日バナナ6~9本分の快便生活に! 自分史上一番快腸な時期だった気がします。
サツマイモが腸活によいワケ
不溶性食物繊維が豊富。便が細い方に効果的。また切り口から出るヤラピンが腸のぜん動運動を促し、食物繊維との相乗効果で腸内環境を整え、便秘の改善に効果的なんです。
ヤラピンとは、さつまいもを切る時に出てくる白い液=樹脂の一種で、そのままにして放っておくと黒いタール状の物質に。このでんぷんに腸内環境をよくしてくれる効果があるのです。
でんぷんの中には胃や小腸で吸収されずに大腸まで届くものがあります。ヨーグルトのコマーシャルでも「大腸まで届く」なんてフレーズを聞いたことがあると思います。大腸まで届くでんぷんの成分を「レジスタントスターチ(難消化性デンプン)」と言います。サツマイモには、このレジスタントスターチが含まれていて、多様な腸内細菌のバランスをサポートしてくれ、腸内環境の改善やメタボ対策にも効果的!なんです。もちろん、免疫細胞の集中する腸内環境が整うので、免疫力を保つ効果も期待できます。
レジスタントスターチには、食物繊維のよいとこどりの効果が!
食物繊維には不溶性と水溶性の2種類があります。不溶性食物繊維の「便のかさを増やしてお通じをよくする効果」。そして水溶性食物繊維の「腸内細菌のエサとなり有用菌を増やす効果」。サツマイモの食物繊維はこの2点を併せ持ちます。
腸内には有用菌、有害菌、日和見菌の3種類の菌がバランスを取り合って生息しています。
その有用菌がレジスタントスターチをエサにして、短鎖脂肪酸という酸を作ります。この短鎖脂肪酸は、腸のもごもごした動き=ぜん動運動を活発にしたり、腸内環境を酸性にしてアルカリ性が好きな有害菌の増殖を抑えたりする働きがあります。レジスタントスターチを含む食品は満腹感も与えてくれるのでダイエットにもよいのです!
病気の9割は血流や血液の質によるものともいわれています。腸内環境が整えば全身を巡る血流がよくなりますので、私たちの健康をサポートしてくれるわけです。
さらに、サツマイモは、便秘解消だけでなく骨も強く美肌にも導いてくれるので、元気なお子さんとキレイなママ、免疫力の高い家族になれそうですね。
サツマイモは「蒸し」がイチオシ
前述のレジスタントスターチは、アツアツの状態よりも、冷ますことでその含有量が増えます。また、電子レンジを使うと高温でレジスタントスターチの含有量を減らしてしまうので、サツマイモを調理する際は「蒸す」ことをおすすめします。
蒸し器不要の蒸し方
自宅に蒸し器がある場合ははぜひお使いください。
でも持っていなくても問題ありません! 金属製のザルか小さなお皿をひっくり返し、その上に平らなお皿を乗せる形で使います。
●サツマイモの簡単蒸し
1.深い鍋に3センチくらい水を張り、そこに上記のザル、またはお皿を置く
2.洗ったサツマイモを入れ、30分ほど中火から強火で蒸す。中火から強火の火加減がサツマイモの甘みを引き出します。わが家は深鍋に合うサイズの金属製のザルがないので、お皿を使っています
※金属製のザルと違い、お皿を使う場合はお皿にお水が溜まります
※耐熱皿を使用してください
サツマイモの激ウマ腸活レシピ3つ
●塩麹のスイートポテトサラダ
塩麴とヨーグルトも使い、「菌活」も! 麹菌、乳酸菌、そしてサツマイモの食物繊維で腸内環境を整えます。
【材料】(4人分)
塩麴…小さじ2、プレーンヨーグルト…大さじ2、サツマイモ…1本、ニンジン…1/2本、インゲン…7~8本
【作り方】
1.サツマイモを蒸すとき、ニンジンもインゲンも一緒に蒸します。インゲンは最後の2分くらいで投入しておけば大丈夫です
2.粗熱が取れてから調理します。サツマイモは一口大(皮ごとでもOK!お好みで)、ニンジンはサツマイモより小さめに。インゲンは筋を取り、1~2センチに切ります
※サツマイモは粗めに潰すと食べやすいです。でも、わが家では子ども達の好みに合わせ、潰さずに形をしっかり残しています
3.塩麴、ヨーグルトを和えて器に盛ります。お好みでコショウを振ってもおいしいです
●中華風サツマイモ
こちらも味付けに塩麴を使っています。お醤油を醤油麹に置き換えても味に深みが出ます。
【材料】(4人分)
・◎…(砂糖…小さじ1、醤油…小さじ1、酢…大さじ2、ごま油…大さじ1/2、塩麹…小さじ1/2)、イリゴマ…適量お好みで、蒸したサツマイモ…1本
【作り方】
1.蒸したサツマイモの粗熱が取れたら、食べやすい大きさに切ります(皮ごとでもOK!お好みで)
2.ボウルなどに◎を合わせ、そこに1.を入れて和えお好みの量のイリゴマをふります。わが家ではゴマをドバっとまぶすと子ども達が喜びます
●サツマイモと糸昆布の煮物
サツマイモの不溶性食物繊維と昆布の水溶性食物繊維のタッグは便秘解消にも超おすすめ!
【材料】(4人分)
・刻み昆布…15g、しょうが…適量、◎…(水…300CC、砂糖…大さじ1、酒…大さじ2、醤油…大さじ1と1/2、みりん…大さじ2)、蒸したサツマイモ1本
【作り方】
1.刻み昆布はさっと洗い5分ほど水に浸す。蒸したサツマイモは厚さ2~3センチに切っておく
2.鍋に、水に浸けておいた刻み昆布と刻んだしょうが(チューブのものでも可)、◎を入れ、10分ほど煮る。そこに蒸したサツマイモを入れ、汁気がなくなるまで煮含める
※サツマイモに味を染み込ませるためなので煮崩れしない程度に
※お好みですが、サツマイモを入れる際、ごま油を差し入れるとβ-カロテンの吸収率も高まりますしごまの香り高くおいしいです
手を加えたものはもちろんのこと、蒸しただけでも十分楽しめるサツマイモ。そこに塩やバターをつけるだけでさらにおいしさがアップします。ご家庭ごとの楽しみ方で、秋の味覚を存分に味わいながら「腸活」を意識してみてくださいね。
■参考資料
■農林水産省 令和2年度いも・でん粉に関する資料
■JAグループ 秋・冬の旬野菜サツマイモ
■文部科学省 日本食品標準成分表
■日本いも類研究会
■はくばく おいしい大麦研究所 ダイエットの味方!主食に含まれるレジスタントスターチ
■CiNii Articles「さつまいもの加熱調理方法の違いによるレジスタントスターチ量と不溶性食物繊維量について」