【長芋ダイエット】10日間の成果は?驚くほどの〇〇効果
「これさえ食べれば痩せる!」というのは、だれしも心惹かれるうたい文句ですが、正直なかなか難しいですよね。「痩せたいけれど、連日暑くてアイスクリームが止められず、2kg太ったの。どうしたらいい?」という友人の悩みに応えたい気持ちで、美容効果もある食材での置き換えダイエットはどうかと考えました。
そこで、目を付けたのが「長芋」です。今回は、10日間ダイエットに取り組んでもらいました。その結果は残念ながら体重減の結果には至らず…。しかし、思った以上の成果が出たものがあったのです。そこで、今回はダイエットの取り組みとその成果についてお話します。
そもそも、なぜ長芋を選んだのか?
今回「長芋」を選んだ理由は、山の仕事をしていた父が、私が子どものころから「身体にいい」とすすめてくれていたものだったから。「薬膳の観点から、胃腸の弱る梅雨から夏は山芋を食べなさい。食欲不振をはらい元気を養うから」というのが理由でした。その山芋の中で一番カロリーの少ないのが長芋なのです。芋類なので腹持ちがよいのはもちろんですが、腸活的にも素晴らしい効果のある食材ということを知っていたので選びました。
ちなみに、山芋は生で食べられる唯一の「ヤマノイモ科」に属する芋の総称。自然薯、ダイジョ、長芋、ホワイトギニアヤムなどがあります。長芋は、この中でも水分量が多く、さらさらな粘度、淡白なな味わいが特徴のため、味付け次第で毎日食べ続けるのに向いていると考えました。
※長芋100gあたりのカロリーは64kcal。カレーなどで定番のじゃが芋は59kcalなので、ほかの野菜と比べると少し高めではあります
また、山芋を扱うマルコーフーズ株式会社に問い合わせをしたところ、一食分の摂取目安量はおおよそ50gとのことでした。数値に関しては「だいたい」の目安です。また、山芋はアレルギーを発症する可能性のある食品特定原材料に準ずるもの21品目に数えられます。そのため、どか食いはNGですが、目安量を超えなければ、カロリーや糖質、食物繊維量を摂り過ぎるといったこともなく毎日摂取しても安心の食材です。
長芋の栄養素
長芋は食物繊維、ビタミンB1やカリウムなどを多く含んでいます。ダイエットや美容を叶えるには効果の期待できる食材です。
●食物繊維
日本人の食事摂取基準によると、食物繊維の摂取基準量が男性は21g以上、女性は18g以上が現状での目標で、理想的な摂取量は1日24g以上とされています。しかし、現実は不足していて、厚生労働省の国民健康・栄養調査(令和元年度)によると、実際の食物繊維の摂取量は不足がちな20代は16.0g、一番摂れている70代で21.2g、と理想にはなかなか達していません。
長芋の食物繊維は、糖質の吸収を穏やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える水溶性食物繊維、水分を吸収し蠕動運動を活発にして便通を促進。また、水溶性と不溶性の特徴を併せ持つレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)が豊富。便通解消、整腸効果、生活習慣病予防が期待できるんです。
●ビタミンB1やカリウムなど
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変換するときに必要なビタミンで、疲労回復効果、ダイエット効果が期待できます。カリウムは浸透圧を調節するミネラルの一種で、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑制し、血圧を下げる効果もあります。そのほか、運動能力や学習能力の向上に期待できる鉄、体内で作ることのできない必須微量ミネラルの亜鉛も含みます。亜鉛は酵素の構成や酵素の反応の活性化、ホルモンの合成や分泌の調整、DNA合成、免疫反応の調節などに作用し、身体の成長と維持に必要な栄養素です。滋養強壮効果を考えると、子どもにもおすすめの食材ですね。
ダイエットの方法と成果
今回のダイエットは、友人3人(A、B、C)にトライしてもらいました。
Aはおやつのかわりに長芋を摂取。15時のおやつをすべて長芋に置き換えました。
B、Cはダイエット希望もあり、朝食のごはんを長芋に置き換え。食べ忘れたときは昼か夜。
長芋の1食の摂取目安は50gでしたが、結果を出そうと欲張り…それぞれ150~200gで、基準より多め。おおざっぱに摂ることにしました。ほかはいつも通りの食事。
結果としては、ダイエット効果はあまり見られませんでした。摂取量を多めにしたのが裏目に出たのかもしれません。しかし、以下の表を見ると、ほかの効果があったことに気づくことができました。
10日間の推移
※Aは日により50gしか食べない日もあった、と事後報告あり。BとCは150~200g/日
「ごめ~ん、体重減らなかったよ!」とどの友人も言っていましたが、思わぬ成果がありました。ひとつは「暑くて食べたくない、と思った時も長芋ならつるっと入るからと食べる気になった」ということ。
もうひとつは、私が日本美腸協会の認定講師でもあるので「排便の記録もとっておいて」と付け加えていたことでわかったのですが、3人とも便通に変化があったことです。
Aからは、「アイスとプチケーキを食べてしまったお陰で、体重は増加を止められなかったけれど、お通じがかなり良くなった。便の量がさらに増えた感じかな。痔もなくなったよ」と連絡をもらいました。
また、Bは「吹き出物が減ったよう」、Cは「汗をかくために顔や首にできていたあせもみたいなものが減り、肌触りがつるっとよくなった感じがする」とのことでした。
便通がよくなり、肌の調子がよくなった理由は
長芋の持つレジスタントスターチは、腸内環境を整える効果の高いものです。大腸まで届くでんぷんの成分で、多様な腸内細菌のバランスをサポートしてくれ、腸内環境の改善やメタボ対策にも効果的!免疫細胞の集中する腸内環境が整うので、免疫力を保つ効果も期待できます。
このレジスタントスターチは、熱を加えると減るのですが、また冷やすと増えます。3人とも、長芋は冷えた状態で食べていたので、おなかの調子をよくしたのかもしれません。
腸内環境が悪くなると、腸の蠕動運動の働きが悪くなります。そのせいで便が硬くなり滞留しやすくなり、便秘になることも…。 便の滞留状態は有害菌(悪玉菌)が増え、腸内がアンモニアなど有害物質の発生しやすい環境となります。 発生した有害物質は腸から吸収され、血液にのり全身に巡ります。これは、もちろんお肌にとって好ましくない状態です。長芋のおかげで腸内環境が整い、お肌の調子が良くなった可能性が高いと思います。
ダイエットや快便に大事な要素は
食事バランスを整え、水分補給を意識し適度に動き、ストレスを溜めすぎないようほっとひと息つく時間ももつ。これがダイエットには不可欠です。
今回は、10日間という短期間での「長芋ダイエット」は、体重面では大成功とはいきませんでしたが、腸内環境が整い、想像以上に排便効果を生んだのはよかったと思います。長芋が腸内環境を整えたほか、不足していた栄養素を長芋がしっかり補ってくれたことも大きいでしょう。
しばらく暑さが残るこの時期、食欲も落ちがちです。長芋を食べて栄養を補いながら、快便生活を目指してはいかがでしょうか。
■参考資料
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」