本とネットは何が違う?紙の本で得られる良いこと4つ
近年は、電子書籍がぐっと手に取りやすくなりました。システム面でも年々改修が進み、使いやすいアプリがたくさん登場しています。子育てにおいては、電子書籍にもたくさんのメリットがあるので「最近は、絵本はもっぱら電子書籍で…」という人も多いかもしれませんね。
では、このような時代に紙の本を選ぶ必要性はあるのでしょうか? 今回は、図書館司書の資格をもつライターが、ママの視点から「紙の本のいいところ」をご紹介します。ご自宅で本を買ったり、読んだりするときの参考にしてください。
こんなに違う!「紙の本」4つの良いところ
紙の本は電子書籍やWebサイトとどのような違いがあるのでしょうか? まずは電子媒体と比べた、紙の本の良いところを見てみましょう。
・複数ページをいっぺんに楽しめる
紙の本は、複数のページを一度に楽しむことができます。また複数の本がある場合は、並べて両方触ったり、見比べたりすることも可能です。
電子書籍は、めくったページだけが画面に表示されます。ですから、ちょっと前に戻ってストーリーを確認したいな…と思ったときは、今読んでいるページを完全に閉じて、前のページを確認しなければなりません。紙の本だと、今読んでいるページに指をはさんだまま、何ページか前に戻って、両方を見比べることが簡単にできます。
絵本の場合は、2つのページにある絵を見比べることも簡単です。
・破れたら元に戻らない
紙の本は、破れてしまったら元には戻りません。
モノが破損しがちな子育てにおいて、絵本が破れる心配がない電子書籍は、パパやママにとっては安心ですよね。そのこと自体が電子書籍の大きな利点でもあります。
しかし、子どもは破れた紙の絵本から「乱暴に扱えばモノは破れる」「ボロボロになったら元に戻らない」ということを学ぶでしょう。紙製品だからこそ、子どもにモノの大切さ示し、子どもが自ら扱い方を学ぶことに役立ちます。
・自ら読書する習慣を促す
紙の本は、子どもが自分で本棚から持ち出したり、開いたりすることのできるアイテムです。
もちろん、電子書籍でもタブレット端末などを自分で操作することは、小さい子どもでも可能でしょう。ただ、親が端末を管理していることなどから、手軽にいつでも見るのは難しいかもしれませんね。
これに対して、紙の本を子どもの手が届くところに置いておくと、遊びの一環として日常的に本に親しむ子どもは多いです。園児、小学生と成長を重ねて、自然と読書のできる子に育つ可能性があるといえるでしょう。
・記憶に残りやすいと言われている
いまだ研究中の分野ではありますが、紙の本で読んだ内容は、電子書籍で読んだ内容に比べて記憶に残りやすいという説があります。同様の研究は、学校教育の現場でタブレットが使われることの増えた2020年代に入ってから数多く行われてきており、現状は多くの研究者が「紙の本のほうが記憶に定着する」という研究結果があるようです。
紙の本のほうが記憶に残りやすい理由としては、いくつかの原因が考えられています。例えば、ある研究では紙の本を読んでいるときのほうが、電子書籍を読んでいるときに比べて深呼吸の数が多く、脳がリラックスしていることがわかっています。電子書籍を読んでいるときは脳が興奮状態にありますが、そのことによって注意が散漫になり、記憶を妨げている可能性があるようです。また他に、紙の質感、ページをめくる行動、紙やインクのわずかなにおいなど、本を読むという行動以外に五感が刺激されるために記憶が残りやすい、とする説もあります。
いずれにしても、紙の本で読んだ物語のほうが記憶に残りやすい可能性は否定できません。
紙の本と電子書籍、いいとこ取りのアイデア
紙の本の良さをご紹介してきましたが、電子書籍にも見逃すことのできないメリットがたくさんあります。
さきほど触れたとおり、紙の本のように破損しにくいこと。端末だけを持ち歩き、外出先で見られること。購入した書籍を収納するスペースが必要ないこと、また散らからないので片付けが楽になることもママにとってメリットですよね。
そこで日常生活のなかでは、紙の本と電子書籍の良いとこ取りをするのがおすすめです。具体的にはこんなアイデアがありますよ。
・家では紙の本、外出先では電子書籍を使う
外出先で困ってしまうのが、荷物が増えがちなこと。日常の荷物に加えて、紙の本となると、持ち歩ける選択肢がとても狭くなります。こんなときこそ、電子書籍を活用! 端末だけあればたくさんの本が読めるので、ある程度長時間のお出かけでも、暇つぶしのネタが豊かになります。
・電子書籍のなかで、気に入ったものだけ紙の本を買う
紙の本は、すぐ取り出せて繰り返し読めるのが魅力です。でも、購入したからといって必ず気に入るとは限らないのが難点ですよね。数が増えたら家のなかも散らかりやすくなってしまいます。そこで、まずは電子書籍で試し読み。子どもがとっても気に入っているものだけ紙の本で購入するようにすれば、お気に入りだけが並ぶ本棚を作れます。子どもも、お気に入りがいつも触れるところにあるので大喜びです。
紙の本も、電子書籍もうまく使って楽しいブックライフを
電子書籍の読めるサイトは、数年前に比べても、とても充実しています。購入するサイトだけでなく、公立図書館がサイト内に電子書籍コーナーを持ち、コンテンツの一つとして電子書籍の貸出を行うことも増えてきました。貸出の扱いになるため期間が限定されるものの、図書館に行かなくても無料で読めるなど、紙の本にはないメリットがどんどん増えています。
しかしそれでも、紙の本には紙の本の魅力があるのも確か。特に、何度も読み返しているお気に入りの本は、ぜひ紙の本で読んでほしいと思います。自分で本棚から出して、やがて自分で読めるようになるので、忙しいパパやママの時間捻出にも役に立つかもしれませんね。
どちらか片方にかたよるのではなく、うまく両方を利用しながら、子どもたちが本の世界をたくさん楽しんでくれることを願ってやみません。