人間関係を築く土台となる“お友達”
幼児期は、人間関係を築く土台となる「自己主張」と「自己抑制」が育つ大切な時期。子どもの友達関係で悩むママに、発達心理学に詳しい齋藤久美子さんがアドバイスします。
Question やんちゃなお友達に やられっぱなしの息子
4歳の息子は、園のやんちゃな男の子にリュックサックや帽子を引っ張られて倒されたり、パンチされたり、引っかかれたりしています。息子だけでなく他のお友達もされているそうです。けんかや多少の傷は仕方ないと思いますが、一方的にやられてばかりなので心配です。どうにかならないか、角を立てず先生にお願いする言い方を教えてください。
[東京都・barbie2]
Answer 怒りよりも悲しみや心配の 感情を強調して伝えて
「多少の傷は仕方ないと思います」とあるように、お子さんの発達にも先生にも気遣われている気持ちが伝わってきます。今の気持ちを、そのまま先生に伝えてみたらいかがでしょう。なかなか難しい問題ですから急いで解決を目指すよりも、先生と日常的に思いを伝え合うようなコミュニケーションを意識するといいと思います。その際は「先生も大変だと思いますけれど、うちの子が一方的にされているみたいでかわいそうで…」というふうに、先生の頑張りや大変さに理解を示しつつ、怒りよりも悲しみや心配の感情を強調して伝えましょう。
また、子どもの言動には必ず理由があるものです。やんちゃな友達は、言葉でうまく伝えられずに手が出ているのかもしれませんし、もしかしたら息子さんや周りの友達がきっかけとなる言動をとっているのかもしれません。やんちゃな子を排除することなく「みんなで仲良くできればいいと思うのですが」と伝えて、園での状況や先生の対応を聞かせてもらいましょう。「うちの子も友達を傷つけることがあると思うので、そのときは教えてくださいね」と添えることも大切です。担任の先生とコミュニケーションを重ねても状況が変わらなければ、次の段階として、主任の先生や園長先生に相談することも考えてみましょう。
Question お友達を自分より下に 見るような言動をします
4歳の男の子です。同学年のお友達を自分より下に見るような言動があります。同じだと説明しますが、しばらくするとまた戻ってしまいます。どのように伝えたら分かってくれるのでしょうか?
[東京都・マシュマロ]
Answer わが子の話をじっくり聞いて 良いところを認めてあげましょう
もしかしたらお子さんは、自分の話をママにちゃんと聞いてもらえていないという思いがあり、そのために何度も繰り返しているのかもしれませんね。友達を下に見るような言動を通して、僕はできるんだよ、すごいんだよ、ということを一生懸命ママにアピールしている可能性もあります。まずはお子さんの言うことを否定しないで、じっくり聞きましょう。「すごいね。ちゃんとできるんだね」とお子さんの良いところを認めて褒めるという関わりをしていくと、ママに思いを受け止めてもらえたという気持ちになるのではないでしょうか。
この時期は月齢差も大きいですし、一人一人の個性や得意・不得意もありますから、みんな同じということはないんですね。自分と友達を比べようとするのは、それだけいろいろなことに興味を持ったり気付いたりできているという成長の表れでもあります。見下すような発言を禁止するだけでなく、どうすればよいのかを伝えましょう。例えば、友達に苦手なことがあったら、「○○ちゃんは得意なんだから一緒にやってあげたら?」と、お子さんに提案してみてはどうでしょう。また、「△くんは走るのは苦手だけどお絵描は得意だね」というふうに、友達の良いところを一緒に探せるといいですね。お子さんを認めてから、友達との関わり方を伝えていくという順番が大事です。