睡眠の専門医が教える考えすぎない「子どもの睡眠」

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睡眠の専門医が教える考えすぎない「子どもの睡眠」

生活の多くの時間を占める「睡眠」。幼児期に気を付けるポイントは?
小児科医で睡眠の専門医である神山潤先生に聞きました。

イラスト/杉浦さやか

睡眠の役割とは?

睡眠は子どもの心身を育てるもの でもこだわりすぎは禁物

「眠り」の役割とは何でしょうか。私たちの睡眠は「自律神経」によってコントロールされています。自律神経には2種類あり、昼は「交感神経」で活発に活動し、夜は「副交感神経」で心身の休息、つまり睡眠を促します。2つの神経の切り替えにより、人は毎日元気に過ごすことができるのです。また、睡眠中に脳から分泌される「メラトニン」というホルモンが、細胞の酸化を防ぎ、健やかな生育をサポートします。メラトニンが最も多く分泌されるのは1〜5歳のまさに幼児期。子どもの心身の成長には睡眠が必要なのです。

よく「子どもを何時間寝かせたら良いですか?」と聞かれますが、一人一人全く違います。最適な睡眠時間は、子どもを日々観察しながら見極めましょう。

睡眠に大切なポイントは大きく4つあります。朝日を浴びる、昼間の十二分な心身の活動、規則的で適切な食事、暗さや静けさなど夜間の適切な睡眠環境整備。ただし、ベストな環境は日によって、体調によって変わります。子どもが気持ち良さそうな環境を探してみてください。

一方、「子どもの発達に眠りが大切なこと」に関するエビデンス(根拠)はまだ少ないのが実状。過度に眠りを重視するとストレスに。良い加減に〝いい加減〟にすることも子育てには大切ですよ。

子どもの最適な睡眠を見極める3ステップ

次の3ステップを一例に、子どもの最適な睡眠時間や睡眠環境を考えてみましょう。
「あくまで参考なので、数字にこだわらず、親御さんが感じるお子さんの様子に自信を持ってください」と神山先生。
一回でうまくいかなくても、「明日の昼からまた考えよう」と気持ちを切り替えてくださいね。

1.午前中の子どもの様子を観察

人は、脳のリズムで1日に2回、午前と午後の両方の2〜4時はどうしようもなく眠くなります。つまり、それ以降の時間(特に午前10〜12時)に眠そうなのは睡眠が足りない可能性も。この時間の園での様子を先生に聞いてみるのも手です。

観察するときのポイントはココ

● 大あくびをしていないか
● だるそうにしていないか
● 元気なのか興奮状態なのか(寝不足で興奮している場合もあります)
● 物事に集中しているかどうか

2.夜の過ごし方を見直す

「メラトニン」は、夜間でも明るい環境では分泌が少なくなります。室内の照明は弱くしましょう。そして早寝が大切。「パパと触れ合う時間がない」と嘆く人もいるかもしれませんが、子どもの生活リズムを一定に保つことを考えましょう。

3.朝中心の一日に

メラトニンは朝目覚めてから14〜15時間後に分泌が始まります。つまり、朝タイマーがセットされるのです。前の日に夜更かししてもダラダラ寝かせずに、朝起こしてあげましょう。また、昼間に光を浴びるとメラトニンの分泌が増えます。

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