偏食、食べ過ぎ、おやつのこと…食の悩み、まるっと解決!
さまざまな食べ物や味と出合い、食べ方や食事の楽しさを学ぶ幼児期。
食べられるものの種類が増えて成長を感じる一方、好き嫌いや食事の量など、悩みや疑問もたくさん生まれてきますよね。
今回は、“食”と“心”それぞれの専門家に、解決法をアドバイスしてもらいました。
イラスト/杉浦さやか
食事の仕方・楽しさを学び味覚の基礎を築くとき
心身ともに大きく成長する幼児期は、食生活の基礎が作られる時期でもあります。この頃の食経験は、後の人生に影響を及ぼすので、大切にしてあげたいですね。
奥歯が生えそろってくると大人と同じように固形の食べものを食べられるようになるものの、消化機能が未熟な子どもには大人と同じ食事は負担に。また、味覚とかむ力、食べる力を育てる時期なので、味と形態はまだまだ配慮が必要です。濃い味は控え、軟らかすぎたり硬すぎたり、小さすぎたり大きすぎたりなどしないよう、子どもの成長発達に合わせて用意するようにしましょう。
体格やかむ力、消化力など個人差が大きい時期なので、それぞれに悩みがあるのも自然なこと。大人のいうことを聞かず困ることも増えると思いますが、食べることを楽しむことを最優先に、無理なく焦らず、子どものペースに寄り添い、食べることが好きになるためのアプローチが必要です。
ここを押さえて 子どもの食事 基本の5ポイント
1.栄養バランス、食事量は1日〜1週間単位で見守って
毎回の食事量は違って当たり前。大人だって体調や気分によって増減するものなので、“今日の朝はほとんど食べてくれなかった”“夜は心配になるくらいよく食べた”などに、一喜一憂しすぎなくて大丈夫です。まずは1日単位で見てみて、3日、1週間単位で振り返ってみましょう。
栄養バランスは、何を食べたかに左右されると思いますが、実は「何を作るかより何を買うか」が大事! 肉、魚、豆類、野菜などの食品をバランス良く用意していれば、自然とバランスも良くなります。
2.食事はできるだけ決まった時間に
幼児期に身に付けたいのは、正しい食習慣。人間の体は摂取したエネルギーや栄養素をためておけないので(特にビタミン類など)、数回に分けて定期的に補給することが必要です。基本は朝昼夕3回の食事に1回の補食。食欲がないときは量を無理して食べなくてもいいですが、小さいおにぎりやバナナでも、必ず何か食べてスイッチを入れるようにしましょう。食事のリズムが決まってくると、おのずと1日の生活リズムも整っていいサイクルが生まれてきますよ。
3.好き嫌いの原因を探り、味覚を育てて
苦手の三大要素は「食感・味・見た目」。わが子が苦手な食材に当たったとき、どこに引っかかっているのか見極めるのは大事なことです。かむ力や歯の生えそろい方など“機能的に食べられない”ことや、苦みや酸味など“味覚的な経験不足で食べられない”場合など、いろいろな要因があります。
次のページでも示していますが、苦手だからと言って食卓に出さなくなるのが一番避けたいこと! 調理法を工夫するなどして、無理なくトライし続けましょう。
4.調理法の工夫や声掛けで五感を刺激して
メニューのマンネリを防いだり、子どもの五感を刺激するためにも、旬の食材を選ぶことはとってもお勧めです。他にも名前やどのように育つか話をしたり、においをかいだり、調理をお手伝いしてもらったり、食に関心を持たせるきっかけはいろいろあります。
また、同じ食材でも、千切りにするかすり下ろすかでも食感が全然違ってくるので、さまざまな調理法で子どもの味覚を刺激してあげてください。
5.「食事は楽しい」と思わせる雰囲気作りを
食べる環境に決まりはありません。家庭の事情によっても違いはありますが、一人で食べられるからといって“孤食”は避けるようにしましょう。台所仕事から手が離せないときも、声掛けをして“見守っているよ”と子どもに伝えることが大切です。
もし、家族や友達と会話をしながらの食事ができるなら、その回数は多いに越したことはありません。“食事は楽しいもの”と子どもが思ってくれれば、悩みも少なくなると思います。