小1息子の自慰行為にとまどっています。どうしたらいいですか?

Question 小学校入学前に突然はじまった自慰行為。手持ち無沙汰になると始めます。どう対応したらいいですか?

小1の男の子です。年長の最後、小学校入学の直前くらいから、突然自慰をはじめました。本人は性的な意味や、恥ずかしいことだという認識がないようです。家族でテレビを見ているときなど、手持ち無沙汰になるとはじめます。来客時にもしてしまうことがあるので困っています。叱ったり、ムリにやめさせることでもないと思い、静観していますが、何か対応した方がいいのでしょうか。また来客時など、人に見られないように注意するにはどのように説明したらよいのでしょうか?(きのこ)

Answer 子どもの自慰行為をどうとらえ、どう考えるか?

基本的に思春期以降の自慰行為とは違って、ただ単に気持ちがいいから触るだけで、性的な意味合いがない場合が多いと思います。なかにはクセになってしまう子もいますが、子どもの成長過程のひとつとして考えてよいと思います。気持ちいいので、簡単にはやめることができません。大人も気持ちいいことを簡単にやめられないですよね。それと同じです。ですから、ムリにやめさせるのはなかなか難しいです。

親は子どもの自慰行為から目をそらしたくなりますが、ムリにやめさせても、子どもはどうしてダメなのかわからないので、声かけを工夫して、自然に減らしていくことが大切です。

では、どのような声がけをしていけばいいのでしょうか。「きれいな手で触ろうね」「みんなで遊ぶときはやめようね」のような声かけをしましょう。強く叱ったり、タブーのような扱いをしないことが大切です。

自慰行為そのものは悪いことではありません。しかしオナラやあくびと同じように、あえて人前でしないようにするのがエチケットです。行為を見かけたときには、「もうそろそろお兄ちゃんなのに、恥ずかしいなぁ」「もぞもぞやっていたら、赤ちゃんみたいに見られるよ」と声をかけてみましょう。

また、女の子は股間と胸を結ぶ三角形、男の子は股間の三角の形の部分を「プライベートゾーン」として教え、「大切な部分だから、他の人にむやみに触らせてはいけないよ」と伝えてあげてください。

子どもが自慰行為からほかへ興味を移せるような、運動や手遊びに誘って気をそらせ、意識をほかに向けていくように工夫してみてください。また「今日の洋服かわいいね」という話しかけや、頭をなでたり、寝る前のマッサージや遊びをしたりなど、違う部分に意識をもっていってあげるのもいいでしょう。

赤くなるほど自慰行為をしてしまう例も
私が小1の担任だったときに、自慰行為をする女児の親から相談されたことがあります。いじりすぎて性器が赤くなり、液まで出てくるそうです。

しかもお母さんは、このように悩んでいました。
「見ているこちらが気持ち悪くなるのです。自慰行為をすることは普通にあることだから、気にしないようにしているのですが、あまりにもひどくて…。それに、あえぎ声を出したりするのを見ると、もうダメなんです。そんな子ども自身を、いけないとは思いながらも嫌いになってしまうのです。どうしたらいいですか?」

幼稚園の先生にも様子を見てもらうようにお願いしたり、保健所の先生には、『成長とともになくなります。また、寂しさや不安から来るもの、恥ずかしいことではないから見守って』とアドバイスをもらったそうです。

私はそのお母さんに、「できるだけ、子どもと一緒にいる時間を増やす努力をしてください。毎日忙しく、なかなか時間がとれないこともあると思いますが、一緒にいるときには、できるだけスキンシップをして、いっぱい、ほおずりしてあげてください」とアドバイスをしました。

1回のアドバイスですぐに改善はしませんでしたが、学校でもたくさん声をかけて、「君はとても心がキレイだね。そのまま大人になってくれるといいなぁ」とも伝えました。

 
自然と自慰行為が始まってしまうこともありますが、生活の中で溜まった精神的なストレスを発散させるために自慰行為をしているという説もあります。これは『代償行為』と呼ばれます。身近なものを刺激することで、精神的な動揺を和らげ、安心感を得ようとするのです。人間は性器を手で包むと安心するという習性があるともいわれています。

自然に治らない場合には、何らかのストレスや期待、友達関係のストレスなどもあるかもしれません。とにかく子どもをよく見て、その原因を探ってみてください。ときには専門医に診てもらうことも考えてみましょう。

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プロフィール

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白梅学園大学子ども学部子ども学科教授

増田修治先生

1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

ライター

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&あんふぁん編集部 &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

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