割れたスマホのガラスフィルムを誤飲!?受診ポイントと注意点

割れたスマホのガラスフィルムを誤飲!?受診ポイントと注意点

「子どもが吸い殻を飲み込んだ!」「おもちゃの部品を飲み込んでしまった!」大慌てで私の小児科に来られる保護者は多いです。小さな子どもはなんでも口にするため、このような出来事が起こることもしばしば。最近多いのは「割れたスマホのガラスフィルム」です。
今回は「子どもの誤飲」について、小児科医の立場からお話しします。

誤飲で多いのは「タバコ」

子どもが誤って口にしてしまうものとして多いものに「タバコ」があります。
タバコの中のニコチンにより、飲み込んだ子どもに、嘔吐下痢・顔色不良、場合により呼吸困難などの症状が出ることがあります。少しかじっただけであれば、重い症状になる可能性は低いですが、体内に入った量を正確に知ることは難しいため、まずは医療機関を受診してください。
最近では「加熱式タバコのスティック」の誤飲で受診する人も増えてきました。小さいサイズで口に入りやすいものなので、子どもの手に届かないところで保管してください。

もちろん、親本人の健康にも影響するものですし、タバコの煙による受動喫煙の害、乳児突然死症候群のリスク増大など、さまざまなリスクがあります。誤飲のリスクをゼロにするためにも禁煙をおすすめします。やる気のみで成功するのはとても難しいと思いますので、禁煙外来などで専門家に相談してみてください。

近年増えたのは「スマホのガラスフィルム」

私が診療する中で、近年経験するようになったのが、「スマホのガラスフィルム」の誤飲です。赤ちゃんはなんでも口にして、試しにガリガリと噛んでしまいます。そのため、親のスマホをかじっているうちに、ガリっとガラスフィルムが割れてしまうことがあるのです。その場合、口の中を傷つけたり、破片の大きさによっては消化管を傷つけるかもしれません。
最近、「飲み込んだかもしれない!」という相談を、私も何件か経験しましたが、幸い大事には至りませんでした。ただ、今後増えていきそうな事故であり、重い症状に至るお子さんも出てくるかもしれません。
スマホに関しては、小さな子どもに渡してひとりで触れさせない、フィルムは割れにくいものを選ぶなど対策が必要だと思います。

緊急性の高い「ボタン電池」

子どもの誤飲で危険なものとして「ボタン電池」があります。
ボタン電池は誤飲することによって、消化管に穴をあけてしまうため、緊急性の高いものです。
内視鏡による処置や場合により手術治療が必要となり、診ることができる施設は一部の総合病院に限られます。飲んだ(飲んだかもしれない)場合はすぐに受診をしてください。
ボタン電池は子どもが簡単に開封できない商品を選ぶことを心がけ、子どもの手の届かないところに保管しましょう。また、使い終わったら各自治体のルールに則り、早めに廃棄してください。

誤飲したかも!受診するときの注意点

「誤飲したかも!」というとき、受診する際には、誤飲したかもしれないものをできる限り持っていってください。
何を飲み込んだか、どのような大きさや形のものを飲み込んだかは、その後の経過観察・治療の方針を決めるのに大切です。
そのものがなければ簡単な原寸大の絵をかいておくと参考になります。化粧品や洗剤なども容器を持っていきましょう。成分に何が用いられているかの情報も重要です。
また案外、「飲み込んだかもしれない」と受診してみたら飲み込んだ形跡はなく、家に帰ったら、別の場所にあったということもあります。
「もしかして」と動揺している時には、近くに転がっていても見逃してしまうのかもしれません。まずは深呼吸して、「どこかに落ちてないかな」と一度探してみてください。
飲み込んだかどうかはっきりしないときはまずは医療機関に相談しましょう。ボタン電池のように重い症状が出る緊急性の高いものについては、「かもしれない」の段階でも慎重に経過を見る必要があります。

日々の生活で心がけたいこと

タバコにおもちゃの部品、コインなど、子どもはいろんなものを飲み込んで病院にやってきます。
それはほんの一瞬の出来事で、「親が注意して見ている」だけで防ぐのは難しいと、親としても小児科の立場でも感じます。
もちろん日々注意して、子どもの様子を見ることは大切ですが、「小さなものを手の届くところに置かない」「フタなどを簡単に開けられないようにする」など、そもそも事故が起こりにくい状態にすることがとても大切だと思います。それを意識して、一度身のまわりを見直してみてください。

ライター

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&あんふぁん編集部 &あんふぁん編集部

「子育ての迷いに、頼れるコンパスを。」子育て中のママ・パパの気持ちを楽にする記事を発信中。未就学児〜小学生を子育て中の現役ママ・パパも多い編集部です。

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