男の子のデリケートゾーンケアってどうするの?助産師が教える“おうち性教育”【幼児期男の子編】
“おうち性教育”という言葉を知っていますか?おうち性教育とは、お子さんがまだ幼い頃から積極的に性に関する教育に取り組むこと。幼少期から性教育に触れることで、子どもたちが自らの心と身体を守る術(すべ)を身につけることに役立ちます。
助産師の石嶺みきさんによるおうち性教育のコラム、今回のテーマは「幼児期の男の子」のオムケア(男の子のデリケートゾーンケア)について、紹介します。
こんにちは。助産師の石嶺みきです。私は助産師として勤務していた約10年間に、5400人の乳幼児健診・保健指導に従事してきました。その際、子育て中のママさん達から「男の子のおちんちんって、どうやって洗えばいいの?」という質問をよく頂きました。子どもたちと一緒にお風呂に入っている時、「女の子のお股は丁寧に洗うけど、男の子のは何となくで済ませてしまっています」といったご相談が多かった印象です。
親が知っておきたい、男の子のおちんちんのこと
生まれたての男の子の赤ちゃんは、ほぼ100%「真性包茎」といって、おちんちんの皮(包皮)を根元まで引き下ろそうとしても、おちんちんの頭(亀頭)がまったく見えない状態です。しかし年齢が上がるにつれて、徐々に亀頭の見える範囲が広がっていき、思春期以降になるとほとんどの子(90%以上)が、自然に亀頭を露出することができるようになります。
【幼児期の男の子のおちんちんケアのポイント】
・包皮を無理のないところまで引き下げる(無理に剥こうとしない)
・弱酸性の泡石鹸で優しく洗う
・熱すぎないお湯やシャワーで洗い流す
・引き下げた包皮は必ず元に戻す(ここが大事です!)
ここが気になる!幼児期の男の子のおちんちんの悩み
ママさん達から寄せられる、幼児期の男の子のおちんちんの悩みで多いのは、おちんちんの洗い方のほかに想像していたものとの形の違いや、わが子がすぐに自分のおちんちんに手を持っていってしまう癖などについてです。
想像していたものとの形の違い
おちんちんの向きに関しては、それぞれが落ち着く定位置があります。排尿時にトラブルがなければ、まずは心配ありません。おちんちんの大きさに関しても、多くの場合は個人差の範疇ですが、まれにマイクロぺニスや埋没陰茎などの疾患が隠れていることがあります。気になる場合は小児科や小児泌尿器科に相談しましょう。
すぐに自分のおちんちんに手を持っていってしまう癖 がある場合
自分の体に付いているおちんちんを発見し、面白がって触って遊んでいる場合や、おちんちんに触れることでリラックス効果が得られる場合もあるようです。頭ごなしに「触っちゃダメ!」と叱るのではなく、「大切な場所だから人前では触らないよ」、「汚れた手で触るとバイ菌がくっつくから、綺麗な手で触ろうね」と伝えましょう。
ただし、頻繁にいじっている場合には、病気やケガのサインである可能性もあるため、ママやパパがチェックしてあげて下さいね。
赤くなっている・腫れている
時には「おちんちんが赤くなっている」や「おちんちんが腫れている」といった相談も受けます。これらの多くは亀頭包皮炎によるもので、もともと生理的に不衛生になりやすい包茎といった環境下に、汚い手でおちんちんをいじっていてバイ菌(細菌)が入ってしまったことが原因で起こります。
しかし、中には今から20年前までは当たり前のように指導されていた「むきむき体操」を、ネットなどでママやパパがわが子のためにといろいろ検索して良かれと思って自己流で行った結果、陰茎裂傷や嵌頓包茎などを来してしまっている場合などがあります。「あれ?出血…?」、「痛がっている?」、「むくんでいる?」などトラブルが起こっていることが意外に多く、この体操に関しては現在ではあまり積極的には推奨されていません。
おうち性教育で、自分を大切にすることや自立心を育もう
2歳頃になると、子どもたちの心に「自立心」が芽生えてきます。自分という意識が強くなり、自分で何でもやりたがる、したいことや好きなことがはっきりしてくる時期です。この時期からおうち性教育の一環として、おちんちんの扱い方や洗い方を知り、子どもが自分の身体を清潔に保てるようになることは、自分を大切にすることや自立心を育むことにつながります。
次回は、「幼児期の女の子」のためのおうち性教育について、お伝えします
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子どもの健康・発達
助産師・看護師・栄養士 石嶺みき
助産師、看護師、栄養士。ミキズハウス助産院院長。株式会社FM BIRD所属。不妊治療中に献身的に励ましてくれた助産師に強い憧れを抱き、出産後に看護学校に進学。助産師専攻科を経て助産師資格を取得。卒業後は大学病院産婦人科外来・病棟に勤務し多くの出産に立ち会う。
その後、保健センター勤務に転じ、産後のメンタルサポートや妊娠SOS相談窓口、新生児訪問、乳幼児健康診査なども行う中で、フェムケア教育の普及活動を思い立ち独立。一般の方だけでなく、看護学校の教員や助産師、看護師などを対象とした講習会などを開講。現在は“全ての世代に、泌尿生殖器ケアを通して幸せになってもらいたい”という信念のもと、「フェムケア」「おちんちんケア(オムケア)」「思春期性教育」をはじめとする講演を広く行うなど、積極的に活動中。
今年4月出版「ぞうちんとぱんつのくに」原作・監修(KADOKAWA)