小4娘の感情の起伏の激しさに驚いています。思春期なのでしょうか…

小4娘の感情の起伏の激しさに驚いています。思春期なのでしょうか…

Q 急に不機嫌になったり、甘えたりする小4の娘。思春期なのでしょうか…

小4の女の子の母です。最近、娘の感情の起伏の激しさに驚いています。ひさしぶりに育児書を読みかえしました。思春期に差しかかっているのですね。中2くらいから始まるものと思っていたので、4年ほど早くてびっくりしています。「ママ~!」と甘えてくる時もあれば、急に不機嫌モードになる時も…。戸惑いながらも、今はまだ面白がっていられますが、今後どう気をつけたらよいでしょうか? 母親の私ですらとまどっているので、父親である夫はどうなるか、ぶつからないか、今から心配しています
(ようこ)

A 感情を抑える方法をきちんと教えてあげましょう

今の子ども達・親は「思春期だからイライラするのも仕方がない」と達観したようなことをいいますが、気をつけなくてはいけないことがあります。思春期のイライラは、身体の成長に心の成長がついていかなかったり、心の成長に身体の成長がついていかないから起こります。第二次性徴期、つまり思春期は心の成長の時間でもあるので、ホルモンバランスの崩れと相まって心が不安定になることがたびたび見られるのです。

ですから「イライラしているのだな!」と思春期の特徴としてとらえることは必要だとは思います。しかし、なんでもそれで片づけてしまうと、子どもの言葉がますます過激になったり、親のいうことをまったく聞かない子どもになってしまうこともあります。

特に女の子の場合、「くさい」とか、「そばに来ないで!」といった形で、父親に罵声を浴びせることがよくあります。父親は女の子にとっては一番身近なモデリングとなる異性です。小さい時は「パパのお嫁さんになる!」なんていっていた娘が、突然そんな罵声を浴びせるものですから、父親はとまどうばかりです。

叱るときは思いっきり叱り、遊ぶ時は思いっきり遊ぶ、これがよくある父親像かもしれません。でも、たいていの父親は娘との関係を適切に結ぶことが得意ではありません。そんな時には、ぜひ母親がフォローしてほしいと思います。大事なことは、お父さんとしっかり話し合い、娘との関係をうまく取りもってほしいと思うのです。「年頃の娘と過剰なスキンシップを取るのはダメ!」ということも教えてあげてください。

また、母親に対して感情をストレートにぶつけてくることもあります。それが母親の人格を否定するような言葉だった場合には、少し落ち着いたのを見計らって「そういういい方は、お母さんはイヤだ」と伝えることです。いくらイライラしていても、いってはいけない言葉があるはずです。そうした時はきちんと対応をすることです。そのような対応を積み重ねていくことで、思春期での豊かな心の成長が保障されるのです。

心の成長には、ぶれない軸をもった親の対応が必要

思春期の終わり頃にはホルモンバランスが落ち着き、心の成長もある程度まで進むことによって、それらの症状は自然と解消されることが多いですが、その心の成長にきちんとした肥料をあげることが大切です。

時には、面と向かっていい合いになってもいいのです。人間として許してはいけないことは、断固とした態度で接するべきです。そこが「思春期だから…」と揺らいだり、あいまいになってはいけません。なぜなら心の軸がずれてしまうからです。

思春期の子どもは、「どのように成長していったらいいか」迷う時期です。その時に、しっかりした人間としての軸を創ってあげることで、その軸を中心に子どもの心は成長していくのです。

竹はたくさんの節をもっていますよね。その節を中心として伸びていくのです。その節にあたるのが、親の子育てに対する揺れない軸なのです。

思春期の子どもは、親に対してたくさんの試し行動をします。それに対して、きちんと話し合い、親の気持ちを伝えることが必要です。この時のコツは2つあります。ひとつは「聞き手モード」で子どもの話を聞くことです。「聞き手モード」で聞くとは、相手のいっていることをまずは受け入れることをいいます。「でもね!」といい返したくなる場合は「話し手モード」で聞いているのです。

もうひとつは感情言語で話すことです。子どもは「〇〇しなさい!」といった命令言語で囲まれています。そうした他者の価値観ではなく、自分なりの価値観を創っていこうとするのが、思春期なのです。すでにいいましたが「そういういい方はイヤだ」という親の気持ちをきちんと伝えていくということです。

子どもによって思春期の現れ方はさまざまです。一人ひとりの子ども合った対応を考えていくことで親も成長していくのです。

 
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プロフィール

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大学教授

増田修治先生

白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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