小2ですが、甘えん坊で困っています。どう対応すれば?

小2ですが、甘えん坊で困っています。どう対応すれば?

Q 小2の息子の甘えぶりがすごく、妹と私の取り合いをします。このままで良いでしょうか?

小2息子の甘えぶりがすごいです。「ママ、ギュー!」と1日1回は言ってきます。年少の妹と、ママの取り合いの毎日です。宿題も一人ではできず、私が隣に座っていないとダメ。妹の相手を優先させると、ギャーギャー言って泣く時もあります。妹よりも赤ちゃんみたいなことがあります。このままで大丈夫なのか不安です。(にゃんこ姉)

A 子どもはもともと甘えん坊。「愛着障害」とキーパーソンの関係性を考えましょう!

子どもは、もともと甘えん坊です。考えてみて下さい。赤ちゃんは、人の力を借りなくては生きていけない存在です。人間は、お互いに依存し合うことで生きていけるのです。つまり、本能として人に甘えることを知っているとも言えるのです。

そんな元来甘えん坊の人間が、少しずつ「頼り頼られ」という経験をすることによって、甘えていないように見えてくるだけなのです。甘えつつ自立していくのが、人間の成長の本質なのだと思うのです。
「愛着障害」という言葉を聞いたことがありませんか。「愛着障害」と聞くと、愛情が不足していると思っている人が多いように感じます。だから、保育園・幼稚園・小学校などで、「もっとお母さんが子どもと接する時間を持つようにしてください」を言われることが多いのです。

しかし、実際には「愛着障害」とは、一対一の愛着関係が持てない「関係性の障害」なのです。その子の特性、特徴と親との相性の問題があるのです。「一対多」「多対多」ではダメなのです。ですから、母親でなくてもいいのです。父親でもいいし、お兄ちゃんやお姉ちゃん、近所の人や親戚のお兄ちゃんやお姉ちゃんでもいいのです。その子にとっての「キーパーソン(その子を一番知っている人)」を探し出すことです。
そして、何かあったら、そのキーパーソンにつなぎ、「どうしたいのか?」などをていねいに聞いてもらったり、対応してもらうことです。そうしたキーパーソンとの一対一の関係性が持てるようになることで、「愛着障害」は徐々に改善していくのです。

この相談のケースでは、お母さんがキーパーソンのようです。だからこそ、お子さんは妹とお母さんの取り合いをしながら、一対一の関係性構築の練習をしているのだと考える必要があります。ただし、何でも母親が背負ってしまってはダメです。子育ては、母親だけでするものではないのですから。

いっぱい甘えさせれば、自然と離れていくものです!

お子さんは、今は「愛着関係」を作ろうと頑張っている最中なのだと思います。ですから、いっぱい甘えさせて下さい。妹と取り合いをしているのなら、それぞれと関係を作る努力をしてみてほしいと思います。
子どもの心の中には、愛情をため込む容器があります。その容器に、愛情がたまっていけば、子どもは満足して、少しずつ自立していくのです。

ただし、容器の底に穴が開いたりしていたら、愛情はたまっていきません。体罰はダメですが、悪いことをしたらきちんと叱っていいのです。ただし、「これが愛情なんだよ」ということを伝えていくようにしていくことです。そうした積み重ねで、容器が形成され、愛情が容器にたまっていくのです。

今は、いっぱい甘えさせて下さいね。イヤでも離れていきますから。それと同時に、父親や他の人とも愛着関係が持てるように工夫していくようにして下さいね。

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大学教授

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大学教授

増田修治先生

白梅学園大学子ども学部子ども学科教授。
1980年、埼玉大学教育学部を卒業後、埼玉県の小学校教諭として28年間勤務。
若手の小学校教諭を集めた「教育実践研究会」の実施や、小学校教諭を対象とした研修の講師なども務めている。
「笑う子育て実例集」(カンゼン)、「『ホンネ』が響き合う教室」(ミネルヴァ書房)など、著書多数。

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