その叱り方はキケン!避けるべきやり方と心に響くポイント8つ
子育てをしていれば、日々子どもを叱る場面が訪れます。しかし子どもを叱る方法は意外と難しく、親が間違えてしまうこともしばしば。自分が叱られたように子どもを叱っても、ちっとも子どもに響かないこともあります。
今回は心理カウンセラーの立場から、子どもに響く叱り方の8つのポイントを紹介します。絶対的な正解を見つけるというよりも、避けたほうがよい方法、効果のない方法をしっかりと把握し、スムーズな育児に役立ててください。
1.声は小さめ、低音でゆっくりと話す
叱るとき非常に大切なのが、実は「声」です。子どもはまず親の雰囲気で、自分がしたことが「親が喜んでくれることではない」「まずいことだった」と悟ります。自分が小さいときは大声でさんざん怒鳴られた、という親も多いはず! しかし実は、大声の早口で怒鳴られても子どもは怯えるだけで、何がいけなかったのかしっかり理解することができません。理解できないので、次に同じことを繰り返しがちです。
子どもに響く叱り方をするなら、声は子どもを怯えさせないよう、決して大声を出さないこと。さらに深刻さを伝えるため普段の声のトーンよりも低めに話すのが効果的でしょう。
2.厳しい顔つきで、目を見る、見させる
これも子どもに「今、叱られているんだよ!」ということを伝える方法のひとつです。叱るとき、親の表情は自然と厳しいものになるためあまり意識する必要はありませんが、なんとなく怒ってしまっているという人は厳しい表情を意識してみてください。
まず親は、子どもの目をしっかりと見ましょう。子どもは大体、厳しい表情の親を見て目をそらしますので、「目を見なさい」と言って可能な限りこちらを見させましょう。泣いている幼児などは親の目を見られないこともありますが、できるだけ親は子どもの目を見て話すようにします。
3.すぐその場で叱る
外出先で子どもが何かしてしまったときなど、「家に帰ったら叱ろう」と思っていませんか? 実はこれ、どんなに叱っても子どもに効果がなく、おすすめできない方法です。子どもの時間の流れはとても早く、時間が経過してしまうと、子どもは「自分が何をしたか」をすっかり忘れてしまいます。親が「さっき〇〇したでしょ」と言っても、そもそもあまり意識しないで行動した結果がほとんどですから、何を言われているか子どもが理解できないこともよくあります。
人目が気になる、時間がないからなどの理由で叱るのを後回しにせず、その場ですぐ叱ることを心がけましょう。
4.「〇〇をしてはいけない」叱る理由を明確にする
子どもに理解させるべきは、何よりも「今、なぜ叱られているのか」ということです。親がやりがちなのが「なぜ〇〇したの?」という疑問形での叱り方ですが、子どもはこれを叱られているとは受け取りません。最初から理由がない行動であることも多いのですから、この会話は、よくわからないことを親から訊ねられているだけになってしまいます。子どもには「〇〇をしてはいけません」という形で、なぜ今叱られているのかを明確に理解させましょう。
5.「なぜいけないか」いけない理由を明確にする
何かをしてはいけないとき、その背景には「いけない理由」が存在します。子どもにはまだ難しいかもと思ったとしても、「なぜいけないか」をできるだけ分かりやすく子どもに説明しましょう。それをしたら他の人が困るのか、ケガをするのか、人道的にいけないことなのか、もし自分がされたら?という観点からの解説もおすすめです。
6.「怒ってるよ」「悲しいよ」などは叱る人ベースで
時々、叱るときに「店員さんに怒られるよ!」「鬼が来るよ!」といった形で、第三者に「怒り役」を担わせる親がいますが、これはNGです。これが繰り返されると、子どもは第三者の目線を強く意識するようになり、やがて自己評価よりも他人からの評価を気にして生きる人間に成長するためです。生きるにあたって自分の基準をもつことができず、他人軸で生きるようになる可能性が考えられます。
叱るときは、叱っている本人が主体となって叱りましょう。他の誰かを登場させる必要はありません。「ママは、あなたが〇〇をしたから怒っている」「大事なあなたが〇〇をするなんて、ママは悲しい」といった形での叱り方でよいのです。
7.「〇〇はダメ」ではなく「〇〇しよう」とプラスの言葉で
実は、それほど強く叱るまでもないことで叱られている子どもがたくさんいます。例えば、スーパーで走ってしまった子どもに「走らない!騒がない!」と怒鳴ることは簡単です。しかしそれよりも「近くにいてね」「歩こうね」と指導をしたほうが、子どもはスーパーでの過ごし方をよく理解します。家での生活におけるちょっとした指導も、マイナス言葉で叱るのではなく、プラス言葉で言い聞かせると効果的です。
8.人格否定は絶対NG!
叱るにあたって、つい余計なことを言っていませんか? 特に子どもの人格を否定する言葉には気をつけたいものです。人格否定をする言葉とは「こんなこともできないなんて、おまえは〇〇だ!」など、子どもの性質に関わる否定の言葉。叱る対象はあくまでも子どもがやったこと、行動であって、子どもの人格ではありません。
子どもの人格を否定することは、親にとって自分自身を否定するブーメランでもあります。親子双方を傷つける言葉は使わないようにしましょう。
大前提!子どもは何百回も同じことを言わせるもの
叱ったときに、どんなに「次はやらない」と約束させたとしても、子どもはたいてい同じことを何百回も言わせるものです。またどんなにマイナス言葉を避けて、プラス言葉で指導したとしても、子どもがすぐに、そのとおりにできるようになるはずはありません。毎日のように同じことを言わなければならないことも多いでしょう。
でもそれは、ごく自然なこと。子どもが悪いのも、親が悪いのでもありません。大切なのはすぐに効果を出すことではなく、子どもが受け入れられるように叱り続けることです。「子どもとは何度も同じことを言わせるものだ」と受け入れることも、落ち着いて冷静に叱るための心構えのひとつになりますよ。