子どもがのびのび育つ!家庭の「心理的安全性」を高めよう

企業における成長戦略のひとつ「心理的安全性」を知っていますか? 現時点では、ビジネス用語の側面が強く、初めて聞いた人もいるかもしれません。実は今、この「心理的安全性」は、子育ての現場でも注目されつつあります。
今回は心理カウンセラーの立場から「心理的安全性」がどういうものなのか、そして子育てへの活かし方について解説します。

心理的安全性とは?

心理的安全性とは、「psychological safety(サイコロジカル・セーフティ)」という心理学用語を日本語に翻訳した言葉で、「その場において、自分以外の誰かに、自分の気持ちや考えを安心して話せる状態」のことを指しています。
1999年、組織行動学の研究者である、米・ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授によって提唱されました。
その後、Googleが「チームがよいパフォーマンスを出すには、どのような条件があるのか」という研究をした時に、最大限のチームパフォーマンスに必要不可欠なものとして「心理的安全性」を挙げたため、ビジネス業界で注目されるようになりました。
企業における心理的安全性は、例えば、入社1年目であっても上司に対して「私はこの仕事に対して、こういうアイデアがあります」と遠慮なく話せるような状態です。新しい挑戦で成績が伸びたり、ミスが減ったりと、心理的安全性がある職場はより高い成果を出せると考えられます。

家庭をひとつのチームとして考える
一方、家庭において心理的安全性を考えるときは、まず家庭をひとつのチームとして捉えなければなりません。そのうえで、子どもが何らかのチャレンジをしたり、自分自身のアイデアや気持ちを安心して口にできているならば、心理的安全性が確保できているといえるでしょう。

心理的安全性のある家庭で育つ子どもの特徴

心理的安全性の効果を知るために、心理的安全性のある家庭で育つ子どもの特徴を簡単に紹介します。心理的安全性が確保されていると、子どもはのびのびと育つため、以下のような特徴が出やすくなります。

友達とトラブルになりにくい、なっても立ち直りやすい
親に反抗はするけれど、悪質ではない
親にウソをつかない
学習(幼児教育や、小学校の勉強)を拒絶しない
他人に対して思いやりがもてる

家庭で心理的安全性が保たれていると、親やきょうだいに自分のアイデンティティが脅かされることがなく、自分の意見を表明することができるようになります。自分の考えを述べてもよいのだという信念をもつことは、自尊心を高めることに繋がります。その結果、人との距離感がつかめるようになり対人トラブルが減ったり、その影響で学校が楽しくなる、学習が苦でなくなるといった好ましい効果を生み出します。

家庭での心理的安全性はどう作る?

それでは、家庭ではどのようにして心理的安全性を作ることができるのでしょうか。その方法を解説します。

  • 頭ごなしの否定をせず話をよく聞く

子どもは大人に比べてものを知らないため、的外れなことを言ったり、間違えたりします。すると親は正しいことを伝えたいと考え、子どもの言うことを頭ごなしに否定してしまいがち。「子どものくせにえらそうなことを言うな」と考える親もいるでしょう。
しかし子ども自身はいたって真剣です。自分の考えや意見を否定されることで徐々に自尊心を削られてしまいます。一見、面倒に感じられるかもしれませんが、目の前の子どもの主張をしっかり聞いてあげることで自尊心が育まれ、自分の考えをしっかりもった人間に成長します。

  • 恐怖感を与えず落ち着いて話す

子育てをしていれば、子どもを叱らなければならないシーンによく遭遇します。そんなとき、怒鳴ったり、大きな音を立てたりして、恐怖感を与えるのはマイナスです。このようにして脅かされると、子どもは「何か失敗したら、怖いことをされる」と認識します。すると、自分がどうしたいか、どう考えるかということよりも、親が怒らない方法に従って行動するようになります。失敗して怒られたときも恐怖感が先立って、話を十分に聞けないため、納得することができません。
子どもを叱る時、注意する時には、静かに、落ち着いて話してあげることで理解させる必要があります。なぜダメで、次はどうしたらいいかをゆっくり教えると、子どもも安心してそれを受け入れられるため、教えたことを飲み込むのが早くなるでしょう。

  • お説教や親子ゲンカは長引かせない

子どもとのやりとりのなかで、子どもを叱り、親子ゲンカになってしまうこともありますよね。そんな時、叱る時とそうでない時のメリハリをつけるよう注意してください。子どもが謝っても一日中機嫌が悪いままで過ごす、次の日も子どもと口をきかないというようなことはありませんか? 子どもが幼いうちからこうしたことが続くと、子どもは親のことが信頼できなくなっていきます。
子どもとケンカになってしまった時は、子どもが反省した時点で、しっかりと仲直りしましょう。「じゃあ、怒るのはもうこれでおわりね」「これで仲直りね」と口に出して宣言するのもおすすめです。

親がイライラしないことが家庭の心理的安全性につながる

親だって、忙しい時や、物事がスムーズに進まない時、子どもが言うことをきかない時など、イライラしてしまうことはあります。しかし自分がイライラすることによって、ますます子どもが不安定になることを考えれば、まずは自分のイライラを収め、子どもに対する接し方を安定させることが優先です。
何でもしっかりやろう、子どもにもしっかりさせようと思うと、イライラが激しくなってしまうため、すべてを完璧にしようとしないことも大切です。今できないことがあっても、子どもの成長にともなってできるようになることも多いはずと自分も子どもも長い目で見ていくようにしましょう。親がイライラしないことが家庭の心理的安全性を作り出す第一歩だと思います。

この記事を書いたライター

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あん茉莉安さん

占い師、心理カウンセラー、ヒーラー。図書館司書、司書教諭の資格も持つ、中学1年生と小学4年生の女の子を育てるシングルマザーです。興味の対象は本業のスピリチュアルから、音楽、健康、ダイエットまで。育児の指標は「お金で買えないものを子どもに残す」。現在子ども達とは、通信教育の英語学習を前進させるべく奮闘中。

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