習い事の始め時とやめ時 どうする?子どもが習い事を「やめたい」と言ったら?
読者アンケート(※)では、7割近くの人が「子どもが習い事をしている」と回答。
「どんなきっかけで始めるといいの?」
「子どもがやめたがったらどう声掛けしたらいいの?」
といった読者の疑問に、専門家からアドバイスをもらいました。
※2024年10月9日~ 11月5日にあんふぁん読者にWebアンケートを実施、有効回答数1791
【お話を聞いたのは】 教育評論家 親野智可等さん
長年の教師経験を生かして、子どもの幸せのためにラクに楽しく子育てをする「親力」を講演活動やSNSで伝えている。著書に「ずるい育て」(ダイヤモンド社)ほか。
習い事の始め時は 親ではなく子どもが主体
習い事のスタートのタイミングは、親が選んで「やらせる」のではなく、子ども自身が「楽しんでやる」ことが大前提。子どもは好きなことに夢中になっていると脳の血流が良くなり、情報伝達の役割を担うシナプスが多く作られ、脳が育つといわれています。反対に、イヤなことを無理にやらされる状態は、脳が委縮してしまう可能性も。「つらくても続けていれば忍耐力や根性がつく」という説もありましたが、今は弊害の方が大きいと考えられています。
子どもの好きを見つけて よく観察することが大事
子どもが好きなことを見つけるには、親が子どもをよく観察することが重要です。音楽に合わせて体を動かすのが好きなら、ダンス教室に行かせてみるとか、絵を描くのが好きなら、絵画教室に行かせてみるとか、その子の好きな方向性をいろいろ探って大事にしてあげましょう。身近に触れる機会が少ない語学や楽器・スポーツなど、好きかどうか分からない分野は、まずはお試しで子どもの様子を見てみましょう。子どもが興味を持ちそうな情報を集めるのは、親の役目です。
【読者アンケートより】習い事を始めて良かったこと・悩んでいること
- スイミング/目標に向けて自主練習をするなど、努力を積み重ねるいい経験になっています。(東京都 年長のママ)
- ピアノ、バレエ、実験教室/親が勧めたり誘導したりするのではなく、本人がやりたいと言い出すまで待った結果、楽しく続けています。(東京都 3歳〜 5歳児クラスのママ)
- 料理/料理男子にしたい親の思いと、料理をしたい子どもの気持ちが合致。休みの日のランチは息子が作ってくれて、助かっています。(福岡県 年長のママ)
- スイミング、サッカー、 英語、ダンス/「やりたい」と言うことを片っ端からやらせていますが、思い付きなのか本心なのかを知りたい。忙し過ぎるのも気になります。(東京都 年中の ママ)
子どもが「やめたい」と言ったとき、どうする?
読者アンケートでは、約3割の人が「子どもが習い事をやめたいと言い出したことがある」と回答。
子どもが「やめたい」と言ったときの声掛け方法を専門家に聞きました。
【Q】スイミングもピアノも自分から「やりたい」と言って始めたのに、1カ月で「やめたい」と言い出しました。すぐにやめさせると“やめ癖”がつきそうで、せめて半年は続けようと説得しています。(年長のママ)
【A】「やめ癖」なんて迷信。まずは共感して話を聞いて
「やめ癖がつく」などというのは迷信です。10回やめても11回目に好きなことが見つかればいいのですから。どうしてもイヤなこと、やりたくないことは無理にやらせなくてもOK。ただ、子どもの「やめたい」理由はさまざま。まずは共感しながら子どもの話を聞き、「なぜやめたいのか」を子どもと一緒に紙に書き出して可視化すると整理されやすいです。理由によっては、教室を変えたり一時休会したりすることで続けられることもありますよ。(親野さん)
データで見る みんなの習い事事情(n=1204 )
習い事の数は約4割が「1つ」、約3割が「2つ」で、体操とスイミングが人気を二分。体操は幼稚園や保育園の課外で実施している教室も多いようです。ダンスや通信教育、リトミック、書き方・習字も一定数あり、珍しい習い事としては、ドイツ生まれのボール遊び教室「バルシューレ」があがりました。
「1万~1万5000円未満」が最多という結果に。読者からの悩みには「月謝が負担になる」という声もありました。「お金のかかる習い事をいきなり始めるのではなく、自治体の無料講座なども上手に利用しましょう」(親野さん)
【親野さんからの一言】ご褒美で釣るのはNG
習い事へ行き渋る子に「行ったらお菓子を買ってあげる」などと、ご褒美で釣るのは原則NG。ご褒美が目的になってしまっては本末転倒です。「やめたい」という子に期限や条件を設けることも、親の自己満足のためであれば、おすすめしません。子どもの様子をよく観察して、子ども自身が夢中になって楽しめることを見つけてあげてほしいですね。