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その一言で表情が変わった。出産後、母親にかけられた「忘れられない医師の言葉」

その一言で表情が変わった。出産後、母親にかけられた「忘れられない医師の言葉」

「正常分娩」「異常分娩」という言葉が見直されることになりました。2026年10月20日、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は、妊産婦や家族への説明などでこれらの表現を原則として使わず、実際の分娩方法や処置を具体的に伝えるよう求める留意点を公表しました。その背景には、言葉が出産を経験した人の心理的な負担や傷つきにつながる可能性への配慮もあります。このニュースを知って、私には忘れられない光景がよみがえりました。

「とてもがんばりましたね。安産でしたね」

学生時代の実習で初めて分娩に立ち会い、その後、助産師として働くようになってからも、さまざまなお産に関わってきました。そのなかでも、学生時代に出会った忘れられないお産があります。そのお母さんにとって初めての出産だったと記憶しています。お産の経過は決して順調とはいえず、緊張感のある時間が続いていました。そして、無事に出産を終えたあと、医師がお母さんにこう声をかけたのです。「とてもがんばりましたね。安産でしたね」その言葉を聞いたとき、お母さんの表情がふっと和らいだように見えました。それまでの大変だった時間をねぎらい、無事に出産を終えたことを一緒に喜んでいるような言葉。その一言で表情が変わったことが、今でも強く印象に残っています。

出産に「正常」も「異常」もあるのだろうか

妊娠や出産は病気ではない、と言われることがあります。けれど、出産の現場では母親と赤ちゃんの状態が刻々と変化します。そのときの状況に応じて、帝王切開や吸引分娩などの医療的な処置が必要になることもあります。それは母子の安全を守るために選ばれる医療的な判断です。

今回の見直しでは、妊産婦や家族への説明において「正常分娩」「異常分娩」という大きなくくりを避け、経腟分娩、帝王切開、吸引分娩など、実際に行った方法や処置を具体的に伝えることが推奨されています。また、経腟分娩を「自然分娩」と呼ぶことも、ほかの出産方法が不自然であるかのように受け取られる可能性があるため、避けるよう求めています。すでに母子健康手帳では「正常」「異常」の区分は2023年4月からなくなっています。今回の見直しは、医療現場での説明や記録にも及ぶものです。

言葉ひとつで、受け取り方は変わる

「異常分娩」という言葉を聞いたとき、自分の出産は異常だったのだろうか、と感じてしまう人がいても不思議ではありません。どんな方法で出産したとしても、そこには一人ひとり違う経過があり、母子の安全を守るための判断があります。あの医師の言葉を、私は今でも覚えています。「とてもがんばりましたね。安産でしたね」その言葉がお母さんにどんなふうに届いたのか、本当の気持ちは本人にしか分かりません。それでも、あのとき表情が和らいだ光景は、私の心に残り続けています。

言葉は、ただ状況を説明するだけのものではありません。受け取る人の気持ちや、その経験の受け止め方にも影響することがあります。今回の見直しは、単なる言葉の変更ではなく、出産を経験したお母さんや、生まれてきた子どもにも目を向けたものだと感じました。

これからも、誰かの大切な経験を表す言葉が、その人の気持ちに寄り添うものであってほしいと思います。

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東京都

はっぴ

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マイペースで突き進む内弁慶な6歳の息子、アクティブなパパ、楽天家ママの3人家族です。笑いあり、涙ありの日常をお届けしたいです。

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