ママが気になる 子どもの姿勢 Q&A
ごはんを食べる時、絵本を読んでいる時など、「背中をピンとして!」と言っても、なかなか続かない…。
あんふぁん読者の約8割が気になっている「子どもの姿勢」。
その原因や対処法について、野井真吾さんに聞きました。
イラスト/杉浦さやか
Q.姿勢が悪くなる原因は?
A.姿勢の良し悪しにはいわゆる「体幹」が関わっていますが、運動をしているのに姿勢が悪い子も多く見られます。実は、脳の発達や生活習慣など、複合的な原因があるのです。
こんな姿勢は要注意
座っている時
- 背中が曲がっている
- 浅く座って背もたれに寄りかかる
- 頬づえを付く
- 筆記時に文字をのぞき込む
- 脚を投げ出す
- 足を組む
- 机の上に突っ伏す
立っている時
- 顎が出ている
- 首が前に出ている
- 背中が曲がっている
- おなかが出ている
- 手がももの前にある
- 膝が曲がっている
- 脚が曲がっている
原因1 背筋力の低下
人間が重力に逆らって姿勢を保つための筋力を「抗重力筋」といい、体を支える「体幹筋力」もその一つです。そのうち、腰からお尻にかけての力を「背筋力」と言います。小学校の体力・運動能力調査(スポーツテスト)の結果によると、年々背筋力が低下しています。今の子は昔よりも体が大きいにも関わらず、筋力が低下し続けていることも分かっています。
原因2 「元気の素」の不足
原因1で触れた「抗重力筋」をしっかり働かせるためには、体内の「セロトニン」が必要です。セロトニンは、抗重力筋に緊張を与えるのに必要なほか、イライラを抑えたり、緊張をほぐしたりする「元気の素」。セロトニンは太陽光を浴びると増えるため、日中にしっかり太陽光を浴びないと、セロトニンが不足して抗重力筋が十分に機能しません。
原因3 “そわそわ型”の脳
姿勢には脳の働きも影響しています。大脳の前頭葉はやる気や集中力、コミュニケーションなど人の心を司る部分で、「興奮」と「抑制」をコントロールしています。働き方によって下の5つのタイプに分けられ、最も幼い「そわそわ型」から、最終的に活発型に変化すると考えられています。ところが、最近その変化の速度が遅く、小学校に入学しても「そわそわ型」の子どもが増えています。そのため、集中力が続かずだらけたり、そわそわしてきちんと座れなくなったりするのです。
大脳前頭葉の5つのタイプ
● 不活発(そわそわ)型
興奮も抑制もともに十分育っていないタイプ(幼児タイプ)
● 興奮型
興奮も抑制もある程度の強さはあるが、興奮が優位なタイプ(子どもタイプ)
● 抑制型
興奮も抑制もある程度の強さはあるが、抑制が優位なタイプ(良い子タイプ)
● おっとり型
興奮と抑制の強さ・バランスはいいが、切り替えが苦手なタイプ(おっとりタイプ)
● 活発型
興奮と抑制の強さ・バランス・切り替えも上手なタイプ(大人タイプ)
便利な社会が姿勢にも影響している
長年、教育現場で子どもの〝心とからだ〞について調査してきた野井真吾さん。姿勢の悪さの背景には、社会が便利になったことも一因にあると言います。
「テレビゲームが登場して外で遊ばなくなったり、エレベーターやエスカレーターなどの移動手段が増えたり、社会が便利になった反面、日常的に体を動かすことが少なくなりました。その結果、身のこなし方が分からなくなり、〝からだのおかしさ〞を訴える子が増えています」
子どものころに身のこなしをつかむために大切なのが、「遊び」なのです。
「遊びは〝からだと心〞の素地を作ります。イヤイヤやらせるのはダメ。やる気を持つことが発達につながるので、子どもの興味があることを楽しみながらやることが大切ですね」