“アウトプット習慣”で子どもの「伝える力」を育てる!「別に」「普通」しか言わない子が変わる、親の関わり方

「今日どうだった?」と聞いても「別に」「普通」としか返ってこない…。そんな子どもの様子に悩んでいる保護者は多いのではないでしょうか。近年、子どもたちの“話す・書く・行動する力=アウトプット力”が注目されています。そこで今回は、『自分の思いを言葉にする こどもアウトプット図鑑』の著者で精神科医の樺沢紫苑先生にインタビュー。家庭でできる具体的な関わり方や、今の子どもたちに必要な力についてお聞きしました。

今の子どもたちに「アウトプット力」が必要な理由
――なぜ今、子どもたちに「アウトプット力」が必要なのでしょうか?
樺沢先生:アウトプット力とは、話す・書く・行動する力のことです。インプットだけでは脳はあまり活性化せず、アウトプットしてはじめて学びが定着します。
たとえば、授業を聞いたり本を読んだりするだけで終わるのではなく、「どう思ったか」を話したり書いたりすることで、理解が深まり、自分の力として身についていきます。最近は、動画やSNSなどでインプット中心の生活になりがちですし、外で遊ぶ機会や人と話す機会も減っています。意識してアウトプットしないと、その力は伸びにくい時代になっています。
だからこそ、日常の中で話す・書く・行動するといったアウトプットの機会を増やしていくことが大切です。そうした経験の積み重ねが、考える力や伝える力、コミュニケーション力を育てていきます。
「別に」「普通」としか言わない子への関わり方
――子どもに話を聞いても、「別に」「普通」としか返ってこない…どうすればいいのでしょうか?
これは多くの親御さんの悩みですね。まず大事なのは、「話す習慣」をつくることです。たとえば食事の時間に、「今日あったことを話す」という時間をつくるのがおすすめです。そのとき、子どもだけに話させるのではなく、大人も「今日はこんなことがあったよ」と話すことが大切です。家族みんなで話すことで、「話すのが当たり前」という状態をつくることができます。
――どのように声をかけると、子どもは話しやすくなるのでしょうか?
いきなり「どうだった?」と聞くと、子どもにとっては、答えにくい質問です。語彙力もまだ十分ではないので、「別に」「普通」で終わってしまいやすい傾向があります。
そこで、「楽しかった?」「○○はどうだった?」といったYES/NOで答えられる質問や、「AとBどっちがよかった?」という選択肢を出す質問がおすすめです。そうやって答えやすい形で引き出していくと、少しずつ具体的に話せるようになっていきます。
――親の関わり方で、気をつけることはありますか?
親の「質問力」はとても重要です。ただし、質問しすぎると子どもは負担に感じてしまうこともあります。また、子どもが自分から「なんで?」「どうして?」と聞いてきたときはチャンスです。好奇心が高まっている状態なので、そのタイミングを大切にしてあげてください。忙しくても受け止めることで、「話すことは楽しい」という経験につながっていきます。
書く・行動する力を伸ばすためのステップ
――書くことが苦手な子には、どのように関わるとよいのでしょうか?
アウトプット力を伸ばすためには、「書くこと」「行動すること」も大切です。家庭の中で少しずつ取り入れていくことがポイントになります。
まずは、いきなり書かせないことが大切です。文章を書くのが苦手な子は多いですが、話すことができれば、自然と書けるようになります。たとえば日記を書く場合でも、いきなり「書いてみて」と言うのではなく、「今日は何が楽しかった?」「どこがよかった?」と親が質問して、まず言葉にしてもらいます。そうやって言葉にした内容を、そのまま書いていくと、スムーズに書けるようになります。
日記も最初は1行でも大丈夫です。「楽しかった」で終わらせずに、「何が楽しかったのか」を少しだけ具体的にすることから始めると、無理なく続けられます。
――考えているのに行動できない子には、どう声をかけるとよいのでしょうか?
行動できないときは、目標が大きすぎて具体的な一歩が見えにくいことが多くあります。ですので、行動を小さく分けることがポイントです。たとえば「友だちをつくる」という目標でも、「まずは隣の子に話しかけてみる」など、小さなステップにすると行動しやすくなります。
そして大切なのは、結果ではなく「行動したこと」をしっかり認めてあげることです。たとえうまくいかなかったとしても、「話しかけられたね」「やってみたね」と声をかけることで、自信につながっていきます。
親が気をつけたい関わり方とNG行動
――つい先回りして教えてしまったり、失敗させないようにしてしまうことも多いですが、気をつけるべき関わり方はありますか?
親が先回りしすぎるのは、あまりよくありません。子どもにとって、失敗はとても大切な経験だからです。失敗したときに、「どうしてうまくいかなかったのか」を考えることで、はじめて成長につながります。逆に、失敗を避け続けていると、自分で考えて乗り越える力が育ちにくくなってしまいます。
小さいうちにたくさん失敗しておくことが大切です。大きくなってからの失敗よりも、小さな失敗を経験しておくほうが、その後の成長につながります。
――子どもへの声かけで、意識したいポイントはありますか?
どうしても「ダメだよ」といったネガティブな声かけが増えがちですが、それ以上にポジティブな声かけを意識することが大切です。
目安としては、ネガティブな声かけ1に対して、ポジティブな声かけを3つくらいするとバランスがとれると言われています。「できたね」「頑張ったね」といった声かけを増やしていくことで、子どもは安心して挑戦できるようになります。
――子どもの悩みへの向き合い方で大切なことはありますか?
子どもの悩みは、大人が思っている以上に多様です。「そんなことで悩んでいるの?」と思うようなことでも、子どもにとっては大切な問題です。
ですので、親の価値観だけで判断せずに、「そう感じているんだね」と一度受け止めてあげることが大切です。その積み重ねが、子どもが安心して話せる関係につながっていきます。
子どもの「やってみたい」を大切に、親ができる関わり方
今はスマホやゲームなど、子どもたちにとって刺激の強いものが多い時代です。だからこそ、それ以外に「楽しい」と思える体験を増やしていくことが大切です。
外で遊ぶことや、好きなことに夢中になる時間、人と話す経験などは、すべてアウトプットにつながっていきます。そうした体験の中で、子どもは自然と考え、行動し、成長していきます。
また、習い事なども、子どもが「やってみたい」と思うものを大切にしてあげてください。興味や好奇心に合ったことに取り組むことで、成功体験が増え、自信にもつながっていきます。
そして、スマホやゲームとの付き合い方については、家庭の中でルールを決めることも大切です。完璧に守れなくても、ルールがあることで使いすぎを防ぐことができます。
子どもが自分から「話す・書く・行動する」ようになるためには、日々の小さな積み重ねが何より重要です。無理にやらせるのではなく、「やってみたい」という気持ちを引き出しながら、温かく見守っていくことが大切です。
「自分の思いを言葉にする こどもアウトプット図鑑」(サンクチュアリ出版)

「友だちができない」「やる気が出ない」「どうして勉強するの?」など、子どもたちが抱えるリアルな悩みに対して、アウトプットの視点から具体的な解決法を紹介。
話す・書く・行動する力を伸ばすことで、子どもの自己肯定感やコミュニケーション力を育てるヒントが詰まっています。家庭で実践しやすい内容で、子育て中の保護者にもおすすめの一冊です。
著者:樺沢紫苑
監修者:精神科医さわ
定価:1650円
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企画・編集:&あんふぁん編集部、取材・文:やまさきけいこ



























