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別世界のノンフィクション、夏休み中の母におすすめしたい彬子女王の本

別世界のノンフィクション、夏休み中の母におすすめしたい彬子女王の本

わたしはいま、年長児の長女と、0歳の次女と一緒に40日超の夏休みを過ごしています。1日を自分の裁量でやりくりするのは楽しい反面、うまくいかないことも多々あり、気分の浮き沈みがいつも以上にある気がしていました。そんなときに、隣の人の雑談を小耳にはさむような気持ちで読める「まったく別世界のノンフィクション」が気晴らしに。煮詰まった母におすすめの1冊を紹介します。

「飼い犬に腹を噛まれる」

今回ご紹介するエッセイ集「飼い犬に腹を噛まれる」は、「赤と青のガウン」でも話題になった彬子女王の著作。2016年から2025年にかけて、「朝日新聞」と「京都新聞」に寄稿されたエッセイ47編を中心にまとめたものです。

ご本人の「おわりに」によると、その時々の「楽しい」「おもしろい」「うれしい」と思ったことが書き綴られています。雲の上の存在かと思いきや、想像以上に身に染みる言葉や視点がずらり。その中でも私にとって印象的だった内容を二つご紹介します。

「事件」という名の「小さな幸せ」

自らを事件体質と名乗る彬子女王。たしかにエッセイを読んでいると、くすっと笑えたり、「これはたしかに大ごと…」と心苦しく思ったり、庶民的な言葉をつかえばネタであふれている日常に思えます。その日常に対して「事件を見つけるのがうまい」と友人に指摘されたことを、「おわりに」で書いています。彬子女王と環境は違うけれども、2人の娘を育てているわたし自身も事件ばかりの毎日。それは子どもがいるからこそ気づかされる事件。そう思うと、日々感性が磨かれているような、前向きな気持ちを抱きました。

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「お金を包む」という文化

日本文化に精通し、特別教授としてもご活躍の彬子女王だからこそ、豆知識がたくさん詰め込まれています。印象に残ったもののひとつが「金一封」という3ページのエッセイです。約20年に1度行われる紙幣の改刷のために、工芸官が黙々と技を磨かれていることを目にした彬子女王。イギリスで暮らしたご経験と照らし合わせて、日本人の「お金を包む」という文化の特異性に触れられています。キャッシュレスが主流になりつつある今だからこそ、立ち止まりたい視点でした。普段口にする「お金を大切にしよう」とは少し違った、芸術作品としての「お金」の価値に気づかされました。

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さいごに

自分とはまったく違う世界の暮らしに舌を巻きつつ、読後はなんとなく自分の言葉遣いが上品になったような気がしました。ひとつひとつが短いお話なので、「ママお茶ちょうだい!」「ママ見て!」など予期せぬ中断にもストレスなく対応できます。別世界だからこそ気負うことなく読めて、目の前の出来事を、少し違った角度から眺める心の余裕を取り戻せる一冊。夏休みのおともに、いかがでしょうか。

フィクションかと思いきや「飼い犬に腹を噛まれる」点はノンフィクションでした。

この記事を書いた人

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千葉県

どんぐり子

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手狭賃貸の快適さと体力消費術を追い求めて早6年。四国、山陰、関東と現在3拠点目!
「あるもの暮らし」を心がけ、お金のかからない自然物や施設をこよなく愛しています。

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