その写真、AIに教えて大丈夫? 「物理的キッズモード」で守る子どもの個人情報

その写真、AIに教えて大丈夫? 「物理的キッズモード」で守る子どもの個人情報

情報を正しく読み取り、活用する力「メディアリテラシー」。さまざまなデジタルメディアが身近にある今、大人だけでなく、子どものうちから少しずつ育てていきたい力です。
このコラムでは日本メディアリテラシー協会代表理事の寺島絵里花さんが、「メディア」との上手な付き合い方について教えてくれます。今回のテーマは「AI活用で気をつけたい個人情報の扱い」についてです。

AIを活用するときに気をつけたい「プライバシー」のこと

AIとの付き合いに少し慣れてきたとき、最も注意したいのが「セキュリティ」と「プライバシー」です。AIは賢く、身近に使える存在になりつつありますが、私たちが入力した情報を「記憶」し、時にはそれを「学習」の材料とする場合があります。

今月は、親子で実践したい「自分たちを守る設定」と、デジタル時代に必要な境界線について考えます。

写真を取り込むときの「境界線」を意識する

例えば、子どもが自分の作品を自慢したくて送った写真の背景に、自宅の窓の外の景色や、制服の校章、習い事のかばんが写り込んでいませんか? AIに情報を送信することは、場合によっては不特定多数が閲覧できる掲示板に貼ることと、似たような行為であるという危機感を持つのが大切です。

キッズモード代わりの「安全設定」を親子で実践

現在、多くの主要なAIサービスには、ワンタップで完璧に子どもを保護する「キッズモード」は存在しません。だからこそ、保護者が自身の手で対策をとる必要があります。

1. 【大前提】そもそも13歳未満(小学生以下)は原則NG

まず知っておきたいのは、ChatGPTをはじめとする主要な生成AIサービスは、「13歳未満の利用を原則として禁止」しているという点です。13歳以上〜18歳未満であれば保護者の同意があれば使えますが、13歳未満の子どもが自分専用のアカウントを作って一人で自由に使うことはできません。 もし小学生以下のお子様が利用する場合は、必ず「保護者のアカウントを使い、親の目の届くところで一緒に楽しむ」ことを徹底してください。

2.「学習機能をオフ」にする(オプトアウト)

子どもと一緒にAIを使う際、最初に行ってほしいのが設定の変更です。例えばChatGPTの場合、設定画面に「データコントロール(Data Controls)」という項目があります。ここで「すべて人のためにモデルを改善する」というスイッチをオフにしてください。 これをオフにすることで、自分たちが入力したプライベートな内容や、宿題の文章などが、AIの将来的なトレーニングデータとして再利用(学習)されるのを防ぐことができます。

3.「アナログな目隠し」と「デジタルな加工」

宿題のわからない問題を写真で撮ってAIに質問するご家庭も増えていますが、写真には思わぬ個人情報が写り込むことがあります。最近のAIは非常に優秀で、「背景の映り込み」や「ノートの端の文字」までほとんど正確に読み取ってしまいます。 そのため、AIに写真を送る前には必ず次の2点をチェックしましょう。

  • 付せんで隠す:ノートやプリントにある名前欄や学校名は、物理的に付せんを貼ってから撮影する。
  • トリミング:スマホの編集機能で、必要な問題部分以外は写らないように周囲を切り取る。

このひと手間を、これからの時代を生きる子どもの「当たり前のマナー」として習慣化しましょう。

効果的な対策なのは 「リビング利用」

プライバシーを守る方法は上記のように様々ありますが、実践しやすく効果的なのは「リビング利用」という物理的なルールです。

「AIを使うときは必ずリビングで。親の目が届くところで画面を開く」。

子どもがAIを利用する上で効果的なプライバシー保護対策は、「親の目」です。子どもがAIと対話しているとき、隣で「あ、その写真、名前が写っているよ」「その質問、ちょっとプライベートすぎるかもね」と声をかけられる環境を作ること。また、外での活動が多くなるこれからの季節、写真を撮り、それを使ってAIを活用することもあるかもしれません。背景に写った近所の看板や公園の特徴から、自宅の場所が特定されるリスクについても、具体的に話し合うよい機会です。

まとめ:安全な距離感が「自由」を作る

AIを安全に使える知識があるからこそ、私たちはAIを自由に使いこなすことができます。

学習オフ設定を確認

設定画面の「オプトアウト」を今すぐチェックしましょう。

送信前の個人情報チェック

名前、場所、顔、所属。これらが写っていないか親子でダブルチェック。

最強の設定は「親子の会話」

リビングで一緒に使いながら、デジタル上のリスクをその場で学びましょう。

「便利」な側面の裏側にある様々な「危険」を親子で共有し、対策すること。それが、AI時代の新しい護身術になるのです。

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担当カテゴリー

ITデジタル

日本メディアリテラシー協会代表 寺島絵里花

一般社団法人日本メディアリテラシー協会 代表理事。高校時代に留学したカナダでメディアリテラシー教育に出合い、興味を持つ。上智大学文学部新聞学科卒業、ペンシルバニア大学留学。結婚、出産を経て、一般社団法人日本メディアリテラシー協会を立ち上げる。主な業務は、メディアリテラシー教育の普及を目的とする、保護者、教員、行政、民間企業などが対象のワークショップや研修、講演、出前授業など。
当協会立ち上げ後に東京学芸大学大学院教育支援協働実践開発専攻AI教育プログラム卒業。上海師範大学、北京師範大学での関連プログラム修了。2024年現在、JASSO 日本政府中国政府奨学金生(博士課程後期)として、華東師範大学大学院国際比較教育研究所所属。
メディアリテラシーに関する幅広い知見に加え、3児の子育てや日々の生活を発信するメールマガジンやブログが好評を博している。

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