子どもが見る動画をどう選ぶ? 「見る力・選ぶ力」を育む親のサポート

情報を正しく読み取り、活用する力「メディアリテラシー」。さまざまなデジタルメディアが身近にある今、大人だけでなく、子どものうちから少しずつ育てていきたい力です。
このコラムでは日本メディアリテラシー協会代表理事の寺島絵里花さんが、「メディア」との上手な付き合い方について教えてくれます。今回は「動画は何を見るか、どう見るか」について解説していただきます。
子どもにYouTubeを自由に選ばせていいの?
「子どもが自分で好きな動画を選ぶほうが、主体性が育つのでは?」「でも、親が制限しないと変な動画を見そうで不安……」。家庭で子どもが動画を見る時間が増えると、こうした視聴する動画の選び方についての迷いをよく伺います。
ここでまず知っておきたいのが、YouTubeの利用規約では、アカウントを作成して利用できる対象は「原則13歳以上」と定められているという事実です。13歳未満のお子さんに対しては、保護者が管理するアカウントのもとで「YouTube Kids」を活用するか、見せたくないコンテンツを遮断するために大人が一緒に動画を選んであげるスタンスが基本となります。「何でも自由に選ばせる」のではなく、未就学児〜小学生の時期は、大人が安全な枠組み(環境)を整えてあげることが前提なのです。
【見る環境】小さな画面より「リビングのテレビやモニター」で!
動画を見せる際、ぜひ意識していただきたいのが「見る環境(ハード面)」です。スマートフォンやタブレット端末などの小さな画面を至近距離で1人で見せるのではなく、リビングのテレビや大きなモニターに接続して見ることを強くおすすめします。
理由は大きく分けて2つあります。1つ目は、子どもの身体を守るためです。手元で小さな画面をのぞき込む姿勢は、首や背中に大きな負担をかけ、姿勢の悪化や近視(視力低下)のリスクを高める恐れがあります。
2つ目は、視聴体験を「個人の閉じこもった時間」から「家族の共有体験」に変えるためです。大画面に映すことで、親も「今、子どもが何を見ているか」を自然と把握できます。「この動物、面白い動きをするね」「どうしてこうなったと思う?」と声をかけることで、ただ画面を眺める受動的な時間から、親子の会話が生まれる時間へと変えることができます。

【見る内容】「男の子だから車」「女の子だからプリンセス」を手放してみよう
次に「見る内容(ソフト面)」について考えてみましょう。ここで大切なのが、メディアリテラシーの観点から考える「ジェンダーバイアス(性別による固定観念)」にとらわれない意識です。
テレビ番組、動画、絵本などのメディアでは、無意識のうちに「男の子らしさ」「女の子らしさ」のステレオタイプが描かれていることが少なくありません。大人が無意識に「男の子だから乗り物やヒーロー」「女の子だからプリンセスやごっこ遊び」と選択肢を絞ってしまうのは、子どもの可能性や好きなことを見つける上でとてももったいないことです。
男の子がプリンセスの物語を見て登場人物の感情に共感してもよいですし、女の子が宇宙の図鑑や機械の分解動画に夢中になってもよいのです。性別の枠にとらわれず、幅広いジャンルの多様な物語や表現に触れさせることが、子どもの情緒を豊かに育みます。
まとめ
AIやアルゴリズムが「おすすめ」を自動で提示してくれる時代だからこそ、流れてきたものを受動的に見続けるのではなく、「多様な視点から自分で良質なものを選ぶ力」が求められます。
親が子どもの横に寄り添い、安全な環境と多様な選択肢を用意してあげること。それが、子どものこれからの「選ぶ目」を育てる一番の近道です。
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ITデジタル
日本メディアリテラシー協会代表 寺島絵里花
一般社団法人日本メディアリテラシー協会 代表理事。高校時代に留学したカナダでメディアリテラシー教育に出合い、興味を持つ。上智大学文学部新聞学科卒業、ペンシルバニア大学留学。結婚、出産を経て、一般社団法人日本メディアリテラシー協会を立ち上げる。主な業務は、メディアリテラシー教育の普及を目的とする、保護者、教員、行政、民間企業などが対象のワークショップや研修、講演、出前授業など。
当協会立ち上げ後に東京学芸大学大学院教育支援協働実践開発専攻AI教育プログラム卒業。上海師範大学、北京師範大学での関連プログラム修了。2024年現在、JASSO 日本政府中国政府奨学金生(博士課程後期)として、華東師範大学大学院国際比較教育研究所所属。
メディアリテラシーに関する幅広い知見に加え、3児の子育てや日々の生活を発信するメールマガジンやブログが好評を博している。


























